日々の恐怖 11月3日 階段を作る(1)
建設関係の仕事をしているKさんの話です。
大阪のあるゴミ処理場建設のときの話です。
そこでは、よく作業員が迷子になった。
そして発見されるのは、いつも同じ場所だった。
ゴミを焼却する巨大水槽みたいになってるトコ。
水槽って呼び名じゃなかったと思うけれど、専門用語で何て言ったか忘れてしまったそうだ。
その水槽に入るには通らなければならないドアがあり、そのドアには“立ち入り禁止”の看板とともにカギがかかっている。
それなのに、迷子になる人は皆異口同音に、
「 迷って、普通に通路をウロウロしてたら、いつの間にかそこにいた。」
「 立ち入り禁止やカギのあるドアは通っていない。」
と言う。
発見の仕方も、いつも同じく、
「 おーい、おーい。」
という声が聞こえて、
“ またか!?”
と思い上から水槽を覗くと人がいる、という感じだった。
そんなある日、新入りの作業員が一人、またいなくなった。
しばらくしても戻らないので、Kさんともう一人が探しに行くことになった。
そこらを探してもいないので、二人顔を見合わせ、
「 やっぱりあそこかな・・・。」
と例の水槽を見に行くことにした。
責任者が持つ立ち入り禁止のドアのカギを持ち、その場所に向かう。
案の定、新入りさんは水槽の中にいた。
しかも、
「 向こうの階段からきた。」
という。
“ 水槽からの階段なんて、他に作ってねーぞ。”
と思いながら、向こうへ3人は行ってみた。
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