大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

しづめばこ 3月31日 P362

2015-03-31 19:29:37 | C,しづめばこ


しづめばこ 3月31日 P362  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 3月30日 線路

2015-03-30 19:44:56 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 3月30日 線路



 俺の曽祖父は、国鉄時代、汽車の運転手をやっていた。
生前、そんな曽祖父からよく聞いた昔話がある。

 曽祖父の仕事は、もちろん汽車の運転なんだけど、どうしてももうひとつやらされる仕事があって、その仕事をやる日はもうイヤでイヤでしょうがなかったそうだ。
要するにまぐろ拾いである。
まぐろ拾いっていうのは、電車による自殺で、体がばらばらになってしまった人のパーツを拾い集めることだ。
 時代は終戦後で、きたないとかきれいとか、違法合法なんて概念はそっちのけ、みんな生きるのに必死だった頃だ。
生きるのがつらくて死を選んでしまう自殺者も、もちろん多かったそうだ。
 曽祖父は運転手なので、基本的には汽車の先頭車両で、いつも前方を見ていた。
だから、飛び込んでくる人が丸見えなんだ。
飛び込んでくるならまだしも、一番最悪だったのは、線路の上に3、4人の家族で寝ているのを見てしまったときだとか。
 それで、線路脇に立って電車を見てる人はいっぱいいるけど、これから飛び込もうってヤツは、どんなに離れていても、顔が見えなくても、すぐわかるんだって。
なんでも、立ってる姿の上に、そいつの目が見えるんだって。
そいつの頭の上に、悲しそうな両目がぼやけて見えるんだって。

「 飛び込むヤツはこういう目をしてるんだ、わかるんだ。」

って言ってた。
 それで曽祖父はある日、線路脇に飛び込みそうなヤツが見えたから、また目の前で死なれるのがどうしてもどうしてもイヤで、ブレーキを早めにかけたんだ。
予想して、飛び込む前からかけてたんだ。
 案の定飛び込んできたその男は、まだまだ若いヤツで、飛びこんだ時に勢いがあったせいか、うまいように飛ばされちゃって、線路脇のくさむらで、のたうちまわってたんだって。

“ よかった、生きてる!”

と思った曽祖父は、すぐに汽車をとめて急いでその男のところへ走って行った。
すると、男は、

「 汽車がとまった、運転手、とめやがったなぁ~。
なんでとめた、なんでとめた。
恨みます、恨みますよ。」

って泣きながら叫びまくって、ゲロを吐いて、うわごとみたいに曽祖父をすっげぇ責めたんだって。
 だから曽祖父は、

「 バカいうな、死ぬんじゃない。」

とか色々説教してから、その男を同僚にまかせて、自分はそのまま運転席に戻った。
 そしたらその男、数日後にまた汽車に飛び込んで死んだんだ。
その男が飛び込んだ汽車っていうのが、曽祖父の運転してた汽車の最後尾車両なんだって。
 曽祖父は、その男と知らずにいつも通りそのマグロを拾ってたんだけど、後からそれを知って、あまりに悲しくて腹が立ったそうだ。

“ あいつ、死に損なった俺の汽車をわざわざ狙ってたんだろうな。”

だって。










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四枚の写真 3月20日 P44

2015-03-20 20:01:42 | _7,四枚の写真


四枚の写真 3月20日 P44 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 3月19日 派遣社員のバイト君

2015-03-19 20:18:24 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 3月19日 派遣社員のバイト君



 えーと、ちょっと話させてもらいます。
自己紹介から始めると、30代前半の未来に絶望している派遣社員です。
東京にずっと住んでます。
独身で、両親は死んでだいぶたちます。
妹と弟がいますが、もう既に離れて暮らしてます。
 奇妙なのか分からないですが、僕の知り合いにお祓いの仕事をしている人がいます。
知り合いというか、最寄り駅の近くの立ち飲みで出会ったおばさんです。
それが今から数えて7年前ぐらいかなと思います。
 引越ししたての頃で、仕事帰りに一緒に飲む友達がいなくて、気軽に入れそうな立ち飲み屋で飲むようになったのがきっかけです。
で、そのおばさん僕を見るなり、

