<鼻歌で散歩>

くも膜下出血で受け死にかけました。鼻歌を歌って散歩しながら体力つけて100まで生きるつもりです。

吾輩はゴキブリである

2008-04-24 20:51:00 | 吾輩はゴキブリである
(第四話)

吾輩はゴキブリである。八、隠居、熊が並んで住んでいる三軒長屋に巣くっている。きょうは、八の家でくつろいでいる。八の娘の早苗さんと八が何やら話している。

八「いやあ、大変だな、狂牛病の恐れがある肉がアメリカから輸入されていたんだと。良かったよ、食べなくて」

娘「私は食べたかったわ。クラスで私だけよ。牛肉を食べたことないのは」

八「うちはヒンズー教徒だからね、しょうがないんだ。宗教の規定で食べられないことになっている」

娘「初耳だわ。少なくともお父さんはヒンズー教徒のわけがないわね。だって、この前、『あぁ、縦だか横だかわからないくらい分厚いビフテキを食いたい』ってお母さんに言ってるの聞いたわよ」

八「おっ、そうだったかな」

娘「お金がないから牛肉を買えないってお母さんが言ってるわ」

八「まあ、そんなことより、狂牛病にかからなくて良かったじゃないか」

また、八が娘さんにやり込められている。そういえば、吾輩も牛肉を食べたことがない。この家にいる限りいつまでも食べられないかもしれない。それに、隠居だって、熊だって、牛肉を買う金はなさそうだ。よその家に行かないと牛肉は食べられないのだろうか。

吾輩はゴキブリである

2008-04-07 01:06:02 | 吾輩はゴキブリである
さて、蜂達が住む長屋にはテレビが一台しかない。隠居の家にしかないのだ。そんなわけで、吾輩も隠居のテレビをよく見ている。テレビは面白い。テレビを見ている限り、人間って言うのは、面白い生物だと思う。

たとえば、勝ち組とか負け組だ。人間は負け組を応援する。朱鷺という鳥がいる。日本では絶滅した鳥だ。それなのに、人間は何とかして増やそうとする。それに比べ、吾輩はゴキブリである。生物界の勝ち組である。それなのに、人間はひどく毛嫌いする。人間も生物界では勝ち組なのだが、自分たちを毛嫌いすることはない。吾輩達を毛嫌いするくせに、自分たちを毛嫌いしないというのはおかしいと思う。不思議な生物なのである。

吾輩はゴキブリである

2008-04-06 20:35:32 | 吾輩はゴキブリである
次に隠居だ。隠居は三軒長屋の真ん中に住んでいる。頭は禿げている。六〇は超えているだろう。お神さんと二人で暮らしている。八の家に比べると裕福である。何しろ、テレビがある。新聞も毎日来る。

隠居の隣には熊という男が一人で住んでいる。熊は大工のようだ。毎日、仕事に出掛けている。八に比べるとずっとまじめである。

吾輩はゴキブリである

2008-04-06 01:05:34 | 吾輩はゴキブリである
吾輩はゴキブリである。夏目漱石の猫のように名はない。チャバネゴキブリである。褐色に光る肌はゴキブリ界の貴公子といっても過言ではない。

住んでいるのは、三軒長屋である。端から、八、隠居、熊という人が住んでいる。安普請の長屋なので、毎日、吾輩は適当に行き来している。

まず、八から紹介しよう。本人は植木職人といっている。しかし、家の外で働いている様子はない。大概、隣の隠居の家でテレビを見ている。なにしろ、八の家には何にもない。テレビもない。だから、隠居の家でテレビを見ている。

八の本名は八五郎なのだが、誰もそう呼ばない。ただの八だ。まるで、落語にでも出てきそうな名前である。性格も落語そのもので、そそっかしいことこの上ない。

八の家にはお神さんと娘さんがいる。お神さんは、毎日、働いている。結構稼いでいるようだ。そのおかげで八も、一生懸命働かなくてもいいのだろう。八とお神さんはいつも喧嘩している。娘さんは賢そうなお嬢さんだ。高校生である。粗忽者の八も娘さんの言うことだけは聞く。