(第四話)
吾輩はゴキブリである。八、隠居、熊が並んで住んでいる三軒長屋に巣くっている。きょうは、八の家でくつろいでいる。八の娘の早苗さんと八が何やら話している。
八「いやあ、大変だな、狂牛病の恐れがある肉がアメリカから輸入されていたんだと。良かったよ、食べなくて」
娘「私は食べたかったわ。クラスで私だけよ。牛肉を食べたことないのは」
八「うちはヒンズー教徒だからね、しょうがないんだ。宗教の規定で食べられないことになっている」
娘「初耳だわ。少なくともお父さんはヒンズー教徒のわけがないわね。だって、この前、『あぁ、縦だか横だかわからないくらい分厚いビフテキを食いたい』ってお母さんに言ってるの聞いたわよ」
八「おっ、そうだったかな」
娘「お金がないから牛肉を買えないってお母さんが言ってるわ」
八「まあ、そんなことより、狂牛病にかからなくて良かったじゃないか」
また、八が娘さんにやり込められている。そういえば、吾輩も牛肉を食べたことがない。この家にいる限りいつまでも食べられないかもしれない。それに、隠居だって、熊だって、牛肉を買う金はなさそうだ。よその家に行かないと牛肉は食べられないのだろうか。
吾輩はゴキブリである。八、隠居、熊が並んで住んでいる三軒長屋に巣くっている。きょうは、八の家でくつろいでいる。八の娘の早苗さんと八が何やら話している。
八「いやあ、大変だな、狂牛病の恐れがある肉がアメリカから輸入されていたんだと。良かったよ、食べなくて」
娘「私は食べたかったわ。クラスで私だけよ。牛肉を食べたことないのは」
八「うちはヒンズー教徒だからね、しょうがないんだ。宗教の規定で食べられないことになっている」
娘「初耳だわ。少なくともお父さんはヒンズー教徒のわけがないわね。だって、この前、『あぁ、縦だか横だかわからないくらい分厚いビフテキを食いたい』ってお母さんに言ってるの聞いたわよ」
八「おっ、そうだったかな」
娘「お金がないから牛肉を買えないってお母さんが言ってるわ」
八「まあ、そんなことより、狂牛病にかからなくて良かったじゃないか」
また、八が娘さんにやり込められている。そういえば、吾輩も牛肉を食べたことがない。この家にいる限りいつまでも食べられないかもしれない。それに、隠居だって、熊だって、牛肉を買う金はなさそうだ。よその家に行かないと牛肉は食べられないのだろうか。