日々の恐怖 11月19日 妹と沖縄美ら海水族館
俺の実家がある町は、沖縄の水族館が有名なところだ。
昔、子供の頃、俺、母、妹(当時3歳)で水族館がある公園に行った。
母親がトイレに行ってる間、歩いたり走ったりする妹の後を追っていた。
そしたら妹がフッと消えた。
本当に煙みたいに目の前から消えた。
何が起こったかわからなくて、呆然と立ち尽くしてたら母親が戻ってきたので説明した。
その場に居合わせた大人も消えたのを見たらしく大騒ぎになった。
捜しても見つからないので、いよいよ警察だと話していたところに迷い子の案内放送が流れた。
慌てて迎えに行くと、ご機嫌でジュースを飲んでる妹と見知らぬ親子がいた。
その親子は関西からの観光客で、公園内を歩いてると草むらから子供が飛び出してきたので驚いたらしい。
周りに人がいないので、迷子だろうと連れてきてくれたとのことだった。
公園内は凄い広くて、俺がいた所と妹が出てきた所は端と端で、公園内のバスに乗って移動しなきゃ厳しい距離だった。
不思議だし説明つかないんだけれど、無事見つかって良かったと一安心した。
何故か妹は、その親子の小学校高学年くらいの男の子に懐いていた。
男の子は困っていたけれど、何とか引き剥がしてお礼言って帰った。
それから20年経ったころ、地元を出て関西で働いていた妹が結婚した。
相手はとっても優しそうな人で皆喜んだ。
それで、ある日妹から母親あてに電話がかかってきた。
義兄になったその人はご両親共に亡くされてるんだけど、それの片付けの延長線でアルバムを整理してたら、幼い時の自分にソックリ子が子供の頃の旦那と写ってる写真が出てきたという。
旦那に聞いても、沖縄に行ったことはあるが、その写真は覚えてないと言う。
“ お母さん何か知らない?”
との内容だった。
母親はビックリして妹に、当時妹が消えた話をし、
「 もしかしたらその時の人達だったのかもしれないけど、他人の空似だろう。」
と言ったら、
「 とにかく写真を送るから見て欲しい。」
と画像を送ってきた。
母親はその画像を見て仰天した。
これは間違いなく妹だと確信したらしい。
当時、母親は裁縫に凝ってて、念願の女の子だったこともあり、よく手作りで洋服を作ってて、その時も母が製作したワンピースを着てたから間違いないとのことだった。
その話を聞いて、その画像を見た俺は驚いた。
どう見ても妹だった。
きっと、あまりにも妹が男の子に懐いてるから、ご両親が微笑ましくなって撮影したんだろうとの結論に至った。
「 こんなことってあるんだねえ・・・。」
と母親と話したんだが、妹が突然消えたのだけが謎だった。
“ あれっ?”
っと思った時には、もう消えていた。
あの感覚だけは、今でも覚えている。
ちなみに妹と旦那の出会いはどこかの居酒屋で、その店がボヤ騒ぎで外に逃げたあと知り合ったらしい。
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