『子供たちにとっての本当の教科書とは何か』 ★学習探偵団の挑戦★

生きているとは学んでいること、環覚と学体力を育てることの大切さ、「今様寺子屋」を実践、フォアグラ受験塾の弊害

「なぜ」を放っておかない

2012年03月10日 | 学ぶ
 
 
 
 人生を始めたばかりの幼い子どもたちは、まず何よりも生きていく術や可能性を追求しなければなりません。
問いをくり返すこと、つまり好奇心にあふれていたほうが、その手がかりは早くつかめるし、身についた結果がうれしさと心地よさをともなうほど、生きていく能力は早く身についていくはずです。心地よいことはくり返すからです。
 逆に、生きていく糧になる「学ぶこと」の代償が苦痛であれば、だれも積極的には学ぼうとしません。生きていく可能性が高くなる方向には決して進めないし、現在の姿は考えられません。
 子どもたちが、いちばん面白そうな表情や嬉しそうなようすを見せるとき、好奇心いっぱいにキラキラと眼を輝かせるときはいつでしょうか。

 「えっ、どうなってるの?」「どうしてそうなるの?」などという意外な顛末を発見したとき、そして、「そういうことだったのか」あるいは、「こうしてできていたのか」・「こうなっているのか」等の「なり立ちやしくみ」がすっきり解明できたときではないだろうか。いずれにしろ、すべて身のまわりや環境に対する視点が多角化し、構造が解明できたときだと思います。
 子どものときだけに限らず、大人になってからも同じような感覚は続いているのではないでしょうか。不思議に思っていたこと・疑問に感じていたことの解決がもたらす心の底から湧きあがる喜び・満足感・充足感は多くの人が経験していることでしょう。

 
 不思議に思っていたこと・疑問に感じていたことの多くは「なぜそうなのかという」いう理由や原因を問うもの、すなわち、成り立ちやしくみに対する疑問ではないでしょうか。それらが氷解したとき、未知の不安は解消し、不思議が不思議ではなくなる環境に対する理解が進み解釈できる幅は広がっていきます。
 自らの行動の有効性が増し、生存できる可能性が高くなるときでもあります。心の底からわき上がるようなうれしさの秘密は、その可能性が広がったことに対する快の表現なのでしょう。
 また、どんな問題であろうと、簡単に解決したときより、苦労したときの方が喜びは格段に大きくなります。「理解するのに苦労した」、「会得するのに時間がかかった」ということは、とりわけ自分が苦手だったところや経験が足りなかった分野のはずです。それを克服すれば、確かな手応えとともに自信も大きくふくらみます。喜びがより大きくなるのは当然だと考えられます。
 
 


 ぼくたちには、「学びたいという欲求」と「学んだときの快感―学ぶ喜び」がワンセットで生きるためのしくみとして、生まれつき備わっていると考える方が自然ではないでしょうか。
 つまり学ぶことは、本来なら喜びそのもので終わるはずではなかったか? 子どもたちは何事も知りたくて仕方がないし、学ぶことが嫌いなはずがないのではないか。
 本来学ぶということに面白さを感じるように生まれついているとすれば、学びが面白くならない多くの子どもたちは、学びはじめる最初期にそのしくみが上手く機能しなくなる原因があるのではないか。僕はそう考えています。

 
湯川秀樹博士は小さいころ、興味をもっていた本の内容についてお母さんに質問すると、何をしているときでもすぐに仕事の手を止め、博士をまっすぐに見つめながら直ちに正確な説明をしてくれたといいます。そういうときのお母さんの目は、子供心にもなんと美しく見えたことか、お母さんの苦心がなければ、私たち兄弟のように、学問ばかりやるものの一族は生まれてこなかったであろうと、想い出を語っています。(「旅人」 湯川秀樹著 角川ソフィア文庫より)。

 やはり、未知を究める、学ぶということのきっかけとしての、子どもの質問に対する答え方のたいせつさを述べているのです。
 湯川博士のお母さんのような人は例外かもしれません。子どもが理解できるように、すべての質問に正しくわかりやすく答えられる人など、ほとんど考えられません。
正確に答えることがよいのではなく、子どもの質問に真剣に向き合い、「問題解決の方法」を一緒に考えること、追求する姿勢を育てることがたいせつだということではないでしょうか。さらにいえば、問いを立て、『それを解決することには大きな意味があるのよ』と励ます姿勢と気遣いがあれば万全かもしれません。
 
 むやみに子どもの質問を無視したり、はぐらかしてしまうことがなぜよくないか、わかっていただけるのではないでしょうか。


   

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   立体学習を実践 学習探偵団 http://www.gakutan.com/
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