日々の恐怖 11月18日 トイレに住んでいるヤツ
私が高校生だったときのことです。
当時、9人家族で一戸建ての借家に二年間住んでいました。
9人家族なので、朝の7時前後にトイレが込むのは必至です。
ある日の夕食時に母が奇妙なことを言いました。
「 今朝、トイレの灯りが点いてたから、
“ 誰か入ってるの?”
って声かけたの。
そしたら、
“ うん。”
って返事があったんだよね。
その声がS(弟)かT(妹)か、どっちか分からなかったから、
“ 誰?S君?Tちゃん?”
って聞いたら今度は返事なくて、ドア開けたら鍵かかってなくて、誰もいなくてゾクッとしたの。」
それを聞いた家族は私も含め、
「 聞き間違いだよ。」
「 隣の犬の声じゃない?」
と聞き流しました。
それから数日後の朝です。
私はトイレに入りたかったのですが、灯りが点いているのを見て、
「 誰が入ってる?」
と叫びました。
すると、バサッと新聞を広げる音と共に父の声で、
「 おう。」
と返事がありました。
“ 忙しい時間帯に新聞読むな、って言ってるじゃん!”
と思いながら、
「 早く出てよ!」
と催促のためにドアノブをガチャガチャしようとしました。
ところがドアはすんなり開き、中には誰もいませんでした。
気味が悪かったですが、用を足して学校に行きました。
その日の夕食時に朝の出来事を話したら、私とトイレの中のやりとりを妹が聞いていました。
「 あれ、父さんじゃなかったの・・・・?」
その後、引っ越しをして今は別の家に住んでいますが、あの家は朝の明るいときでも怖かったです。
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