「 ギャーッ!」

って叫び始めました。
 実を言うと、結構慣れっこで、よく知らない人から叫ばれます。
叫ぶならいいんだけど、

「 あの人、怖いんです、捕まえてください。」

って通報されたこともありました。
 なんで、

“ またかよ・・・。”

みたいな気持ちで無視してました。
 けど、そのおばさんは今までの人と違って話しかけてきました。

「 どこからきた?」
「 仕事はなにしてる?」
「 両親はなにしている?」

なんて、まるで尋問のように矢継ぎ早に質問されました。
 まぁ、こんなおばさんの友達も良いかと思って、質問に答えていました。
それからしばらくして、そのおばさんが、

「 今度、あたしの店に来い!」

って言いながらお店のカードみたいなものを渡されました。
 まぁ、興味ないし、凄い上から目線で話されてムカツイていたから、直ぐ様、そのカードは捨てました。

 ところが、その後日、その立ち飲み屋でまた会ってしまい、その時は無理やり店に連れてかれました。
というのも、おばさん以外に痩せたおじさんと若い女がいて、ちょっと逃げれなかったのです。
 ちなみにおばさんはトモコさん、若い女はユウちゃん、おじさんはヨシオさんて言います。

“ 絶対、宗教の勧誘だよなぁ・・・。”

そう思いながら、その3人の後ろに付いていきました。
 店に行くまで誰も喋らないもんだから、ユウちゃんに話しかけてみたら、

「 ヒィぃいー。」

とかいって、会話ができなかったです。
それからヨシオさんに、

「 ごめんな、君が怖いんだ。」

なんて言われたから、なんか凄い悲しかったの覚えています。
 で、店に着いた訳だが、だたの占いの館でした。
宗教の勧誘じゃなさそうだなと思い、

“ 占いでもしてくれんのかな?”

と期待していました。
 で、店に着くなりトモコさんが、

「 あんた、私たちと仕事しないか?」

って言われました。

「 はぁ・・・?」

と言いながら聞いていたら、なんでもその3人はお祓いを仕事にしているらしく、僕についてきて欲しいと言われました。
 その当時は一応、ある会社の社員だったので、

「 仕事あるんで、無理ですよ。」

と断りました。
でも、そのおばさんは引き下がらず、

「 土日のバイトだと思ってやってくれないか?」

と頼まれました。
まぁ幽霊とか神様とかまるで信じないので、まぁいいかなぐらいでOKしました。
 早速、次の週末にお呼びがかかり、○○区のある一軒家に連れてかれました。
家からそう遠くは無いので自転車で待ち合わせ場所に行ったら、

「 徒歩で来い、アホ!」

と怒られました。
 渋々、近くに自転車を止めて、その一軒家に入っていきました。
入った途端、トモコさんとユウちゃん(おじさんは都合が悪くて来なかった)が、

「 あぁ、 いますね、いますね・・・。」

とか言い始めて、しかめっ面になりました。
 ただ、僕には何がいるかも分からなかったです。
普通の一軒家だと思いました。
 居間には中年夫婦がいて、僕らにお茶やお菓子を出してくれました。
笑ってたけど、かなり引き攣ってたの覚えています。
 しばらくすると、トモコさんが、

「 早速、始めましょう。
その部屋に案内してください。」

といって、立ち上がりました。
何が始まるのか、よく分からないまま二階に案内されました。
 階段上がると左右に二部屋あって、その右側の部屋の扉の前で止まりました。
扉にはアルファベットでTAKEOって書いてありました。

「 ここです。」

そう中年夫婦に言われました。
 トモコさんとユウちゃんは、背負っていたリュックサックの中から塩を出して、ペットボトルの水と振りかけ、両手にまぶしました。

“ 何が始まるんだろう?”

とか思いながら、僕も両手に塩まぶした方が良いのか聞いてみると、

「 お前には必要ない、ただ言われたとおりにしろ。」

と言われました。
 中年夫婦には何があっても、絶対に取り乱すなと注意をしたトモコさんは、扉を開け中に入りました。
僕も後ろに続こうとした時、中から黒い影がトモコさんに覆いかぶさってきました。
TAKEOという中学生ぐらいの少年でしたが、異様に眼がギラギラして歯をむき出しにして、

「 ガジャガジャ、ガジャー!」

みたいな事、叫んでました。
 トモコさん の首に噛み付こうとしていたので、流石に僕もこりゃイカンと思い、少年を引き剥がそうと彼に近寄りました。
 TAKEOくんは僕の顔を見るなり震え始め、ベッドの隅っこに逃げて身を丸めました。

