大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 2月28日 双子

2014-02-28 19:07:45 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 2月28日 双子



 一年ほど前、母と体験した話です。
最初に事が起きたのは、私が二階の自室でゲームをしていた時の事です。
 一階の居間にいた母がノックもせずに私の部屋に入って来て、

「 あんたさ、今起こしに来た?」

と突然聞いてきました。

「 いや無理だし、ゲームやってんじゃん。」

と言うと、怪訝な顔で、

「 いや、耳元であんたが呼んだから起きたんだけど・・・。
やだねボケてんのかね、私。」

と言って部屋から出て行きました。
その時は私もただの寝惚けか、と納得。
 しかし、二度目は私が外出中、母は台所で料理中。
この時もやはり私の声で呼ばれたのだそうです。
帰宅してからその事を聞いたものの、やはり気のせいだろうということで終わりました。
 そしてついに三度目。
私は自室で寝ており、母は夜食を楽しんでいた時のことでした。
また、聞こえたのだそうです。
私と全く同じ声のトーンと口調で、

「 お母さんっ!」

と。
 私は叩き起され、興奮気味に、

「 聞こえたんだって、本当に!」

と何度も言う母を相手にしながら、2つの可能性をぼんやり考えていました。

1、ついにボケた。
2、バニシングツイン。

 2番目の言葉は御存知ない方もいらっしゃると思います。
文字通り、消えた双子です。
 私は、中学生の頃に左腕に腫瘍が出来て手術を受けたことがあります。
何か二の腕が腫れているな、とは思っていたのですが、ある日突然ひっくり返るほどの激痛が走り救急車で病院に運ばれ、即手術となりました。
切除した腫瘍の中からは、魚より少し太い骨や細い髪の塊などが出てきたそうです。
 あまりにショッキングなものだったので、今は亡き父しかその実物を見ていないのですが、話はよく聞いていました。
母が私を妊娠した時には確かにいたのにすぐ消えてしまった、もう一人の母胎内の同居人の事を。
 2人で産まれるのが困難な場合、どういう訳かどちらか一方が消え、片方に産まれる権利を渡すのだそうです。
通常は母親の胎内に吸収されて消えるのですが、稀にもう一人の方に吸収されてしまうことがあるそうで、私達はそのパターンでした。
 そんなこともあり、

「 あの双子の子、かな?」

と何となく口に出してみました。
 少し母の顔が曇ったのを見て、若干後悔のようないたたまれなさを感じましたが、母はボケるにはまだ早すぎるし、私自身口に出した瞬間、その答えが不思議と一番しっくり来たのです。
 母は少し笑いながら、

「 そうかもしれないねぇ。」

と言ってまた居間に戻りました。
 その後、母がもう一人の私に呼ばれることはなくなりました。
本当に私を生かしてくれた双子の声なのか、今もはっきりとした答えは出ていません。
でも、私にはどうしてもあの子が忘れられるのが嫌で母を呼び続けていたのではないかと思えてなりません。














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日々の恐怖 2月27日 死神様

2014-02-27 20:19:29 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 2月27日 死神様



 私の家の近くには、死神様といわれる神様がいます。
それは町の中心部にちんと座っている目を閉じたお爺さんの姿をした真っ黒な石像なのですが、これが笑うように見える日は必ず誰かが死ぬのだそうです。
 私の父は小さい頃悪戯でこの像を蹴っ飛ばしたことがあったそうですが、そのときは一週間ほどひどい熱にうなされたという話です。
 私はそんな話を小さい頃から聞いていたので刷り込みによる怖さもあったのでしょう、死神様の前を通ることも避けるようになりました。
 しかし、ある日その頃高校生だった私は塾の帰り道にどうしても死神様の前を通らなくてはならなくなったのです。
なるべく見ないように、見ないようにと思いながら死神様の近くまで行くと、死神様の前になにやら影が見えました。
 本当に死神様が出たのかと全身に鳥肌が立ちましたが、よくみるとそれは人間でした。
その人はどうやら男の人だったようです。
どうやら、というのもその人は死神様に土下座をしていて顔が見えなかったからです。
 その人はなにやらぶつぶつと呟いており、恐怖より好奇心の勝った私はついついその話を立ち聞きしてしまったのです。

「 死神様、本当にすいませんでした、私が悪かったんです。
あの時酒も飲んでいました。
まさか人が出てくるなんて思わなかったんです。」

私はその男の人の話に心当たりがありました。
 先日、この近くでおじいさんがひき逃げに遭い、今でも意識を取り戻していないと言う話です。
 男の人は話を続けていました。

「 警察にも出頭します。
だから、だから、いつまでも私を追いかけないでください。」

 私は全身から冷や汗が噴出しました。
その時、私は確かに聞きました、くぐもった、それでも威厳のある声で誰かがこう答えるのを。

「 人の命を奪っておいて何日も笑って飯を食っていたお前さんが今更何を言っておるんじゃ?」

私は身に染み入るような恐ろしさに必死にその場を走って離れました。
 ちらりと見えた死神様の顔は閻魔様のように恐ろしく、普段閉じているはずの目は開き、夜だというのにその黒さが分かるほど真っ黒でした。

 次の日、近くの踏み切りに男の人が飛び込んだという話を聞きました。
今では死神様は、ただの死神ではなく、因果応報の死を届ける神様なのかもしれないと私は考えています。
実は今でも死神様の真っ黒な目が夢に出てくるのです、よく覚えておけよ、とでも言うように。













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日々の恐怖 2月26日 沖縄離島

2014-02-26 19:08:05 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 2月26日 沖縄離島



 夏、大学のゼミの中で、県外から来てる連中で集まってキャンプに行くことになった。
場所は沖縄本島からさほど遠く無い離島。
小さなフェリーに乗って付いた先の港には、迎えのマイクロバスが待っていた。
 港とキャンプ場がある村落までの間には、何も無い山道。
すれ違う車も無い。

 キャンプ場に着き荷物を降ろすと、受付らしき小屋にいたおじさんに予約してあった旨を伝える。
おじさんはニコニコしながら貸しテントやバーベキューセット、燃料の薪などを用意してくれた。

「 トイレとシャワーはこの小屋の裏、流しもあるから水はそこで汲んだらいいサ。」

訛りのキツい口調で、相変わらずニコニコ説明してくれる。

「 この道まっすぐ行った先に開けた場所があるから。
好きなトコにテント張ってくださいネ。」

 指差す先には、雑木林の様にこんもりと生い茂る木々の中に、細く切られた未舗装の土の道。
粘土質の土が踏み固められた道は人一人がやっと通れる幅で、ずっと先まで続いている。
本当にこの先にキャンプ場が?と不思議に思ったが、ボヤボヤしていると遊ぶ時間が無くなると、皆荷物を担いで駆け足でその道を進んだ。
サンダル越しの土の柔らかさが心地良かった。

 木々のトンネルを抜け、日差しの中に飛び出すと皆一斉に歓声を上げた。
道から続く開けた土地は思いの外広く、そのすぐ先には白い砂浜が遥か彼方まで続く。
そして、降り注ぐ太陽にきらめく青い蒼い海。
沖縄と言えど、本島でもお目にかかれない景色だ。
男達がテントの設営や火を熾している間に、女性陣はさっさと水着に着替えて海へ飛び込んだ。

