奈々の これが私の生きる道!

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映画「皇帝ペンギン」

2010-02-15 07:11:39 | 映画・テレビ
あなたはペンギンにどんなイメージを持っていますか?
私は、この映画を観るまで二本足でよちよち歩く、とてもユーモラスな生き物だとばかり思っていて、ペンギンの生態にそれほど関心はありませんでした。

この映画の主人公皇帝ペンギンは平均気温マイナス40度の極寒の地、南極の流氷に生息する唯一の生物なのです。

氷河期が訪れるはるか昔、南極は豊かな自然と、たくさんの生物であふれていました。
ところが、次第に雪と氷でおおわれるようになり、生物のほとんどがあたたかい南の地へと移動していきました。
しかし、皇帝ペンギンだけは厳冬の南極で生きる智恵を身につけ、全生物中唯一南極にとどまったのです。
ペンギンは鳥にも拘わらず、羽より大きな体で、空を飛ぶ事は出来ません。脂肪を身体にたくさんたくわえる事で、厳しい寒さから命を守る方法を知ったからです。

彼らは主に海中で狩猟をして生活しています。
ところが、一年で、真昼に太陽と月が出会う冬の初めに、二本足で立ち上がり、雪原の彼方を目指し延々と歩き始めます。
たとえ、巨大な氷山が行く手を阻み、時間がどんなにかかろうとも、十日でも二十日でも、ひたすら歩き続けるのです。

彼らの向かうところはオスとメスが巡り会うランデブーの場所。
そこに各方面から、たくさんのペンギン達が集まって来て、意中の異性の前で、求愛のダンスを踊り、結婚して生殖活動に入るのです。
やがて、メスは妊娠すると、卵を産むまで、空腹を我慢し、ほかのメス達と身を寄せて厳しい寒さに耐えるのです。
そうして、産卵すると、オスが足元の羽毛の中で、ずっと卵を大切にあたため、メスは体力を取り戻すために食料を求めに一人海に旅立って行きます。

極寒の地、南極では卵が寒さに耐えられるのは僅か数秒しかなく、その大切な命を守るために、父ペンギンは海中での狩猟を諦め、新雪を口にするだけで、生命の限界ぎりぎりまで、ひたすら卵をあたため続けます。
彼らの最大の敵はこの寒さで、なかには耐え切れず永遠の眠りに就く者も一人や二人ではありません。
やがて月が満ちて、赤ちゃんペンギンが卵の殻をつついて割り、新しい生命の誕生を告げます。
そして、ちょうどその頃、食料で体力を取り戻した母ペンギンは、それに合わせたかのように夫と赤ちゃんペンギンのもとに帰って来て、今度は母ペンギンが一人で幼い赤ちゃんペンギンを育てるのです。

過酷な極寒の地、南極での、彼らの命懸けの幼い命を守るための行動。

この作品は、皇帝ペンギンの深い家族愛を流麗なフランス語で語り、詩的に表現した愛の賛歌の映画と言ってよいでしょう。