「 体のどこでもいいから、引っ叩け!」

トモコさんにそう怒鳴られました。
なので、悪いなぁとは思いながら、丸まってる背中を引っ叩きました。
そんなに強く叩いた覚えは無かったのですが、

「 う、ぎゃー!」

とか言って、TAKEOくんは泡吹いて倒れました。
 倒れているTAKEOくんを介抱しようと両親が近寄ります。

“ そんな強く叩いてないよな・・・。”

とか思いながら横目で、トモコさんを見ていると、

「 これでお祓いは終りました、もう大丈夫。」

そう言いました。
たしか、そう言ったと思います。
 それからTAKEO君をベッドに寝かして、中年夫婦にお礼を言われながら帰りました。
なんでもTAKEO君が大人しく寝たのは、半年振りだったそうです。
ちなみにTAKEOくんの部屋は物凄い事になっていました。
物は多分危ないから片付けたのだと思うけど、壁という壁に切り傷や穴がありました。
 帰り道、あまりに意味がわからなかったので、トモコさんに、

「 意味がわかりません。」

と素直に言って、色々聞いてみました。
 可哀想に一緒に来ていたユウちゃんは、帰り道の途中でゲロを吐いていました。

「 あんたは相当なモノをもってるね。」

トモコさんにそう言われました。
初めはちんちんの事かと思いましたが、そうではないらしいです。
どうやら、言い方は宗教やお祓いの流派によって変わるらしいですが、守護霊や気なんて言われてるものらしいです。
 そんなに凄いのかと思って、

「 そんなに良いんですか?」

と尋ね返すと、

「 いや、逆だ。
最悪なんだよ、あんたの持ってるもの。」

そう言われました。

“ 最悪じゃダメじゃないか。”

と思ってたので、

「 最悪って、それじゃ駄目じゃないですか。」

と言うと、

「 普通はな。
だけど、お前は普通じゃない。
なんでそれで生きてられるのかおかしい。」

トモコさんに言わせると、僕のもってるモノってのが相当ひどいらしいです。
実はユウちゃんがゲロを吐いたのも、僕がTAKEO君を叩いたときに祟られたらしいです。
 まぁ色々聞きたかったのだが、あまりにユウちゃんが気分が悪くなってしまったので、トモコさんとユウちゃんは先にタクシーで帰りました。
僕は止めておいた自転車で帰りました。
 トモコさんのお店でなんと10万円ももらえました。

“ 本当はいくらもらったんだろう?”

そう思ったけど、

“ 中学生の背中引っ叩いて10万円ならいいや。”

と思って喜んでいました。
 実を言うと、それから少しして僕は留学しました。
その当時の仕事よりも、やりたい事があったのが理由です。
まぁ結局3年前に戻ってきたものの、仕事がなくキャリアも無く、派遣をやりながら生活しています。
 3年前に帰国した後に、トモコさんに会ったときに言われたのが、

「 あんたのそれ、かなり逞しくなってるよ。」

そう言われニヤっと笑われました。
なんでも僕のモノは異国の地で精力を養ったらしく、以前よりパワーアップしているらしいです。
一応真面目に勉強してただけなんですけど。
 それから3年、お祓いのバイトをしています。
ただ、トモコさんや、ユウちゃん、ヨシオさんは、いわゆる霊感的なものがあるらしく、色々見えるらしいです。
ところが僕は本当に何も見えないです。
なので、今でも引っ叩いたり、話しかけたりするだけです。
 残念なのは今でもユウちゃんは仕事が終わるとゲロを吐きます。
僕のせいなので、いつも申し訳ない気持ちで一杯になります。
で、明日も実は一個仕事が入り、終わったら遊びに行こうと考えてます。













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しづめばこ 3月18日 P361

2015-03-18 18:39:08 | C,しづめばこ


しづめばこ 3月18日 P361  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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四枚の写真 3月16日 P43

2015-03-16 19:35:34 | _7,四枚の写真


四枚の写真 3月16日 P43 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 3月15日 2010年の話

2015-03-15 20:38:25 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 3月15日 2010年の話