 時間はあっと言う間に過ぎた。
食事を終え、酒を飲み、歌い、騒いだ。
日もとっぷりと暮れ、一つだけ灯したランタンと焚き火の明かりだけが皆の顔を照らす。

「 ねぇK君。」

一つ上の先輩が声をかけてきた。

「 おトイレ行きたいんだけど、怖いから付いて来てくれない?」

明るいうちは、シャワーを浴びたり炊事用に水を汲んだりと何度も往復したが、今はもう真っ暗で、街灯も無いあの道は女性には怖かろう。
女連中で連れ立って行こうにも、酔いつぶれていたり話し込んでいたりで誘い難かったらしい。
幸い手も空いていた自分は、彼女と2人でランタンを手に暗い森の道へと向かった。

 2人並んで歩ける程の道幅はないので、自分が前になり後ろを彼女が付いて来る形になる。
よほど怖いのか、自分のTシャツの裾をぎゅっと掴んで離さない。
ところが、歩く速度が彼女の方が早く、後ろからズンズン押されるようになった。

「 ちょっと先輩、危ないっスよ。」

言うより早く彼女は自分の脇をすり抜け、もの凄い勢いで走り去って行った。

「 ありゃ?トイレ我慢出来なくなったのかな?」

暗い道で転んではマズいと、慌てて追いかけた。

結局、道の途中では追い付けず、小屋の前でへたり込んでいる彼女を見つけた。
まさか…間に合わなかった…とか?
一瞬、大変な事になったと思ったが、どうにも様子がおかしい。

「 先輩、どうしたんスか?大丈夫っスか?」

小屋に一つだけ有る街灯の明かりの中で、うずくまる彼女に声をかけた。
泣いているのか肩がぶるぶる震えている。

「 見えなかった、の・・?」
「 え?」
「 K君はアレ見えなかったの・・?!」

振り向いた彼女の顔色は真っ青で、じっとりと汗ばんでいた。

「 アレって何の事です?」
「 ここで話すのはイヤ、とりあえず用を足してから。」

よろよろと立ち上がった彼女は、小屋の裏のトイレへと入って行った。

 彼女が用を足し終えて帰る段になり、同じ道を通るのは絶対にイヤだと主張したので、遠回りに海岸へ出る道を捜して、しばらく辺りをうろうろした。
やっと砂浜へ出て、テントのある方向へ白砂を踏みしめて歩き始めた時、彼女が先程の事を話し始めた。

「 木が生えてたでしょ?」
「 はい。」

と言うより周りは木だらけ、木々の中に道があったのだ。

「 暗くて怖いから、ずっとK君の背中見て歩いてたの。」
「 はい。」
「 でも視界の端には木が見えるのよ。」
「 はい。」

ゆっくりと話す彼女の声、相づちを打つ自分の声、踏みしめる砂の音、波の音、風…

「 真っ暗なのに木が見えるの。」

確かに、木々の向こうに開けた場所でもあるのかうっすらと明るく、木々達がシルエットとなり、一層闇を際立たせていた。

「 木がね、一本一本真っ黒く、くっきり見えるのよ。」

木がそんなに怖かったろうか?と先程の光景を思い起こしたが、異形の木など見た覚えが無い。
ふっと彼女が立ち止まる。

「 気が付いたの、違ったのよ。」
「 え?」
「 黒い木じゃなかったの。」

うつむいたまま、かすかに震えながら彼女は言葉を続けた。

「 白い着物を着た老人が沢山、ずらっと横に並んでこっち見てたの!
お爺さんとかお婆さん達の隙間が黒く見えてたの!」

虫でも入ったのか、ランタンがジジっと音を立てた。
 その後泣きじゃくる彼女を連れて無事に仲間の元に戻り、寝かしつけた後、悪友らと共に飲み直し。
気が付くと、火の消えた焚き火の傍らでタオルケットに包まれていた。
 日はとうに頭上高く登り、セミの鳴き声が喧しく二日酔いの頭に響いた。
朝食兼昼食をもそもそと済ませ、テントを畳み荷物をまとめた。
件の先輩は普段通り元気を取り戻しており、ほっと胸を撫で下ろす。

 片付けが済み、最後にもうひと泳ぎして帰る時間となった。
借りた用具を返しに行くと、小屋からおじさんが出て来た。

「 皆さんキャンプは楽しめたネ?」

来た時と同じニコニコ顔で迎えてくれる。

「 はい!とても楽しかったです。ただ、あの・・・・。」
「 ん?何ネ?」

少し気になったので訊いてみる事にした。

「 あの林の向こうなんですが・・。」
「 あーごめんネぇ。先に言うと皆イヤがるからサ。」
「 え?」
「 あぃ?兄さん林の向こう行ったんじゃないノ?」
「 いや、そう言う訳では…。」
「 あの林の向こうはサ、この村のお墓がある訳ヨ。」
「 え!?」
「 このキャンプ場が後から出来て、お墓の中に道通す訳にはイカンから、この道作ってある訳サ。」

動揺を隠せずにおどおどとしていると、おじさんは尚もニコニコしながら言った。

「 今の次期はサ、内地で言うお盆?
ご先祖様が帰って来る時期だから、ホントならこのキャンプ場も休みだったけど、間違って予約受けてしまったからサ。」

そう言われて、初めて自分達以外客がいなかった事に気が付いた。
呆然と立ち尽くす自分を尻目に、ケタケタと笑うおじさん。
ふと視線を感じて振り向くと、先輩が泣きそうな顔で立っていた。











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日々の恐怖 2月25日 箱根

2014-02-25 19:02:28 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 2月25日 箱根



 K子さんは先月の末、妹さんと二人で箱根の温泉旅館に行ったそうです。
その旅館は古くて由緒ある旅館、文豪が定宿にしていたような旅館、といえば雰囲気は分かってもらえるでしょうか。

 二人は温泉も気に入り、お食事もおいしくいただいた後、部屋でくつろいでいました。
しばらくして、どちらからともなく、階下へ行ってお土産でも見て近くを散歩でもしようと言い出し、そろってロビー階へ降りました。
 途中、何人もの仲居さんたちとすれ違いました。
ビール瓶のケースやスリッパがたくさん並んだ広間があり、閉じられた襖の向こうからにぎやかな声が聞こえてきます。

「 宴会だね。」
「 そうだね。」

とりとめもない会話をしつつ、二人はロビー階へ到着。
 ロビーといっても、従業員が常時いるようなホテルとは違い、ひっそりとしていました。
二人は、そこでお土産や宿の歴史が書かれたパンフを見たりし、その後お庭を散歩して、夕食後のひとときを過ごしました。
 そして数十分たった頃、肌寒くなったので部屋へ戻ろうということになりました。
二人は階上の自分たちの部屋へ向かいます。
 ところが、自分たちの部屋がみつからないのです。
さほど大きな旅館でもなく、たいして複雑な造りでもないにもかかわらず、何故か部屋にたどり着けない。

「 この年で迷子になるなんてね~。」

仲居さんか誰かに尋ねようと、きょろきょろ辺りを見回す二人。
その時、妹さんが言いました。

「 おねえちゃん、なんか変じゃない?」

そう言われてK子さんも気づきました。
辺りがいやに静かなのです。
宴会が催されていたはずなのに、廊下には仲居さんの姿はありません。
 かの広間の前には、スリッパやビールケースこそ並んでいるものの、宴会の声もまったく聞こえない。
辺り一帯、人の気配がないのです。
訝しく思いながらも、二人は廊下や階段を行きつ戻りつ自分たちの部屋を探しました。

「 ねえ、こんなとこに廊下あったっけ?」
「 ドアの造りが、私たちの部屋がある階とはちがうよね。」
「 ここ、さっきも通らなかった?」

 そういえば、踊り場で見た盛り花や絵画もどこか記憶と違う。
若冲のような絵だったのが、竹久夢二の美人画に変わっている。
別の場所で見たものをここで見たと勘違いしてるだけだろうか。

