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日々の恐怖 11月6日 壁ドン

2015-11-06 18:40:20 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月6日 壁ドン



 大学生から、たまたま聞いた話です。

「 俺の隣の住人はいつもうるさくて、その度に俺は壁をドンドンと叩き返してる。
だから寝不足で辛い。」

って話を友人にすると、

「 今度、どんなものか見に行くわ。」

ってことで、今日友人が泊まって行くことになった。
 ところが俺が言ったことと違って静かだと思ったのか、友人は、

「 ぜんぜん音しないじゃん。」

と言って来た。
 俺は、

「 いや、だから隣は性格の捻じ曲がったヤツで、電気消して俺が眠りにつくと、それを見計らったように音を出してくるんだ。」

と説明した。

「 なら、とっとと寝ようよ。」

ってことで俺達は電気を消して寝た。
 音を待っていたが、待ち疲れた俺達はそのまま眠ってしまった。
それから2時間くらい経ったとき、不意に眠りを遮るように、けたたましい音が、

“ ドンドンドンドンドン!”

と、壁の向こうからしてきた。

「 ホラ、来ただろ?」

俺はうるさいと、ドンドン叩き返したが、友人は身動きひとつしない。

“ 寝てるのかよ・・・・、ま、い~か・・・・・。”

 次の日、俺は、

「 昨日もうるさくて叩き返したよ。」

って話すと、友人は俺の話を無視して、

「 お前、相当寝相悪いだろ?」

って言ってきた。

「 そんなに悪かった?」

友人は神妙な面持ちで、

「 昨日は怖くて言えなかったんだけどさ~。」

と切り出してきた。

「 え? 何?」
「 隣から音なんてしなかったよ・・・。」
「 え? まじ?」
「 しかも、お前が叩いてたのは、壁じゃなくてそれだよ。」

って指をさしたのは、引越し前から置いてあった古びたタンスだった。
タンスには所々に真新しいキズや磨り減った跡があった。









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