 自分は田舎の町役場職員なんだけれど、以前勤めてた職場での話です。
当時配属されてたのが地域では割と大きな公営の病院(今は閉鎖)だったんだけれど、採算が合わなくて閉鎖が決まってからは入院患者とか救急は受け付けなくなり、診療所みたいになっていた。
 昔は入院患者が自殺したこともあったり、診療所になってからも霊安室とかもそのまま残ってたから、夜遅くまで残ってた人が変なモノを見たり聞いたりってのが珍しくなかった。
 俺はそういう経験無かったんだが、3年前の3月の雨の日、春に異動が決まったせいで、週末に一人で休日出勤していろいろ片付けをしようと思って13時から職場行ったんだけれど、 いつも通り鍵開けて機械警備を解除して事務所で仕事してたら、15分くらいして事務所に人が入ってきた。
 来たのは警備会社の人で、話を聞くと以下のような感じだった。

「 12時50分に3階の機械警備が異常を察知(センサーが反応)し、13時に建物全体の警備が解除された。」

つまり、俺が13時に職場に到着して機械警備を解除する10分前に、3階に人が侵入してたことになる。
 3階ってのは昔は入院患者用の部屋として使われてて、そのときには書庫や物置になってて、めったに人が行かないフロアになっていた。
警備員の兄ちゃんと一緒に3階に行ったんだけど、人はいないし窓も開いてない。
 唯一なぜか施錠されてなかったのが、屋上に続く外階段のドアだった。
そのときすでに若干嫌な予感がしたんだけれど、成り行き上仕方なく、雨が降りしきる中、ドアから屋上へ出た。
 当然屋上にも人はいなくて、2mぐらいの高さがある金網のフェンスから下を覗くと、駐車場の俺の車の脇に髪が長い女が傘も差さずに立ってのが見えた。
 遠くて表情までは見えなかったけれど、明らかに俺達を見てた。
まだ3月で寒くて雨も降ってるのに、半袖のワンピースに裾の長いスカートだった。
何か得体の知れない気味悪さを覚えてそのまましばらく見合っていたんだけれど、よく見ると俺の車の下の方を指差してるようにも見えた。
 警備員と1階まで降りると、外にはもう誰もいなかった。
そこで警備員の兄ちゃんが、ぼそっと、

「 さっきの人、裸足でしたよね・・・。」

と言い出す。
俺は気が付かなかったけれど、靴を履いてなかったらしい。
 それでさらに聞くと、最近は会社や他の公共施設も機械警備化が進んでて、同じように警備が異常を察知して駆けつけたのに誰もいないっていうことがまれにあるらしい。
 そして、そこで妙な体験をすることもあると聞いた。
とても仕事なんか続ける気にならずにさっさと仕事を方付け、警備員も原付に乗って帰っていった。
 帰り道、峠の道を雨の中走行中、安全運転してたつもりなんだけれど、車のタイヤが突然1個バーストして、そのままスピンしてガードレールにぶつかった。
車は廃車になったけど、他に車はいなかったし、何より一歩間違えてればガードレールを突き破って崖下に落下してたかもしれないのに奇跡的に無傷だった。
その車は中古で買ったんだけど、バーストしたそのタイヤ1個がたまたま劣化してたらしい。
 安全運転してつくづく良かったと思いつつ、あのとき屋上から見えた女の人が、あの汚くてオンボロな診療所で8年間も毎日朝一で掃除して綺麗にしてた俺のために、あの事故を警告してくれたのかなと思ったんです。











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しづめばこ 3月13日 P360

2015-03-13 18:20:00 | C,しづめばこ


しづめばこ 3月13日 P360  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 3月12日 眼球6

2015-03-12 20:47:54 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 3月12日 眼球6

 
 警備員も母親とわたしのやり取りを見て、少し当惑しているようでした。
それで、わたしは聞きました。

「 わたしを、どういうふうに聞いていたんですか?」

聞かされたのは、酷い話でした。
 どうもDさんは会社を辞めて後、仕事がみつからなくて困っていたようです。
ことあるごとに自分はハメられたんだとか、あいつが俺の仕事を奪わなければとか、そういうことを言っていたらしいんです。
 警備員さんからも教えてもらえました。
たとえばサインをするだけの状態の見積書を奪って、相手からサインをとってきただけで、手柄にするような人だったと聞いていたそうです。
 もちろんそんなことしてませんよ。
大体、サインするまでに交渉をまとめてきた人を、会社がないがしろにするわけないでしょう?