 最初こそ迷子気分を楽しんでいた二人でしたが、だんだん怖くなりはじめました。
降りた階段とは別の階段を上ったり、その逆をしてみたりを繰り返していると、予想とはちがう様子の廊下に出てしまうこともありました。

「 動けば動くほど、ここがどこだか分からなくなる。」
「 さっき、踊り場こんなに狭かった?」

そしていよいよパニック寸前、というところで、その人は突然現れました。

「 どうかなさいました??」

振り返った二人の目の前には、茄子紺色の丹前を羽織った初老の女性が立っていました。
不思議そうにそう尋ねた女性に、ふたりは安堵の面持ちで言いました。

「 私たち、自分の部屋が分からなくなっちゃって。」

しかし、それを聞いた女性は、さも可笑しそうにカラカラ笑うだけで、そのまま行ってしまったんだそうです。

 がっかりした二人が自分たちの部屋を見つけたのは、再び自分たちの部屋を探そうとした直後のこと。
部屋に戻って安堵のため息をつきながら、さきの女性の不親切を愚痴るK子さんに、妹さんは言ったそうです。

「 あのおばさんが戻してくれたんだよ。」
「 どういうこと?」
「 おばさんが去ってくとき、なんか空気変わった感じがした。
ぼにょーんって歪んだみたいな。」
「 え?」
「 あの人、そういう係なんだと思う。」

ちなみに、K子さんの妹さんは幽霊を見るような霊感はないそうですが、ただ非常に感受性が強く、普段からとても勘の鋭い人だそうです。
 結局、怖い思いをした旅館に二泊もしたくないということで、翌日の宿泊はキャンセルすることになりました。

「 何か不手際があったでしょうか。」

と聞く従業員に、

「 なんかちょっと怖くって。」

とだけ言うと、その従業員はそれだけで合点がいったという面持ちで、

「 分かりました。」

と答えたそうです。

 地元のタクシーの運転手さんの話によると、その旅館のある一帯の地域では、以前から同様のことが起きるそうです。
雑木林の中や宿泊施設の裏の遊歩道など、屋外でも起こるらしく、そういう時は必ず人の気配がなくなるのだそう。
 そして迷った人々が元きたところへ帰還する直前には、いつも朗らかな初老の女性と出会うのだとか。

「 怖いことはないんですよ。
いっとき迷っちゃうだけでね。
磁場っていうんですかね、それが狂うのが関係してるって言う人もいます。
ただ、それとおばさんとが、どんな関係かは分かりませんけどね。」












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日々の恐怖 2月24日 秘密基地

2014-02-24 18:48:13 | B,日々の恐怖


     日々の恐怖 2月24日 秘密基地


 子供時代よくあったのは秘密基地。
埼玉だったんだが、小4の冬の寒い日に友人と夏に作った秘密基地に行った。
林の中のホコラみたいな小さな神社の裏手だったんだが、行ってみると神社が綺麗になってた。

「 な~んだ、秘密基地なくなっちゃったね~。」

と言ってたら、神主さんが出てきて、

「 このおもちゃは君たちのかい?
危ないし、ここは神様の家なんだから、勝手に上がっちゃいけないよ。」

といわれて、秘密基地に置いてあったおもちゃを返してくれた。
 親切だなあと思って見てみたら、ビー玉とオハジキがない。
ビー玉っていっても、ラムネの中のを集めたやつだけど。
 おかしいなと思ってあたふたしてると、神主さんの後ろに4才くらいの子供が綿入れ着て立ってる。
で、その子がいつもの巾着に入ったビー玉とオハジキをもってた。

「 これだけはこの子が気に入っちゃってしょうがないから、くれないかな。」

というから、別にいいかと思ってくれてやった。
 そのあとは玩具を神社の賽銭箱のうえに置いて、境内で鬼ごっことかかくれんぼしたり、雪だるま作ったりしてた。
よく雪が積もってたからね、40センチは積もってた。
 んで、気付いたら雪が降ってる。
ただの雪じゃなかった。
その頃は知らなかったけど、ダイヤモンドダストだった。
あまりに綺麗できゃあきゃあやってるうちに、冬だから日が早くて暗くなってきちゃった。
んで、済し崩しに解散した。
で、あとになって、玩具を忘れた事に気付いたんだ。

 次の日、集まってまた行ってみたら、神社なんて無かった。
前のとおりホコラがあるだけ。
あれ?ってみんなで思って、

「 じゃあ、秘密基地もあるんじゃね?」

って見に行った。
 秘密基地はホコラの裏の小さな洞穴の中で、子供がしゃがんで入れるくらいの穴だった。
入ったら玩具はあった。
でもビー玉がない。
ずっと捜し回ったけどなかった。

 で、成人して同窓会して、その時に地主の息子だった元担任がいうには、

「 あそこはお狐様の社で、ホコラは拝殿、本当の社は裏の洞の中だ。」

っていわれた。
つまり、本殿を秘密基地にしてたわけだ。

 同窓会の次の日、洞を覗きに懐かしい面子で行った。
LEDライト片手に洞に潜り込むと奥のほうが少しせり上がってて、一段うえの窪に小さな狐の彫り物があった。
 子供の時分は、暗かったから奥までは見ていなかった。
その彫り物のまわりに、ビー玉とオハジキがいっぱい散らばっていた。
ビー玉をどけてみると、巾着袋は狐の座布団代わりになってた。
 妙に納得した自分らは、元に戻して帰った。
あと、子供の頃のお宝だったジャンケンゲームの金コインを置いてきたんだ。












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日々の恐怖 2月23日 額縁の絵

2014-02-23 18:30:37 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 2月23日 額縁の絵




 自分が住んでたアパートの大家から聞いた話です。
俺が大学を卒業し、部屋を引き払って地元に帰る時に大家のオッサンと酒を飲んだ。

 昔、アパートを購入した際に一室、妙な部屋があったらしい。
今もそこは無人の部屋(建前では荷物部屋)になっているが、それは購入した時から開かずの部屋であって、大家は理由を深くは考えなかった。
 勿体無いので賃貸部屋にしたいが、もし、いわくつきなどといった部屋では困る。
別に過去に事件があったなどとは聞いていないが、自身が泊まってみて確認する事にしたらしい。

 部屋の中には、立派な額縁に入った絵と子供用の学習机のみだった。
大家は布団とラジオを持ち込んで、夕方から泊り込んだそうだ。
大家は幽霊など信じない現実派であり、夜もふけるまで電気をつけっぱなしで、ぼけーっとラジオを聞いていた。
 すると、視界の端で絵が動いた気がした。 

“ 気のせいか? 
いや、こういう事ははっきりさせねば・・・。”

絵を覗き込んでみる。 
 その絵は初見から理解できない絵だった。 
昔で言う、どこかの街道の途中に花柄の模様の着物が土の上にくしゃくしゃになって落ちており、その真ん中に黒い玉がある。

“ やっぱり、気のせいか・・・。”

 大家はしげしげと眺めた後、鼻で笑うと布団に戻って電気を消した。
寝付けなかった大家は部屋の天井を眺めていたが、異変に気づき飛び起きて電気をつけた。

“ 絵が動いている。”

早足で絵の前に立つ。 
 絵は変化していた。 
黒い玉は頭部だった。 
着物には中身があった。
描かれていたのは、街道沿いに倒れた着物姿の女性だった。
内容を理解した大家は混乱した。 

“ まず、何でこんな悪趣味な絵がアパートに? 
こんな気持ち悪い絵を誰が置いた?”

