けいおんコーナー一階スペースの中央には、劇中でHTTの5人が使用した楽器の実物およびレプリカが陳列されています。これを見られるだけでも、この場所に行く価値があるというものです。
上図左は秋山澪、右は平沢唯の使用楽器です。いずれも小柄な女子高生が扱うには少々大きいのではないかと思えるサイズです。
平沢唯の使用するギターは、1952年に登場してロックシーンの主役となった「Gibson 50s Les Paul Standard (ギブソン レスポールスタンダード)」です。日本では奥田民生の使用ギターとして知られ、新品は20万円以上します。一説では、唯のギターは安価版のFaded(フェイデッド)だとされていますが、劇中での販売価格が25万円でしたので、たぶん、Fadedではないのかもしれません。これを琴吹紬が5万円に値切るという、凄まじい荒業をかましましたね。
実際に使用されていたのを寄贈したような感じで、各所に使用痕や欠けが見られました。本来のプリントロゴの上にHTTの赤い星が貼られてあります。
唯はこのギターをとても気に入っていて、「ギー太」と名付けていますね。
秋山澪の使用するベースです。FENDERジャズベースのレフトハンド仕様です。色は、女子高生が使うにはちょっと違和感のあるサンバーストで、どちらかというとミュージシャン向けのカラーですが、これをもってくるところに制作サイドの尋常ならぬこだわりを感じます。原作者のかきふらい氏がバンド経験者なので、なにか親しみがあったのかもしれません。
本来はこれも高価な品ですが、澪の使用品は、フェンダーの安価版である「フェンダージャパン」製ではないかとされています。上図の展示品はどうもレプリカっぽく見え、しっかり「MIO BASS」のロゴも入っています。
中野梓の使用するギターです。1986年に登場したモデルのFENDER JAPAN ムスタングです。愛称は「むったん」。ネックの長さがちょっと短いショートスケールですので、小柄な梓にはピッタリと言えましょう。価格も7万円前後ですから、高校生でも無理すれば買えますね。
ちなみにこれの本家版であるアメリカのフェンダーのムスタングは、既に1982年に生産販売が終了していますので、いま楽器店で見かける「むったん」は新品中古品を問わずフェンダージャパンの生産品であるそうです。
琴吹紬の使用するキーボードです。KORGの「TRITON EXTREME」です。多くの機種を数えるトライトンシリーズの中でも、真空管を使用する変わった珍種です。本編オープニングなどで青白く光る真空管の姿が出てきますが、電子機器であるキーボードにそんなものがついている事自体が珍しいです。そのためか、短命に終わってしまって、今では中古市場にもあんまり無いそうです。
そのためか、上図の寄贈展示品も劇中の76鍵タイプではなく、ポピュラーサイズの61鍵タイプです。
これも琴吹紬の使用するショルダーキーボードです。1984年にKORGより発売されたRK-100 WHITEです。現在は後継機RK-100Sに替わりましたが形状はほぼ同じです。ただ、RK-100 WHITEは重量が5キロもあって女子高生には取り回しづらいですが、力持ちのムギちゃんだったから扱えたのですね。1期シリーズのエンディングにて登場しますが、本編ストーリーでの使用シーンは皆無です。
2016年にはこれの「けいおんスペシャル限定版」がRK-100Sとして登場、当然ながら瞬殺となったそうです。
田井中律の使用するドラムです。ヤマハの中堅モデルHipgigです。従来のドラムよりコンパクトなタイプで、バスドラムが2分割できますので、収納、持ち運びが便利です。部活や学園祭ライブなどで持ち運びするシーンが多い事を考慮して、このモデルが選ばれたのかもしれません。
上図の寄贈展示品は、劇中のと異なる機種のようで、形状がやや違います。カラーのイエローは同じですが、バスドラムのロゴが「YAMAHA」ではなくて「YAHAMA」になっています。ジョークでしょうね。要は雰囲気を楽しめれば良い、ということでしょう。
コルグのトリトンの前に進みました。私もキーボード担当でしたから、やっぱり鍵盤楽器が馴染みがあります。高校時代に使っていたヤマハDX-7と同じ61鍵なので、あんまり違和感がありません。弾いてみたいな、と思いましたが、貴重な展示品なので触れないでおきました。
もし電源が入ってインジケーターが点灯すれば、すかさず「なぎさーをはーしるー、くもーのーかーげにー、つつまーれーてー・・・」とマイクに顎を寄せつつ、鍵盤の連打を楽しむことでしょう。
いやー、とにかく楽しいです。バンドをやっていたからこそ、こういう展示の実感や面白味がよく分かります。「けいおん」シリーズのファンになって熱中していたのも、高校時代の大切な思い出と重なったからです。ただ、HTTのような、あんな緩やかでまったりした青春は送ってなかったのですけどね・・・。
けいおんグッズには、楽器単体の組み立てモデルなども幾つかあったようですが、上図の展示品は手作りのオリジナル品のように見えました。
HTTのメンバーがそれぞれの楽器を演奏すると、こういう感じになるわけです。秋山澪が左利きでレフティですから、右利きの中野梓のギターと向かい合って三角のバランスある構図におさまります。澪を左利きに設定したのは、ステージ上の見栄えを良くするためでしょうね・・・。
これは2期第9話で町内演芸会に出た「ゆいあず」コンビですね。平沢唯が隣人の一文字とみ婆ちゃんに頼まれて演芸会に出ると聞き、中野梓が一緒に出ると言って、かくのごときコント風の出し物になりましたが、こういうのもフィギュア化されるあたり、人気がいかに凄かったかが分かります。ちびきゅんキャラでも商品化されましたから、この第9話はとくに人気があったのでしょう。 (続く)