「 ホントっぽく聞こえたのよね。」
「 わたしもそう思いました。」

二人とも信用してしまっていたようです。
 この誤解が解けてから、一月ほどで、ご家族の住所がわかりました。
この母親がDさんの奥さんと知り合いで、Dさんの奥さんと掛け合ってくれた後で教えてくれました。
 Dさんはお亡くなりになっていました。
奥さんは、Dさんの虚言癖に気付いていたらしく、わたしを恨んではおらずアパートの中に入れてくれました。
 仏壇に手をあわせてから退くと、Dさんの残した手帳を見せてくれました。
そこには、やった覚えのない悪行が書き連ねられていました。
 Dさんが転属させられたたのは2001年の春なのですが、書き始めは2001年の夏からなんです。
一緒にいるはずもないのに、なぜかわたしに仕事が奪われていくんですよ。
発狂っていう意味がわかりました。
 そこで奥さんに、今わたしが置かれている状況を話しました。
幻覚じゃなさそうな、祟りにあっていると。
そうしたら、奥さん、泣き出してしまわれてね。

「 プライドの高いところがかっこいいと思ったのに。
みじめなところ見せないで欲しい・・・。」

わたしも、もういちどDさんの仏壇に向かって、

「 先輩の仕事のやりかたを勉強させてもらったから、仕事ができる人間になれたんじゃないですか!」

そう言いました。
 以降、祟りはおこっていません。
クラブに一度顔を出したら、彼女は笑ってくれました。
たぶん、もう、つかれてはいないんでしょう。
 新しい会社に移ってからは、努力を適度にするようにしました。
自分なりに反省したんです。
しゃにむにになってやっていたことが、悪く思われるようなこともあるんだとね。
無理矢理蹴落とされたと感じさせることもあるんだと。
 そうしたら、営業からは外されましたが、偶然ですかね、総務課にまわされました。
今は肩肘を張らずに仕事をしていますが、毎日が充実しています。
わたしの話は、これで終わりです。











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日々の恐怖 3月10日 眼球5

2015-03-10 20:56:56 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 3月10日 眼球5


 会社を去る前に調べたことがあります。
他の課に転属させられた先輩にDさんと言う人がいました。
 この人は、本社の総務部にいたらしいんですが、張り合いが無い仕事に嫌気がさしたといって辞表を提出したそうです。
上司にかけあって、彼の家族にどうしても挨拶したいと言って、売り上げの割りには安い退職金の上積みだという名目で教えてもらいました。

 都内の高層マンションが彼の住所でした。
そこに訪ねていくと、表札に名前がありません。
しばらく探していると、怪しく思ったのか警備員が出てきました。
そこで、Dさんのお宅を尋ねて来た元の会社の同僚だと告げました。
 名前まで告げたところで、相手の顔つきががらりと変わりました。
まるで憎んでいるような顔つきになったんです。

「 個人情報を教えるわけにはいかない。
おまえみたいな屑なら尚更だ!
帰れ!」

いきなりの剣幕に吃驚してその場は立ち去りました。

 次の職場は向こうからやってきてたので、時間だけはありました。
頻繁に他社とやりあっていて、仕事を奪ったりしていたからですかね。
元々、ヘッドハントの候補になってたそうです。
 一年はブランクをおかないと、元の会社ともめるからと言われ、翌年の四月から勤務する内定をもらい、そこでバイトをしながら調査に続けました。
そのころは、もう自宅ですら、アノ目玉や、たまには透き通った人影が見えるようになりました。
わたしは、警備員の目を気にしながらもそのマンションの近くに行き、せめて住んでる方から話が聞けないかなと思っていました。
 そうするうちに、ある日、小さな男の子がボールを追っかけて車道に出ようとしたので、危ないと思ってその子を押さえつけたんですね。
ボールの方は車道の向こうに転がって行きました。
 それを見て、その子は泣き出したんですが、ボールを取って来て渡すと泣き止みました。
直後に、母親が駆け付けて来て、感謝の言葉を口にされました。
そのまま別れようと思いましたが、親子がそのマンションに入って行こうとするのを見て声を掛けてみました。
調査開始から二ヶ月後のことです。
 マンションのロビーで話をさせていただくことができました。
例の警備員がすっ飛んできたんですが、子供を助けてくれた方ですと母親が話してくれたので、つまみ出されずにすみました。
 母親と、続けて少し話をしました。
すると、驚いたような顔をして、

