大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)

2024-08-03 12:30:18 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)





 12年前の話です。
当時、俺はオカンと2人で父方の祖父母を介護していた。
 もともと祖父が事故で身体障害になり寝たきり、その後介護していた祖母が認知症になり、
長男である父が引きとったものの、本人は介護する気なし。
姉は既に結婚していて、弟はその話がでた直後に遠方の専門学校に入学を決めて逃亡。
仕方なく、母と当時大学生だった俺と2人で介護することになった。
 介護は想像以上にきつく、俺もオカンも交代で精神科に通いながらの介護で、夜は眠剤つかって寝ていた。
お互いギリギリのなか、俺も介護だけじゃなく家事も手伝うようになっていた。
 その日、夕方にうんこもらした祖母のパジャマとシーツを洗ったものを干すタイミングを失って、
夜10時過ぎに2階のベランダで干していた。
ふと気づくと、俺と同じ高さで、うちのベランダと隣の家の隙間を、ゆっくりと歩く女の人がいた。
2階と同じ高さで歩くなんて明らかにおかしいんだが、何故か恐怖感がわかず、

” ああ、俺本格的に頭おかしくなったんだなあ・・・。”

と思ってぼんやり見ていた。
 その人はそのままゆっくり横を通り過ぎて、隣の家の裏手のほうに曲がっていった。
彼女が消えてからも、

” 今のは幻覚か?幽霊か?
まあ、どっちでもかわらんか・・・。”

と妙に冷静に思って、洗濯物を全部干して、部屋に戻った。
 その後、夜、ベランダで洗濯物を干していると時々その女性が通るのを見た。
精神科の医者に伝えたところ、

「 時間も時間だから、半分寝てたんじゃないですか?」

と言われて、

「 そうですね。」

と答えた。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------