大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月28日 雨(2)

2015-11-28 18:53:46 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月28日 雨(2)



 夜もふけて、深夜になる頃に酒が尽きてきた。
そこで、友人二人がコンビニに買い出しに出ることになった。
私は部屋主の友人と待機である。
 だが、5分もしないうちに買い出しに出たはずの友人たちが戻ってきた。

「 やっぱり、皆で行こう。」
「 あの女の人がまだいて怖い。」

“ そんなまさか・・・。”

住人の友人は不気味がっていたが、酒が入っていることもあって肝試し気分で行くことにした。
 階段を降りるとき、ちらっと奥の通路を覗き込むと、確かにいる。
アパートに来たときと寸分違わぬ姿で、女がぼーっと遠くを見ながら立っている。
 私たちがこのアパートに来てから、何時間が経っただろうか。
その間、ずーっと同じ体勢で同じ場所にいたのだろうか。
生身の人間だとしても普通じゃない。

“ あの女は何者だ?”

とコンビニに向かう道すがら話し合った。
 そこで、帰りに挨拶をしてみようと私が申し出た。
酒のせいで気が大きくなっていたのだ。
 ところが、帰って来てみると女はいなくなっていた。
友人たちは不思議がったが、私は内心ほっとしていた。
その日は泊まって翌朝帰ったが、特に何も起こらなかった。

 それからしばらくして、そのアパート住人の友人が引越しを考えている、と言った。

「 もう引っ越すの?早くない?」
「 あの女の人がいるんだ。」

 友人が言うには、雨の日に必ず女が通路の電灯の下に立っているらしい。
雨が上がるといなくなっているらしいが、不気味で仕方がないというのだ。
 あの女性の異常な様子を思い出すとわからなくもないが、それで引越しを考えるというのは少し大げさのような気もする。
 友人は、

「 ちょっとあの女に話しかけてみた。」

と言った。
 私は、

“ 結構、大胆なことをするなぁ・・・。”

と思った。
 内容は、

「 “こんにちわ、二階に越してきたんですけど、この前友達とうるさくしてすいません。”って話しかけた。
でも、何にも言わない。
こっちに目を向けもしない。
じーっと上のほうを見るばっかりで会話にならなかった。」

と言うことだった。
 管理会社に問い合わせもしたが、どうにもならない。
雨が降ると朝でも昼でも必ずいるという。
ぼーっと立っているだけで何をされたというわけでもない。
 だが、

「 とにかく不気味で怖いから、早く引っ越したい。」

と友人は言った。
そして、

「 あれ、幽霊じゃないよ。
ちゃんと人間だと思う。
 でも、怖くない?
雨の日にあそこで、ただ、ずーっと立ってるんだよ。
何なんだろう・・・・。」

結局、友人は半年程度でそのアパートを出てしまった。
 女の正体はわからない。
ひょっとしたらまだ、まだ雨の日にあの薄暗い電灯の下に立っているのかもしれない。











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