「 聞いていた方と随分印象がちがう。」

と言われたのです。










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日々の恐怖 3月9日 眼球4

2015-03-09 19:42:43 | B,日々の恐怖


     日々の恐怖 3月9日 眼球4


 詳しく言うと、そのクラブは新宿にあるちょっと高級なクラブです。
わたしなどが、とても行けるところではありません。
 たまにみんなで謳いにいく、パセラってカラオケ店の近くです。
下り坂を下っていった途中で曲がってってかんじの道順です。
住宅街だか歓楽街だか、よくわからないような変な町並みになっていき、やがて目当てのクラブがあります。
 営業時間外だっただけでなく、突然名指しでの訪問です。
しかし、店のちょっと怖そうな人がでてきて、追い返されてしまいました。
 先輩に繋いで欲しいと頼みましたが、あまりいい返事は返って来ませんでした。
それでも仕事の合間を縫って連日行く間に、救いはその人の向こうにあるのが、とても悔しかった。
 最後にはそのこわもてにしつこいと殴られました。
その瞬間に、ありのままをぶちまけてしまいましたよ。
そうしたら、こわもての方がね。

「 あんた、ひょっとしてソッチに用事があったのか・・・。」

っていうんですよ。
そっちって、どっちってかんじですが。
 とにかくまあ、引き起こしてもらいました。

「 悪いな、雰囲気がなんか異様でさあ・・・・。」

そう言われながら店の中へと案内されました。
 テーブルの縁に椅子がかけられている、まだ開店してもいない店内でした。
こわもてさんが彼女を呼んでくれました。
 それで聞きました。

「 つかれてるって、言ったよね。
その意味を教えてほしい。」

すると、彼女は、

「 後ろに、立ってる。」

そう言いました。
 それを聞いて、こわもてが一番ビビってました。
わたしは、もう覚悟できてましたから驚きませんでした。

「 わたしは何も悪いことしてない!」

主張するところは主張しましたよ。

「 相手はそう思ってないの。
かなり恨んでるように見える。」

もう、なんでの連呼ですよ。
そのうち口に出てきました。

「 なんで、なんで、なんでっ、なんでだっ!」

叫んで後ろを振り返っても誰もいません。
 わたしの職場は、すごく大変な職場なんです。
足を引っ張られていては、やってけないんですよ。
真面目にやってきたのに。
なんで逆恨みかなんかしらないもので、邪魔されなくちゃいけないんです?
そのとき、彼女は言いました。

「 人間、生きていれば人を蹴落とすのよ。
わたしも、ここでナンバースリーの子を蹴落としてる。」

 壁の天井際に並んだ写真の中で、三人だけポスターサイズになってました。
そのうちの一つが彼女でした。
 そのときふっと気付いたんです。
わたしが課に入ったあと、やめていった先輩のことを。
 わたしは彼女に聞きました。

「 名前とか、聞きだせる?」
「 無理、口の利けるような状態じゃない。」
「 状態じゃないって、どういう意味?」
「 死ぬ直前に一番思っていたことが、死後の主な感情になるの。
発狂と憎悪、今もわめき散らしてる。」

わたしは膝が震えました。

「 どうすればいい?」
「 相手への未練が無くなったら、よくなるかもしれない。」

そのとき、もう限界だと思いました。
彼女のアドバイスにしたがって、会社を去りました。











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四枚の写真 3月8日 P42

2015-03-08 18:11:41 | _7,四枚の写真


四枚の写真 3月8日 P42 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 3月7日 P359

2015-03-07 18:16:35 | C,しづめばこ


しづめばこ 3月7日 P359  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 3月6日 眼球3

2015-03-06 19:30:12 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 3月6日 眼球3



 休みが終わり、また働けるようになっていました。
スランプ中に二社失いましたが、三社開拓してほぼ同額の契約とりつけました。
カムバックパーティを開いてもらえて、新人にも尊敬してるっていわれて、すごく嬉しかった。
 でも、そのときふと、会場のカーテンの裏に黒いものが見えたんです。
見間違えかなと思っているとふっと消えてしまいました。

“ 何だったんだろう?”

