駅舎の外に出ました。劇中でも見られた建物の実際の景観に、なにか嬉しくなりました。確かにここは大洗駅だな、と改めて思いました。
駅前にあるイルカのオブジェも、劇中そのままの姿です。イルカ、というのは駅前にあるオブジェとしては珍しい部類に入ると思うので、大洗駅前の景観に独特の味わいを与えているように感じられます。そのままアニメでも再現されて、多くの視聴者にインパクトある大洗駅前の風景をアピールしたわけですね。
駅前のバス停には、大洗町循環バス「海遊号」も停まっていました。劇中そのままの姿ですね。30分ごとに大洗町を周回し、聖地の各スポットを通るので巡礼にも便利です。一回100円、一日乗車券は200円です。今回はは「ガルパン街なかかくれんぼ」の54人のキャラクター等身大パネルを巡るのを目的の一つとしていましたので、循環バス「海遊号」の利用は見送りました。
駅舎を出て右手には、タクシーの乗降場があります。有名な二台のガルパンタクシーは、お休み中だということで見当たりませんでした。
タクシー乗降場のすぐ脇の広い歩道が、聖地スポットの一つです。最終話で優勝を果たして凱旋した大洗女子学園戦車道チームの全員が、西住みほの「パンツァー、フォー」の掛け声で一斉にジャンプした場所ですね。劇中では、奥の線路に停まった貨物列車からスロープで戦車を降ろしていましたが、現実にはそんな施設はありません。
とりあえず徒歩に移りました。駅前のロータリー全体の景色を撮ろうと思ったのですが、意外にも広いのでカメラに収まりませんでした。古い歴史を持つ大洗町の玄関に相応しい規模と風情でした。
駅前交差点で横断歩道を渡り、ふと右側を見回すと、見覚えのある建物の姿が視界に入ってきました。一階がコインランドリー、二階が公文算数教室、間違いなく最終話の戦車パレードのスタート地点に登場する建物です。この前の道路を、深紅の優勝旗を掲げたあんこうチームのⅣ号戦車D型(H型仕様)を先頭にして、各チームの戦車が行進したわけですね。
駅前から北北東に向かって歩きました。途中に「ガルパン街なか戦車せいぞろい」参加店が幾つかあり、戦車パネルの一部を見ることが出来ました。上画像は、美容院「K&K」さんの玄関にある、カメさんチームの38(t)戦車です。発見時の状態ですね。
続いて右側にある筑波銀行のショーウィンドーには、陸上自衛隊の10式戦車のパネルがありました。ガルパン戦車のなかで唯一の現代戦車です。大洗女子学園戦車道チームの教官を務めた蝶野亜美の搭乗車ですね。
パネルの横には「日本戦車道連盟模擬試験」の設問のQRコードも貼られてありました。次の機会には、私も参加してみようかな。
セブンイレブンのある信号交差点で右折して南南東方向へ進みました。まもなく歩道脇に上画像の旧式ポストを見ました。これがまだ現役なんですね。その後の商店街巡りで同じものを幾つか見かけたんですが、現行の箱型ポストの方は全然見当たらなかったのでした。私が見落としただけかもしれませんが、目につくポストがみんな旧型というのは、それだけで大洗町の本来の歴史的情緒をうかがわせてくれます。
駅前から5分ほどで、目的地に着きました。「エノキザワ」こと榎澤輪業商会さんです。向かいにスーパーのエコスがあるのが目印になります。今回はこの榎澤輪業商会さんでレンタサイクルを借りる計画だったのですが、着いた時はまだシャッターが降ろされたままでした。営業時間より早く着いてしまったようです。
それで、看板の電話番号にとりあえずかけてみました。「レンタサイクルを利用したいのですが、何時から営業ですか」と問い合わせましたら、すぐに開けます、との返事があって、ガラガラとシャッターが上げられました。
店頭には、黒森峰女学園のヤークトティーガーのパネルが懸けられてありました。早速レンタサイクルの手続きをしました。大洗では、大洗駅とリゾートアウトレットとここ榎澤輪業商会さんの三ヵ所にレンタサイクルがありますが、料金はいずれも500円です。
ガルパンファンに人気があるのは、大洗駅のママチャリと、リゾートアウトレットのガルパン仕様のイエローチャリですが、どちらも利用時には保証金1000円が必要です。ここ榎澤輪業商会さんでは保証金は不要なうえ、利用時に缶バッジが貰えます。
それで私はここを選んだのですが、その後の商店街巡りにて色んな店の人に「この自転車は榎澤さんとこのだね」とか、「榎澤さんで借りて大正解だよ」とか、「榎澤さんのレンタサイクルならしっかり走って安心して使えるでしょ」とか言われまして、大洗の各商店街の住民の多くが榎澤輪業商会さんで自転車を買って使っていることを知りました。なんでも整備やアフターサービスが丁寧なことで評判なのだそうです。
聞くところによると、大洗駅のママチャリやリゾートアウトレットのガルパン仕様のイエローチャリなどは、人気の故に多くの利用客があるにもかかわらず、担当係が素人なので整備が一辺倒であるらしく、タイヤの空気が足りなかったり、ブレーキの利きが甘くなっていたりと、様々の不具合があるそうです。大洗に限らず、観光地のレンタサイクルにはよくあることですね。奈良県の明日香村のレンタサイクルと大して違わないですね。
なので、プロの自転車屋さんである榎澤輪業商会さんのレンタサイクルは整備が行き届いていて、乗り心地も全然違うわけです。実際、タイヤの空気圧はバッチリ、ブレーキもよく利き、変速機は滑らかに作動して坂道でも楽々と走れました。
手続き後に、缶バッジを頂き、何台か並んでいるなかでママチャリタイプを選んだのですが、その時に店の主人が「夕方いつでも返してくれていいですよ。6時ぐらいまでは開けてますから」と言いました。実は今晩はこちらの宿に泊まるんですが、と返事をしましたら、「ああそうですか、そんなら明日まで貸し切りにしていただいても結構ですよ。お宿はどちらで?」と言われました。宿の名前を告げると、「ああ、いい処ですね」と頷いておられました。それで2日分の1000円を支払いました。
いい感じのお店でした。次の機会にレンタサイクルを利用するならば、もう絶対にここしかない、と決めました。頂いた缶バッジのデザインは、大洗女子学園の校章でした。
自転車にまたがって「ガルパン街なかかくれんぼ」の実施エリアに向かう途中、スガマ食品店さんの店頭で戦車パネルを見かけました。
これは黒森峰女学園のヤークトパンターですね。劇中では、大洗女子学園のカメさんチームのヘッツアーに二度も履帯を破壊されていましたね。名シーンの一つをリアルに思い出して、ますます楽しい気分になりました。 (続く)