大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 2月24日 お祓い(1)

2021-02-24 21:22:19 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 2月24日 お祓い(1)



 6年ほど前の話です。
その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。
仕事でありえないミスを連発させたり、交通事故を起こしたり、隣県に遊びに行って車にイタズラされた事もあった。
 原因不明の体調不良で10キロ近く痩せた。
そして何より堪えたのは、父が癌で急逝したことだった。
 そんなこんなで、

「 お祓いでも受けてみようかな・・・・・・。」

なんて思ってもない独り言を呟くと、彼女(現在嫁)が、

「 そうしようよ!」

と強く勧めてきた。
 本来自分は心霊現象自体には否定的(こういうヤツが一番多いんじゃないか?)で、お祓いが利くなんて全く信じちゃいなかった。
自家用車に神主が祝詞をあげるサマを想像すると、シュールすぎて噴き出してしまう。
そんなものを信用するなんて、とてもじゃないが無理だった。
 彼女にしても、それは同じ筈だった。
彼女は心霊現象否定派で、なお且つオカルトそのものに興味がなかった。
だから俺が何の気なしに言った“お祓い”に食いついてくるとは予想外だった。
まぁそれは当時の俺が、いかに追い詰められていたかということの証明で、実際今思い返してもいい気はしない。
 俺は生来の電話嫌いで、当時、連絡手段はもっぱらメールが主だった。
だから彼女に神社に連絡してもらい(ダメな社会人です!)、お祓いの予約を取ってもらった。
 そこは地元の神社なんだけど、かなり離れた場所にあるから地元意識はほとんどない。
ろくに参拝した記憶もない。
死んだ親父から聞いた話では、やはり神格の低い神社だとかだった。
 しかし、神社は神社だ。
数日後、彼女と二人で神社を訪ねた。






童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月22日 祖母ちゃん

2021-02-22 13:16:54 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月22日 祖母ちゃん




 Hさんが祖母ちゃんから聞いた話です。
この前、母方の田舎で呪怨を借りて観たら(怖かったです…)、たまたま部屋に入ってきた祖母ちゃんが、カヤコの白塗り顔を見て、

「 ちょうど、こんなじゃった!」

と言い出して、期せずして祖母ちゃんの怪奇体験談が始まりました。

 嫁に来たばかりの頃、苦労しすぎて胃腸炎になってしまい、暫く入院したことがあったんだけど、その時同室だった80過ぎの婆さんに、

「 連れて行かれそうになった!」

って言うんですよ。
 その80婆さんは、祖母ちゃん(何かややこしい)が快復してゆくのと対照的にどんどん容態が悪化していって、とうとう特別室(今で言うICU)に移されちゃったんだけど、ある晩病室に現れて、ニタニタ笑いながら戸口で一晩中祖母ちゃんの名前を呼びつづけんだそうです。
 その顔と手足が、呪怨のカヤコみたいに真っ白だったって言ってました。
周りが白いから黒目だけがやたら目立って、以前の優しさの面影もなくてもう化け物も同じだったと。
 もちろん、祖母ちゃんは一晩中金縛り状態。
それで気が付いたら、いつのまにか朝になってしまった。
案の定、80婆さんその夜に悶き死んでたらしいです。
 祖母ちゃんは、

「 あれは絶対、自分を連れに来たに違いない。
もし、あの呼びかけに一言でも答えていたら、きっと魂を抜かれたと思う。
足の先から魂を引っ張ろうとしてるのが分かった。」

って言い切ってました。
 怖いと思ったのは、白塗り幽霊は病室の戸口に立ってたってのに、その呼びかけは口元からじゃなくて祖母ちゃんの脇腹辺りから聞こえてきたってことです。
 祖母ちゃん曰く、

「 〇〇さ~ん、〇〇さ~ん(祖母ちゃんの名前)って声が、脇腹から心臓に抜けた。
怖くて気を失いそうだったが、そうなったら連れて行かれる。
子供のことを思って、足を踏ん張って必死で堪えぬいた!」

んだそうです。
ちょうど50年前の話。







童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月18日 洞窟(2)

2021-02-18 11:05:37 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月18日 洞窟(2)




 ところが、夏頃になって彼女に異変が始まる。
真夏で、皆は暑い暑いと言っているのに、彼女は暑さを感じることが無くなっていた。
それどころか、むしろ寒いくらいだった。
 そして日に日にそれはエスカレートし、真夏なのにストーブをガンガンにして部屋で過ごすようになった。
しかし、それでも身体は暖まらず寒さで震えるほどになっていた。
 さらに、それに加えてまた新たな症状が現れ始める。
彼女は無性に息苦しさを感じるようになっていた。
 彼女は、