そう思っていると、突然、目の前を目玉が横切ったんです。

「 ぎゃっ!」

って叫んで、わたしはその場に倒れました。
そしてみんなに助けを求めようとしたんです。
 でもね、みんな怪訝そうにしてるんですよ。
私を見て、首をかしげる人もいたかもしれない。

“ 見えたのは自分だけなんだ・・・・。”

そう強く確信したことだけは確かです。

「 こ、腰が突然いたくなって。
前にも筋膜炎やったことがあるから・・・。」

こんなふうに、その場は誤魔化したと思います。
 でも、この幻覚は段々とひどくなっていきました。
他社製品とのディファレンスのアピール中。
信頼できる人間を演ずるべく、堂々と構えてなくてはいけない時。
そう言うときにかぎって、視界のすみに黒いものが映ります。
そして、目の前に血管の浮いた眼球が突然あらわれるんです。
 事前に、黒いものが見えたときに奥歯をかみ締めて必死に堪えて足を踏ん張るんです。
挙動不審にみられることもありました。
それがもとで契約できなかったっていうことはありませんでしたが、集中力自体を欠くようになると、段々と成績が落ちてきました。
わたしは幻覚の原因は、単に疲れから来るものだとずっと思っていました。
 医者にも密かに掛かりました。
薬を飲み、治療をしてもらいました。
でも、良くはならないんです。
医者は何度も薬を変えました。
しかし、良くはならないんです。

「 もうそろそろ、効き目が現れる頃だけど・・・。」

そう医者に言われたとき、

“ なんか、変だ・・・。”

と思いました。
 そして、徐々に、

“ ひょっとしたら、これは単にメンタル的なものではないかも知れないぞ。”

そう思うようになってきました。
 そんなとき、思い出したんです、
彼女に、

「 疲れてる?」

って言われた言葉を。
 わたしは、ハッとしました。

“ 彼女に言われたのは、

「 疲れてる?」

じゃなくって、

「 憑かれてる?」

かも知れない。”

 それで気になって、先輩に、

「 彼女のクラブに行っていいですか?」

と聞きました。











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日々の恐怖 3月5日 眼球2

2015-03-05 19:03:19 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 3月5日 眼球2



 二年くらい働いて、先輩の営業が一人転属になりました。
わたしは無理を続けながら、段々、頭がハゲてきました。
 ある日、ふと鏡の中の自分が、変に見えたんです。
こびへつらうような薄ら笑いを浮かべてることに気付きました。
口の周りにも作り笑いを浮かべていたせいか、皺がよってます。
 成績と引き換えに悪くなった人相を見て悲しくなりました。
それからだんだんと食事が喉を通らなくなってきました。
自分のやっていることは正しいことなんだろうか。
クレームがつくたびに、怖くなっていって。
 成績が落ちてきて、上司にも随分迷惑をかけました。
入社したての頃は厳しかったですが、期待に応え続けてきた信頼からか、

「 調子崩してるときはぱーっと遊べ。
おまえのこれまでの売り上げなら、二ヶ月でも三ヶ月でもいい。
でも、そのあとはしっかり仕事しろ。」

ありがたいお言葉をいただけました。
でも出かける気にもならなかったので、ずっと家にいました。
 その女性に会ったのは、心配した先輩が家に訪ねてきてくれたのが切っ掛けです。
あまりに沈んでいるわたしを、先輩は家から連れ出してくれました。
行ったところは、クラブです。

「 酌でもしてもらったら、気がまぎれるんじゃないか。」

そう先輩は言ったのですが、わたしは大学時代の知り合いを前に呆然としました。
あちらも気付いたようで、気まずそうにしていました。

「 こいつが俺の言ってた我が社のホープだよ。
いまのうちにご機嫌うかがっといたら、きっと将来大金おとすぞ。」

それでも、そんな囃し言葉にのせられながら、久しぶりに酒を飲みました。
 先輩が先に潰れてしまった後は、知り合いの彼女に、杯を空けては酒を注いでもらいました。
二人とも無言でした。
そして、帰り際に彼女に言われました。

「 疲れてる?」

“ そう、確かにわたしは疲れているな・・・・。”

そう思いました。
そのとき、交わした言葉は、この一言だけでした。










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