くしゃくしゃだった着物は膨らんで、今ではもうはっきりと人間が着ているように見える。
 黒い玉にしか見えなかった頭頂部は、日本髪の光沢までも鮮明になっている。
頭には赤いカンザシがささっており、その頭部がゆっくりと動いた。
大家は身動きすら忘れ、絵に釘付けになっていた。
 女の顔が見えた。 
血まみれの赤い顔が。 
目は潰れ、唇は膨れ上がり、顔面中に血が滴り落ちて光沢に輝いていた。
女は倒れたまま、コツン、とアゴを地面に置いて大家の方に顔面を固定した。
 女は首を困ったようにかしげた。 
ゆっくりと首が傾いていく。 
大家は女性の顔につられて、注視したままに自分も首をかしげた。 
 しかし、女性の首は人間には不可能なほどに回っていく。
ころん、と女性の首が横に転がっていった。 
残った胴体の首からは血の奔流。
大家はそこで気絶。 
 翌朝、絵を処分しようと恐る恐る近寄ると、そこには絵など無かった。
立派な枠に収まった、ただの鏡だった。













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日々の恐怖 2月22日 家族の絵

2014-02-22 18:04:26 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 2月22日 家族の絵



 中学の頃の先生から聞いた話です。
先生がまだ大学生の時、大学の先輩が教員免許を取るために小学校に実習に行ったそうだ。
先輩は受け持ちになったクラスの子供達とすぐに打ち解け、大変な実習もどうにか乗り越えられそうだった。

 実習終了まで後わずかとなったある日、受け持ちのクラスの女の子の家が火事になり、二階の子供部屋で寝ていた女の子とお兄ちゃんが亡くなってしまった。
一階で寝ていた両親と生後数ヶ月の赤ちゃんはどうにか逃げ出して助かった。

 突然の訃報にショックを受けたクラスメイト達は、みんな泣きながらお葬式に出席した。
お葬式の後学校へ戻った先輩は、クラスの子達が授業の時間に描いた絵を見ていた。
絵の課題は「家族の絵を描きなさい」。
みんな思い思いに自分の家族を生き生きと描いている。

 その中に亡くなってしまった女の子の絵もあった。
大きな画用紙に描かれた家族の絵。
お父さんが赤ちゃんを抱っこして、お母さんと一緒に花壇に水をやっていて、二階の窓からは、女の子とお兄ちゃんが三人に向かって手を振っている。
そんな、家族の日常を描いたほのぼのとした絵。

 先輩はハッとした。
今回の火事で逃げ出せたのも、外にいる設定で描かれていた三人。
逃げる事が出来ずに亡くなったのは、家の二階にいる設定で描かれていた二人。

「 まさかとは思うけどさぁ、二階にいて手を振ってるのって、火事で身動き取れなくて助けて欲しくて手を振ってる姿だったり・・、しないよな。」

先輩はそう言うと黙り込んでしまったという。











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日々の恐怖 2月21日 居酒屋

2014-02-21 20:16:25 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 2月21日 居酒屋



 自分的に衝撃的な体験をした話をします。
自分が19の時の話なんですけど、大阪の有名な繁華街の居酒屋でバイトしてた時の話です。
時給は1200で深夜は1400と貧乏だった自分には魅力的な条件で、募集して即面接、採用というながれでした。
自分的には、

「 おぉ、即採用ラッキー。」

ぐらいの認識でしかなかったです。
 はじめの2~3週間は何事もなく、むしろ優しいバイト仲間や店長、条件のいい時給に、

「 なんだよ超当たりバイトじゃんか!」

なんておもいながら働いていました。
 3週間位たって自分もそこそこ動けるようになりました。
いつもと一緒の時間にバイト行くとシフトに入ってるバイトさん達がその日4人中自分以外全員休んでました。
まあ平日だったし、店長のフルサポートのおかげで店は回りました。
 23時位に一息つけて、飯食ってたら店長が横で飯食い始めました。

「 すまんな~、たまにこんなことあるんだわ~。
○○(自分の名前です)はへいきか?」

なんて言うんで、

「 楽勝っす。」

なんて返したら店長が

「 ん、まあそういう事じゃないんだが・・・。
まあもうちょっとがんばろうや。」

なんて言って仕事に戻って行きました。
 自分はその時、?でした。

“ 何がそうゆう事じゃないのか、自分が何を思って返事をしたか知ってて、そうゆう事じゃないと言ったのか?”

へんなモヤモヤがあったんですが、店は忙しくなってくる時間だったので飯つめこんで仕事に戻りました。
 なんとかその日は店長と二人で店を回し切りました。
店長が、

「 マジ助かったよ~。
後は掃除やって帰るだけだな。
もうちょいがんばろうや!」

なんて言ってくれたのを鮮明におぼえてます。

 それで、便所掃除やってたときでした
便所掃除はまず大の方からクレンザーで泡たてて、んで小のの方も泡立てて・・・ 。
んで、どこの店も一緒だと思うんですが大の扉って勝手に、ぎ~~~って閉まるじゃないですか。
で、自分はバケツに水入れて大の扉を固定してたんです。
小の便器を頑張ってこすってたら後ろでいきなり、

「 バァーーーーーン。」

って、大の扉がバケツ吹っ飛ばして閉まってるんです。

「 まじかよ・・・。」

とか思って、でもまあその時は深く考えずに、もう一度バケツに水入れて、また大の扉固定して小の便器洗い始めようと振り返ろうとしたら、

「 バァーーーーーン。」
「 ・・・・・・・。」

てかしまらないよ普通。
とか考えてたら店長が来て、

「 お前、もっと静かに掃除しろよ。」

なんて能天気なこと言ってるんで事情を説明しました

「 気のせいだって、確実に・・。」

なんて店長は言ってたけど、その日の店長の顔はずっと目が笑ってなかったです。
 でも自分は怖い話は好きだったけど霊とか信じてなかったんで、その時は特に霊とかそんな体験としては感じてなかったんで、次の日もまた普通にバイト行ってました。

 何回か便所掃除したけど、もうあんな事は起こらず・・・、ってか忘れかけてた。
でも、やっぱりその店はおかしくて・・・・。
普段自分は夕方からしか入らないんだけど、その日は本職の方々が光栄にも自分たちの店で宴会をやるってな話で、初めて仕込みを手伝うって話で昼からバイト入りました。
 野菜切ったり、肉串に刺したり、刺身の用意したり・・・・ 。
まあ、なんてことはない料理の下ごしらえをして、3時過ぎには仕込みも終わりました。
 んで、終わって客席のカウンターなんかに座りながら、

「 本職マジカンベン。」
「 青りんごサワー大量に用意しとけよ。」

なんて話してたんです。
 有線から音が聞こえるんですよ。
はじめは気にしてませんでした。
でもなんか、

「 ・・・つい・・・。」

とか、

「 ・・・し・・・・い・・・。」

なんて、うめくような声で人の声が聞こえるんで店長に、

「 有線つけっぱですよ。」

って言ったら、

「 有線・・・?
つけてねぇし・・・?」

なんて言ってました。

「 つけてないとかって・・、聞こえません?」

なんて俺が必死に訴えるんで、皆しゃべるのをやめました

「 あつ・・・い。」
「 く・・・るし・・・い。」

正直涙目でした。
普段なら陽気に笑って何かフォローしてくれてた店長も、今回はマジ顔で、

「 みんな休憩外でな・・・。」

なんて言うんで、自分は何も言えずに飛び出すように私服に着替えて店を出ようとしました。
店長が、走って店から出ようとする自分に、

「 夕方は5時からでいいぞ。」

って、叫び気味に言った次の瞬間 、

「 ビーーーーーーーー。」

居酒屋って、客が店員呼ぶボタンあるじゃないですか。
あれが鳴ってるんですよ、座敷で。

“ ビクッ!”