” これはきっと何かの病気だ、明日病院へ行こう。”

と思いベッドに入るが、その日はあまりにも息苦しく呼吸困難とも言える状態で、何度深呼吸しても息苦しさから逃れることは出来なかった。
そして意識が遠のくような感覚と共に、目の前が真っ暗になった。

ここは闇と静けさに包まれた世界。
酸素残量ゼロのボンベを背負った彼女が一人。







童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月16日 洞窟(1)

2021-02-16 09:57:39 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月16日 洞窟(1)




 1990年代、海底洞窟を探検していたアメリカのダイバーの話です。
男性ダイバー2人と女性ダイバー1人で海底洞窟を探検していた。
 しかし、途中で男性ダイバーの一人が異変に気付く。

” 女性ダイバーの姿が見えない!”

緊急事態だったが、酸素が十分にあるという訳でも無いので危険だった。
その為一度引き返してから大至急捜索のチームを送ることにした。
 一方、そのとき行方不明となった女性ダイバーの方は、仲間と逸れたため危険と思い、洞窟上部に空気を貯めて、そこに頭を出して避難していた。
ライトや電子機器類は壊れ、自力で脱出することは不可能だった。
 そこは闇と静けさに包まれた世界だった。
不安と恐怖で精神がおかしくなってしまいそうな状態だった。
 しかし、時間が経ち、焦燥感の中、遠くに揺らめく救助の光が見える。
そしてその数分後、捜索チームのダイバーが到着し、彼女は奇跡的に救出された。
救出された彼女は数週間の入院生活の後、家に戻り、また普段通りの生活を始めた。







童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月14日 黒電話(3)

2021-02-14 16:46:00 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月14日 黒電話(3)




 幾月か過ぎ、悲劇から立ち直った主人は変わらずにその古びた家屋で生活していた。
そしてある日、またも無言電話が鳴ったのである。
それは以前に亡き娘が掛けてきた無言電話と全く同じ時間に、同様の手口で掛けられてきた。
 これは悪質で陰湿な嫌がらせだ、主人はそう思った。
主人は無言電話が掛かってくると、以前にもそうしたようにコードを外して床に置く。
そうしてやり過ごす。
 しかし、そのうちに驚いた事に、娘がした時と同様に、受話器からぼそぼそと話す声が聞こえるようになった。
相手は娘でないのは分かっている。
娘は死んだ。
この事件を知っている者の悪質な嫌がらせだと思っていた。
 当然そう思うだろう。
そこで主人は、当時最新の録音機を手に入れた。
そう、それを使いぼそぼそと話す声を録音してやろうとの企みだ。
 ある夜、いつものようにいたずら電話が掛かって来た。
主人は用意しておいた録音機の電源を入れ、録音を開始したのを確認して受話器を横に置いた。
耳を澄ますと、ぼそぼそ話しているのが確認できる。
そして、ある程度録音したら、電話機のコードを外した。
 続いて主人は、録音機の音を大きくして再生させた。
そこから聞こえてきた声に主人は当惑した。

” 助けてほしい、助けてほしい、助けてほしい・・・・。”

娘の声に、主人は気が狂いそうだった。
そして、主人はその家を売り払った。
 その後、その家の持ち主はころころと代わり、そこに住んだ者は皆この電話に悩まされたそうだ。
また、周辺の噂によると、そこの内装を新しい物にかえる際に、その黒電話のあった場所の下の床を剥ぐと女性のものと思われる長い髪の毛がいくつも発見されたとも言われている。
しかし、その髪の毛が誰のものなのかは分かりようもない。
現在、その家屋は、文化財としてひっそりと保存されている。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月10日 黒電話(2)

2021-02-10 18:53:07 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月10日 黒電話(2)