と体が止まって、皆を眺めると恐怖って感じより、

“ やれやれ・・・・。”

みたいななんかそんな感じがしました
店長が、

「 俺、とめてくるわ。」

って、スイッチ消しに行ってました。
んで、消してあたり見渡して、

「 誰もいねぇ。」

って、言うのと同時位に、

「 ビーーーーーーーー。」

さすがにここはおかしいだろ、って初めて思って店長に、

「 どういうことなんすか?」

って真顔で3回位問いただしたら、

「 今日の宴会終わったら教えるわ。
頼むから宴会だけでも手伝ってくれ。」

なんて言われて、余計に不気味でした

( 大阪の本職の方々は、特定のサワーを好んで飲んでたらしいです。
自分の店の常連の本職は、青りんごがお気に入りだったらしいです。)

 正直納得行ってなかったけど、生活かかってたんで逃げるわけにもいかず、夕方には店に戻ってました。
宴会は案の定本職のわがまま連発で、ってかおかげで昼の出来事も忘れてました。
 宴会は無事終わって後は残りの客をかたすだけって時に、不意に焦げくさい臭いがしたので同じバイトの先輩に、

「 なんか焦げくさくないっすか?」

ってきいたら、

「 本職畳焦がしてるかもな!見てくるよ!」

なんていって座敷見に行きました。
 そんなときに新規の客が入ってレジ付近の女先輩が、

「 新規三名様入りました!!」

なんて言うんであわてて、

「 いらっしゃいませ~!!」

って大声で言ったんですよ。
 でもどう見ても2人なんです。
女先輩に、

「 2人・・・・、ですよね?」

っていうと

「 ううん、3人。」

って言うし、実際見てくると2人でした。

「 2人でしたよ。」

って女先輩に言うと、

「 え~、白い服着た男女と、それにぴったり付いてくる感じで黒い服着た女で3人だったよ~。」

なんて・・・・。
白い服のカップルはいたけど、黒い女なんていねぇよ;;
 そしたら、座敷行ってた先輩が焦げてなかったぜ、なんていって帰ってきたら女先輩がボソッと

「 ・・・・あ・・・・・あの黒い女・・・・焦げてたのか・・・・。」

それ聞いてぞわ~~~ってしました。
なんでそんな真顔で意味のわからないこと言えるんだって・・・。
 んで、その日の終りにやっと店長がいろいろ教えてくれました
まず、うちの店の近くの大型電気量販店、そこで昔火事があって結構な数の人が死んだなんて話。
今は(今もなのかな?)ビックピーカン?だっけかな?そんな名前の量販店です。
もう一つは、そこで亡くなった方々の供養の石碑みたいなのが、うちの店のちょうどま裏の寺にあるって。
 こんな繁華街に寺あるんかよ、って思ってその日見に行ったら、ほんとにありました。
その寺はちょうど店のトイレのすぐ裏でした。
店長が、

「 おまえ辞めるなよ。」

って、その日の終りにしきりに言ってました。
 まあ、店のみんな好きだったし店長もいい人だったんで、そこのバイトはしばらく続けました。
落ちもピリッとしませんが、でもほんとに体験した今でも忘れられない話です。












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日々の恐怖 2月20日 リュック

2014-02-20 18:46:05 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 2月20日 リュック



 約2年前くらいに体験した話です。
私は宮城県仙台市の某服屋の店員をやっている。
服屋で働いている関係上、衣料品や雑貨類等が何かと物要りになるのは御約束。
私も例に漏れず休みの日には街へ繰り出し、少し変わったアイテムを探し歩くのが日課になっていた。
取り分け私の働く店はミリタリー系のオリジナルアイテを多く取り揃えているので、それに類似するような商品を購入することが多かったと思う。

 その日、いつものように街へ繰り出した私は、たまには行ったこともない通りの路面店でも探してみようかといつもとは違う道を進み、様々な店を巡っていた。
ふと視界に古ぼけた看板が過り、私は慌てて足を止めた。
振り返った先にあった店はいかにも廃れたリサイクルショップの様な所で、知人が営んででもいない限り入店するような事も無いような風貌だったが、当時の私は”オモシロアイテムあるかもっ・・。”と、臆する事もなく店に足を踏み入れた。

 店内は長い間人が寄り付いていないのを物語るように酷く寂れており、物によっては埃にまみれて黄ばんでいる物が陳列されている常態で、強いカビの臭いが立ち込めていたのを覚えている。
酷い臭気に臆すること無く店の商品を見ていると、店主らしき初老の男性がレジと思われる場所にいつの間にかに佇んでおり、私は迷うこと無く声を掛けた。

「 すみません、ここって払い下げのミリタリーアイテムって置いてありますか?」

店主らしき人物は表情を変えること無く店の奥を指差し、一言だけ私に付け加えた。

「 あんまり人気無いよ。」

指を差された方向には、手書きで”米軍・日本軍払い下げ”と赤文字で書かれた標識があり、その下にはこれまた埃を被ったリュックや寝袋などが無造作に積まれていた。

「 日本軍!!」

色々な店を巡ってはいたものの、日本軍のアイテムは初めて御目にかかるためテンションはMAX。
陳列されている中でも一際状態が良く、使い勝手の良さそうなリュックを手に取りレジへと持っていった。

「 おじさん、これいくらですか?」

店主らしき人物は少し驚いた様な顔をしてから、明後日の方向を向き、

「 欲しかったら持って行って良いよ。」

とぶっきらぼうに答え、それでは申し訳無いので2千円を置いてお礼を言い私は店を出た。


 帰宅早々、早速その日買ったアイテムを整理し、最後に例の店で購入したリュックを確認する。
使用済みということだけあって、かなりアジがあり格好良い。
収納性はどうだろうと、リュックを開いたところで私は少し不味いものを買ってしまったかもしれないことを認識した。
内側には内側には当時の所有者の名前が記載された布が縫い込まれ、調度背中が当たる部分には広域に渡って赤黒い錆のようなシミが着いていたのだ。

「 やっべぇ・・・・。」

背中に嫌な汗が流れるのを感じ、とりあえず怖いのでネームの入った布を切り離し、リュック自体はシミを拭き取ってから一端押し入れにしまうことにして、その後は普段通り夕飯を食べ、TVを見ながらいつの間にか眠りについた。

ピンポーン…。

ふと、インターフォンの音で目が覚める。
意識がまだぼやけるなか、時計を確認すると時刻は午前3時を回り、あと十数分で4時になるところだった。

ピンポーン…。

再度鳴り響くベルに漸く覚醒し、こんな時間に来るような友人などいるわけもないので、恐る恐るインターフォンの受話器を耳に当てた。

「 はい。」

静まり返るワンルームに私の声が嫌に響き渡る。

『 ………。』

しかし受話器からは何の返答もなく、ひたすら無音の状態が続くのみ。

「 なんだよ…!」

眠りを覚まされた事と気味の悪さに少し悪態を吐き、ベットに戻ろうとするとまたもベルが室内に響く。

ピンポーン…ピンポーン…。

 まるでこっちに来いと言っているような鳴らし方に苛立ち、玄関に続くドアを無造作に開いて、ズカズカ進みドアスコープを覗いてみたがやはり誰も居らず、半ばヤケクソにドアの鍵に手を掛けた時、今度は部屋から携帯の着信音が鳴り響いた。
急いで部屋に戻り携帯のディスプレイを見ると、何故かこんな時間に実家のおばあちゃんからの着信。
慌てて通話ボタンを押すと、繋がるなり直ぐにばあちゃんの慌てた声が飛び込んできた。

『 名札、名札っ!リュックさ突っ込んで窓から外に投げろ!
したら電気つけて部屋に塩まいて知らんぷりしてろ。
明るくなったら帰ぇっから!』

 いきなりの事で軽く面を喰らっていると、ばあちゃんに急かされ言われるがままリュックを外に放り出し、とりあえず部屋中に塩を撒いた。
この間もベルが鳴り止むことはなく、寧ろ連打に近いような状態になり近所迷惑にならないだろうかと心配するほどだった。

「 ばあちゃんやったよ!
でもピンポン止まんないんだけど!?」
「 いい、いい。
絶対玄関開けたら駄目だど、お招きしたことになっからな?
お日様出るまでじーっとビデオでも見てろ、な?』

それから朝になるまでひたすらブラックコーヒーを飲み続け、ベルが聴こえないようにメタルをMAXでイヤフォンから流し時間をやり過ごした。

 7時過ぎ、いつの間にかに止んだベルの連打を確認して再度ばあちゃんに何があったのかを聞こうと実家に電話を入れた。
 ばあちゃん曰く、その夜の騒動はやはり私が購入したリュックのせいだったようだ。
暗い時代を見てきたリュック事態が善くないものを呼び寄せる媒体の様な物になっており、元の持ち主である方の名札がその力を抑えていたのに私がひっぺがした事でフルパワーになり、善くないものが沢山集まってしまったらしく、家の前が取り囲まれている様子を夢に見て慌てて電話を掛けてきたらしい。
幸い、良くも悪くも霊感体質らしい私の防衛本能が無意識に作動して家の中にまでは入り込めなかったらしく、ならば入れて貰おうと頑張った結果がピンポンだったらしいのだ。
 その後、適当に理由を付けてリュックは元の店に返し、ラップ音等が暫く続いたものの、気付けば普段通りの日常へと戻っていった。














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日々の恐怖 2月19日 キーホルダー

2014-02-19 18:14:48 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 2月19日 キーホルダー



 小学生の頃、友達二人と友達のいとこの家にファミコンのソフトを借りに行った帰り、国道で友達は信号が変わるのを待ってたんだけど、俺は早くそのソフトで遊びたくて、横断歩道のないところから飛び出した。
 走り出した瞬間に気づいた。
すぐ目の前、右から車が走ってきてた。
 ドン、ってぶつかった感覚のあと、俺はそのまま真後ろにあったガソリンスタンドの柱にぶつかった。 
はねられたんだろうな、って感覚はあったんだけど、まったく痛くない。
何の問題もなく立ち上がった。
 立ち上がったあと、ガソリンスタンドの店員が血相を変えて飛び出してきた。
本当に何の問題もなかったので、大丈夫大丈夫って言ってはみるものの信じてもらえない。
 そりゃそうだろう、俺が体当たりをかましてしまった車は少し先の路肩に停まってた。
採石場の11tトラック。
 店員さんに肩で担がれ、一番近くにあった医院(内科だったけど緊急時なので)に連れて行かれた。
擦り傷すらなくて、どこも痛くない。
そのまま脳外科に連れてかれて色々検査。
なんの問題もなかった。
両親も心配して駆けつけたが本当に無傷。
後日のムチウチすらもなかった。
 はねられた次の日、母親が職場のロッカーからあるものを持って帰ってきた。
首の取れた小さな地蔵のキーホルダー。
 その年に職場の慰安旅行かなんかで熊本(だったと思う)に旅行に行って、身代わり地蔵っていうのを見に行ったらしい。
そこで買ってきたものらしいが、はねられた次の日に職場のロッカーを開けたら首がもげてたとのこと。
一応供養はしてもらったけど、あれがなかったら俺死んでたのかもなぁ、と思った。













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日々の恐怖 2月18日 夕闇通り探検隊

2014-02-18 18:19:49 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 2月18日 夕闇通り探検隊



 うちの地元はニュータウン地域なんだが、もうボロボロな団地ばかり。
今では老人が住む町に変貌してるようなところなんだよね。

 で、小学校2年くらいだったかな?季節は夏真っ只中。
放課後いつも遊んでいるメンバー8人くらいで、冒険と称して遊びに出たんだ。
まぁ冒険といっても、地元から2kmぐらいしか離れてないところなんだけど、団地群の端の方で隣には雑木林があるような、雰囲気的には最悪な感じのとこ。
昭和80年代って感じ。

 で、その雑木林をみんなで歩き回って楽しんでたんだ。
んで、もう日が落ちてきたし帰るかってことで帰路についた。
 夕暮れ時ってやつ?黄昏時ってやつ?
まぁそんな雰囲気の中、帰路についてたんだ。
皆でワイワイ帰ってた。
そして、ある団地の前を通りかかったんだよな。
 場所は、雑木林から歩いていくとちょっと隔離されたような団地が二棟あって、その傍ら。
そのふた棟は横に並んでるんだけど、正面以外は雑木林というか木に囲まれていて空気が重い。
なんつーか、夕闇通り探検隊ってPSソフトがあるんだけど、まさにあんな感じ。

 正面の道路は普通の道路で、そこを歩いてたんだ。
そしたら、どっからともなく女の子笑い声が聞こえてきた。
俺は「え?」っと思って、回りを見渡しても誰もいない。
 仲間8人に女の子なんていない。
どっから声がしているのかその声の主を探したんだ。
そしたら、その団地の2階のガラス窓から女の子が網戸越しにこっちを向いてた。
また、その女の子が不気味。
何が不気味かって、その女の子の部屋は真っ暗。
部屋の奥は何も見えない。
そんな中、窓際の女の子だけがピンク色の服着てこっちを見ている。

 何秒か見とれた後、俺は周りに伝えようと思ったけど、何人かそっちの方見てて、明らかに女の子の存在に気付いているんだ。
そして、立ち止まった何人かが黙ってそっちの方を見てるものだから、気付いてなかった子達もそっちの方を見だした。
そして、やっぱり皆何秒か見とれてた。

 そしたら中の一人が、「うわーーーーーー!!!!!」って言って走り出したものだから、皆も叫んで走り出した。
この時、俺はローラーブレード履いていたので勢いあまって転んだんだが、必死の速さで起き上がり走った。

 そして、皆で普段いつも遊んでいる自宅の下の、団地で囲まれている公園にたどり着いた。
勿論皆、「幽霊だ!幽霊だ!」と騒ぎ始めた。
まぁ得意になったんだろうな。
知り合いのおばちゃんにも「幽霊がいた」って教える始末。
餓鬼は性質が悪い。
おばちゃんは軽く流してた。
 んで、しばらくして建設的な会議が始まった。
そして、「明日は休みだから、あの家をもう一回調べに行こう」って話になった。
仲の良い俺とその他2人で、明日の朝その家を調べに行くことになった。

 翌日、朝そのいつもの公園に集まり、3人でその家に向かう。
そして、その問題の団地に着いた。
さすがに晴天だし、朝なので不気味な気配はなかった。

 んで、手始めにポストを調べることになったんだ。
俺はヘタレだから前の道路にいて、ポストは友達が調べていた。
すると友達が、「20×号室だよねー?」と尋ねてきたから、
「うん、そうだよ!」と、部屋が何号室か分からないのに答えた。
「ちょっときて」と友達が手招きするから、一応ポストのところに行ってみた。
「これさぁ・・・」と友達が指を指したのは、その家のポスト。
なんか丸いシールが張ってあった。
よく見てみると、『移転:○○』と名前が書かれていた。