 何を言っているのかわからないぼそぼそと喋る声は、主人が受話器を手に取ると押し黙る。
気味が悪くなった主人はしぶしぶ電話番号を変えてみたり、電話局に連絡し、警察に連絡し、いたずら電話の相手から逃れようとした。
しかし、何をしても毎日夜中に黒電話は鳴り続けた。
そして、原因が分からず精神的にまいってしまった主人は、祈祷師にお祓いを頼むまでに至ってしまった。
しかし、何をしてもいっこうにいたずら電話は止まなかった。
 精神を病んだ家族は、その家を売り払う事に決めた。
由緒正しい家柄、家屋にもそれなりの価値があり、これは当時の価値観からして辱めを受ける事と同義だった。
 が、背に腹は代えられない。
しかし、それが決まった数日後から電話は嘘のように鳴り止んだ。
そして、その数日後、旧家近くに住む娘が亡くなった。
原因は旦那による撲殺であった。
夫婦仲はよくなかったと主人も聞いてはいたものの、そのような事が起こるとは、信じがたい悲劇であった。
 そして警察の捜査のあと、娘の遺書が見つかったとの報告があった。
主人は娘の遺書を警察から受け渡され、その内容を見て悲しみのどん底に落とされた。
いたずら電話は娘であったようだ。

” 助けてほしい、助けてほしい、助けてほしい・・・・。”

そういった願いがその遺書には書き綴られていた。
いたずら電話の犯人はわかったが、それが娘であったとは。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月7日 黒電話(1)

2021-02-07 10:30:30 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 2月7日 黒電話(1)



 昭和初期の頃、世田谷の旧家の話です。
家柄は官僚の家系のエリート。
住んでいたのは家族5人、祖父+主人+妻+子供2人だった。
 そして、その旧家には黒電話があった。
ある日、その黒電話にいたずら電話が頻繁にくるようになった。
当時、娘二人はもうすでに嫁いでいて、家には祖父、主人、妻の三人の状態になっていた。
すこし時期が過ぎて、家が寝静まる夜中に何十回も鳴るようになった。
 内容は、当初は無言電話だった。
そのうち主人は、いたずら電話が掛かってくるとコードを外して床に置き、それ以上掛かってくる事を拒んだ。
 そんなことを繰り返しているうち、ある日、また、いつものように電話が掛かってきた。
主人は受話器をとり、また無言電話だろうと思ってコードを外そうかと思ったとき、何か受話器からぼそぼそ話す声が聞こえることに気が付いた。

” これは・・・・・。”

と思い、主人が受話器に耳を近付け様子を窺った。
また無言に戻っている。
それが数日続いた。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 2月2日  何かあってもうちは知らないから(7)

2021-02-02 18:23:37 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 2月2日  何かあってもうちは知らないから(7)





 その日も、

「 ほいリーダー、見えますかぁ?」
「 お、さんきゅ~。」

と、手元を照らしてもらいリーダーが鍵をかけていると、ガラス戸に映る同僚が照らしてくれている明かりの輪が、何か、

” ぼわん!”

といきなり大きくなった。
 が、リーダーは気にせず、そのまま鍵を鍵穴から抜き取って振り向いた。
そして、

「 じゃ、帰りま・・・・・・。」

と言っている同僚たちの後ろに、大きな白い光の球が、こちらへと向かって飛んで来るのが見えた。

「 う、うわわわわわ!」

それを見てリーダーがわけのわからない声をあげると、同僚たちも振り向き、すぐに気付いて、

「 げっ!」
「 ぎゃっ!」

などと悲鳴をあげてそれぞれに逃げ出した。
 リーダーもすぐに逃げようとしたが、その時まだ、玄関の施錠確認をしていない事を何故か思い出し、この非常事態だというのに、ガラス戸の鍵がちゃんとかかっているかどうか後ろ手で戸をガタガタと動かして確認しているすぐ真横を、1メートルはありそうな巨大な、しかも車のヘッドライトの様に強烈な白い発光体がガラス戸を突き抜けて、建物の中へと入って行った。
 光の球の中には何か人影の様なものも見えたが、そんなことはどうでもよかった。
リーダーは大きな発光体を目の前で見ながら施錠を確認し、飛んで逃げた。

「 もし施錠し忘れてたら、責任問題だろうが。
俺の立場としてはそっちの方が怖いから、幽霊よりも。」

と後にリーダーはぼやいていたという。

「 結局なんとか納品できましたけどね、まずはメインの部分だけ。
でも、本番に乗せてからも普通なら考えられないバグやエラーが出まくるし、ディスクも何度か飛ぶしプリンターも何台か壊れるし。
買ってきたばかりの新品のケーブルがどういうわけか壊れてるとか、マウスの中のボールがいつの間にか割れてるとか。
もうお手上げでしたよ。
 僕は本番が動きだしてから他の現場の担当になりましたけど。
ホント、あらゆる意味でとにかく早く逃げ出したかったです。」

 その商店は今も営業しており、裏庭の倉庫もまだあるという。
倉庫についての曰くは、

” 聞くな!”

と会社から命令されていたので、わからずじまいだそうです。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------