 この丸いシールは、引越す際にそこに名前を書き、新たにそこに居住する人が入ったら剥がされるというもの。
つまり、20×号室は引っ越したあとで、居住者も居ない。
つありあの女の子は、何者?マジで幽霊?
 一瞬理解出来なかったが、分かった瞬間凄い怖かった。
鳥肌が立ち逃げ出したくなった。
が、意外と回りの2人は冷静で、「2階に上がってドアの前まで行ってみようぜ」なんて言いやがった。
正直行きたくなかったが、二人が行くもんだから渋りながらも付いて行った。

 そして二階に上がり、20×号室の青い扉の前に立った。
これといって何もない。友達は新聞の投かん口を開けて中を覗いている。
 数秒後、投かん口を見ていた友達が、猛烈な速さで階段を駆け下り逃げていった。
と同時に、俺も猛烈な勢いで逃げ出した。
3人で何処へ向かっているのかは分からないが、取り合えず走った。

 多少走って人通りがある場所に出て、やっとそこで皆落ち着いた。
「なにがあったの?」と、俺は投かん口を覗いてた子に聞いた。
「いきなり顔に風がきたからビックリした」と彼は言った。
「風だけかよ」なんて思っていたけど、その日は無風で物凄く暑かった。
更によくよく考えてみると、空家なため窓は全て閉まりきっているはず。
その答えを皆で出したとき、皆黙ってしまった。
本当に寒気がした。
 昨日は「幽霊だー!」ってテンションの上がっってたのに、この現実を知らされた3人のテンションはガタ落ち。
本当に笑ってられなかった。

 そして、次に学校に行ったとき結果を皆に伝えた。
何人かはもう既に友達から聞いて知ってたみたいだが、盛り上がりは半端なかった。
「今日放課後行こうぜ」みたいな話が行ってない面子であがっていたが、俺ら3人は行くのを拒んだ。

 次の日、行った面子は「本当に引っ越してた。俺らが見たのマジで幽霊?」とか、神妙な面持ちで言ってきた。
8人全員同じものを見ているんだから、間違いはないだろう。
 勿論その後、俺らの学年では幽霊団地が話題になった。
それで、全く同じ幽霊を見たなんて奴がちょこちょこ居た。
中には「お線香の匂いが凄いした」とか言ってたけど、どいつもこいつも胡散臭い。
単なる便乗した目立ちたがり屋にしか見えなかったし、実際そうだろう。
 実際、彼女見た俺ら8人は、聞かれる以外もうその話をしなくなった。
実のところ、見てないから盛り上がれるのであって、見てしまったらもう幽霊以外のなにものでもなく、興味すら湧かなくなってたんだろう。
そうして、幽霊騒ぎは鎮火していった。













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日々の恐怖 2月14日 電話

2014-02-14 18:05:25 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 2月14日 電話



 10年くらい前に2階建ての一軒家で一人暮らしをしていた時のことです。
場所は千葉の東京寄りで駅からは遠かったけれども、お陰様で安かった。
 不動産屋曰く、住んでいた人が亡くなって親戚が相続したが空けておくのが勿体ないので賃貸に出した、と言うことだった。
家具やら調度品やらでかいものはそのままで、好きに使っていいっていう話だったけれど、さすがにガラスケースに入った日本人形だけは気持ち悪かった。

 住み始めてからは主に1階で生活して、2階はほぼ荷物置き場であまり上がらなかったんだけれど、たまに足音とか聞こえるような気がした。
でも古い家だからなと妙に納得。
 しばらくして、友達が遊びに来た時、

「 ここちょっと良くないかも・・・。」

と言われたことがある。
でも特に何も感じていなかったのでスルー。
 そんなある日の夜、近所の本屋併設のレンタルビデオ屋へ外出した。
携帯を持っていたけれど、家出てすぐにバッテリー切れで電源オフ。
 でも、気にせずそのままで、ビデオを返却したり立ち読みしたりして2時間ほどで帰宅した。
そしたら、すぐに家電に着信があった。
 出てみると友達からで、

「 あ、お前無事だったか、よかった。」
「 えっ、何が?」

聞いてみると、用事があって携帯に掛けたけれど、電源が入っていないので家電に掛け直した。
10コールくらいしてから切ろうとすると、がちゃと電話が繋がったけれど話しかけても無言だった。
あれ?と思っていると、突然老人の感じのうめき声が聞こえ始めたとか。
うめき声は10秒ほど続き、電話は切れてしまったらしい。

「 その後、何度かけなおしても留守電につながるし、お前が倒れたにしちゃ、じいさんの声だったし。」

そう言えば不動産屋は、今の持主の親戚が亡くなってと言ってたが、単純に病院で亡くなったと思い込んでいたけれど、自宅で亡くなったのかな?
まあ、その後2年間住んでいたけれども、そんなに変な事は起こりませんでした。











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日々の恐怖 2月13日 土の匂い

2014-02-13 19:10:25 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 2月13日 土の匂い



 大学卒業してすぐにニューヨークへ留学した。
語学学校に二年いってから専門学校に入校。
仲の良い友達も出来た。
 向こうにいてビックリしたのは、引越しをすることがイベントみたいになってて、仲間で終わらせること。
同じクラスのヴェネズエラ人の引越しを手伝うことになり、日本人二人とトルコ人、プエルトリコ人でスタートした。
 元の家から荷物を運び出して、アストリアてエリアまでレンタカー。
新居についてドア開けるなりツーンと土の匂い。
ニューヨークで三回目の経験。
 恐る恐る入るとワンベットルームらしく、玄関入ってキッチン、リビングがあって、その奥にドアがあって寝室。
寝室まで行くと匂いが無くなった。
荷物を上げる度にドアをくぐると感じる。
玄関あけてすぐ左の壁。
とりあえず完了するまで無視した。


 夕方に引越しが終わり、皆でウイニングイレブンしてた時に、しれーっと玄関に行き、壁を見てみると、物凄く嫌な気分になった。
壁をじーっと見てると、アンバランスな+マークが何層か前のペンキにありそうな感じがした。
日本人の友達を連れてきて「見える?」と聞くと、「十字架を逆さまにしてるんじゃないか?」と言われた。
 少し気持ち悪くなったけど、夜中まで遊びその部屋に泊まった。
プエルトリカンは帰り、主のヴェネズエラ人は寝室で寝て、自分ともう一人の日本人はソファから出てくるベッドで、トルコ人はソファ。
こっからが地獄だった。。


 自分も酔っていたのですぐ寝れると思ってたけど、玄関が気になり過ぎて全く寝れなかった。
トイレにいって、もっかいベッドの端にいって目を瞑ると、匂いとかなんも無しで五分ぐらいしたらいきなり金縛り。
 玄関から二人ぐらいでかい男が歩いてくる。
自分目が開いたまま。
目が閉じれない金縛りは初めてだったので、本当に失禁しそうになった。
玄関から歩いてきたのは、黒装束に身を包んだめっちゃでかい男二人。
二人とも白人だったけど、ヨーロッパ顔だった。
二人がユラユラ歩いてきて、玄関側に背を向けてるソファで止まった。
 トルコ人の耳元でなんかブツブツ言ってる。
二,三分したらこっちにきたけど、ソファの下から折りたたみのベッドを出してるからテーブルとベッドがくっついて、二人はこっちにくる隙間がなかった。
 日本人の友達が二人に絡まれると思ってたら、さすが洋物の人たち。
友達とかマットレス関係無くスルーしてきました。
太ももから下はずっぽりマットレスに埋まってるていうか、透けてる感じ。
で、一人は自分の体をスルーし、枕元に完璧に立たれ見下ろされる。
 頭の上から打ち落とされるように、英語じゃない呪文みたいなことを、ひたすら10分ぐらいか30分か、怖過ぎたから数分たったかも。
今でも二人の顔覚えてるぐらい長かった。
 なんか呪文が終わったらしく、二人が消えて金縛り終了。
ここで終わると思いきや、すぐに金縛り。
めっちゃ土の香り。

 急に最悪な気分になって、死んたほうがいいや的か空気になった。
その時に天井に飛んでました。
悪魔か鬼みたいなんが。
全身ふっとい血管だらけで、大きさはラブラドルレトリバーぐらい。
直視できなかったけど、形は超猫背な人間。
色は緑か青。
 寝ている三人を上から見渡して「you guys are not,,,,」て言いながら壁から出ていった。
「お前らは,,,,じゃない」て言われたから、大丈夫だった途端ガッツリ眠りに落ちた。


 朝起きて、トルコ人に昨日変な夢みたかと訊ねると、「すごく嫌な夢をずっと見てた」て怒ってた。
日本人の友達Hに昨夜の話をすると、全然知らなかったと言われた。
 ただ面白いので、家主には何も言わず不動産屋さんに昼から二人で行くことにした。
マンハッタンとかブルックリンは築100年、80年とかは当たり前なとこがあるけど、家主の家は築40年。
不動産に行くとおじいちゃんだったので、もしかしたら、と思った。


 ユダヤ人のおじいちゃんにアパートの住所を伝え昨夜のことを話すと、笑いながら「that kinda shit never gonna happen」。
そんなこと起こるわけない!てshitを交えながら答えられた。。
ただ、37年分の履歴をすぐ見れるから調べよう!てなった。
 手書きの履歴を三人でめくっていくと、79年でビタっと手が止まった。
なんたらhelmanて筆記体で書かれた名前の上から二重線が引かれて、evilなんたらのためムーブアウト、てメモ書きby若き日のおじいちゃん。

 おじいちゃんが難しい単語ばっかり話してたけど、明らかに悪魔崇拝信教の人間が住んでたみたい。
今までガチで忘れてたらしい。
ただ、家主には申し訳なさすぎて何も言わなかった。
結果、その後二年間そいつの家にはいかず、なんもありませんでした。


 て、また何が言いたいかわからない事になったような。
ただ、あそこまでエグいのは最初で最後でした。
恐らく悪魔ですから。
 アストリアに24時間あいてる有名な大きいダイナーがありまして、そっから徒歩10分圏内のアパートです。
あ、それから、家主のヴェネズエラ人は思いっきりクリスチャンで、名前もAngelて書いてアンヘルでした。
大丈夫だったから良かったけど。








   Angelの考察



何、Angelってか・・・!?

A(`∀)天使!! 仇敵ブッ殺!!!!
B(゜∀)ブッ殺yeah!!!!
C(=∀)ブッコゥ。

寝てるベネズエラン♂(零感)

A(;゜Д)…人だ…。
C(;・ω)しかもイカツイなぁ…。
B(;=∀)…着替えながら力尽きたのか…これ…。
A(#`Д)DAM'n!!!! 天使狩りに来てヤロウのイカツイケツ拝むとか何だこれ!!!!
B(;゜∀)てか、あっちの誰かに通じたら、さっさと出てけって伝えようぜ…オニャノコの入居キボヌ。

C(`・∀)σ『天使なんかじゃな』――ムグ!?
A(#`Д)日本のマンガディスってんじゃねぇ!!!!
B(;゜∀)あれ、そういう意味のタイトルじゃねぇからな?
    ~全てアラム語~

あ、いや、緑悪魔の呟いた内容が、

『 お前らは”まだ順番”じゃない。』

つまり、“一人一人、年月を掛けてジワジワと破滅させて行く”に思えたんで、その想像を振り払う勢いで、つい蛇足を・・・・。















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しづめばこ 2月13日 P278

2014-02-13 19:09:55 | C,しづめばこ
しづめばこ 2月13日 P278  、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。(FC2小説)

小説“しづめばこ”



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日々の恐怖 2月12日 家族

2014-02-12 19:50:46 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 2月12日 家族




 怖いはなしっツーかまぁよくある話かもしれないんだが、俺には2つ上の兄がいたんだよ。
俺が3歳の時に死んじゃったんだけどさ。
車に轢かれちゃってさ。
そんで、生前兄がスヌーピーのぬいぐるみをすごい大事にしてたんだよな。
 最近見せてもらったんだが、兄の生前の写真とかみるといつも一緒に写ってるんだよ。
そんで俺もパンダのぬいぐるみを兄にならって大事にしてたんだよね。
まぁそれは関係ないんだけどさ。
 でね、俺、兄ちゃんが死んだあと普通に兄ちゃんと遊んでたんだよね。
だから、あんまり死んだって事がわかんなかったんだよな。
たぶん、俺が小学校上がるまで遊んでたんだよな。
 スヌーピーとパンダでままごとみたいのもやってたし、レゴも一緒に作って遊んでたりしたよ。
ドラゴンボールも一緒に見た。
メロンも一緒に食った。
この辺の記憶はよく覚えてる。
 もちろん両親と墓参りとかいったけど、俺は兄ちゃんの墓ってわかんなかったし、よく墓って物を理解できてなかったから、なんとも思わなかったんだ。
それに、兄ちゃんより俺の方がお兄ちゃんになったりしちゃってさ。
兄ちゃんは死んだ5歳のままなんだよな。
 でも、その頃はそーいうものなんだなって考えてた。
でもいつの間にか兄ちゃんとも遊ばなくなったんだよな。
気づいたらいなくなってたんだ。
俺、小学校上がって友達と毎日のように遊んでたからさ。
忘れちゃってたんだよな。

 小学校1年生の一学期が終わって夏休みを迎えてさ。
俺「あっ、そーいえば兄ちゃんいねーや。」って不意に思い出してさ。
おかんに「兄ちゃんは?」って聞いたんだ。
おかんは、”は・・・?”みたいな顔してさ。

おかん「 あんた小さかったから覚えてないとおもってたわ。」

みたいなこと言われたんだ。
 俺、分けわかんなくなってしつこく聞いちゃったんだよな。
そしたら親ぶちぎれてさ。
おかん「 うるせーー!」みたいな。
俺、自分の部屋へ退散。
夜になって親父が帰ってきてさ、一緒に風呂入るんだけど、そのときにまた聞いたんだ。

俺「 兄ちゃんさいきんいなくてつまんないよ。どこいったの?」って。

最初はおかんと同じようなこと言ってたんだけど、「俺ずっと兄ちゃんと遊んでたよ。」って話になってさ。
俺「 ずーっと前にスヌーピーとパンダで遊んだ。」って言ったとたん、親父泣き出しちゃってさ。
結局、分けわかんないまま風呂出た。
そんで飯食って寝た。


 そんで先月、俺20歳になった。
親父とおかんで飯食いに行ったんだ。
いろいろ昔話になってさ。
兄ちゃんの話も出た。
そのときに上に書いた事を不意に思い出したんだ。
俺「 あっ、そーいえばさぁ俺兄ちゃんが死んだ後も兄ちゃんと遊んでたの知ってる?」って。
母親、親父共に思い出したらしく「 ああ、言ってたわね。」って感じ。
俺「 信じてる!?」って聞いたら
親父「 ああ、スヌーピーのぬいぐるみで、ままごとだろ?
信じるよ。
だって出棺のときスヌーピーも一緒に入れて燃やしちゃったからなぁ。
お前小さくて覚えてる訳ないしなぁ。
で、最近も遊んでるんか?」
俺「 いや、ずっと忘れちゃってて、今思い出した。」
おかん「 あらそう。でも不思議なこともあるのねぇ。お兄ちゃん・・・。」

その日以来、俺たち家族は曖昧な4人家族から本当の4人家族になった。














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