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奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

テレビアニメ「機動戦士ガンダム」なぜ、若者なのか

2017-11-03 20:41:54 | 映画・テレビ

 テレビアニメ「機動戦士ガンダム」は、ロボットアニメの中で、もっとも有名な作品で

すが、私は、これまで一度も観たことはありませんでした。
 それに、「機動戦士ガンダム」を知らないからと言って、今まで困ったことは一度もあ

りませんでしたし、これからの人生も乗り切れると、固く信じていたのです。
 ところが、このアニメが大好きだという男性との出会いで、私の人生がガラリと変わっ

てしまったのです。
 そこで、今回、意を決して、このアニメを観てみることにしました。
 まず、私が興味を持ったのは、このアニメのどこに若者が惹きつけられたかという点で

した。
 これだけ人気があるからには強烈なオリジナリティと普遍的な何かを兼ね備えているに

違いないと思ったからです。
 その点に注意しながら観ていると、まず、主要な登場人物がみな十代か二十歳そこそこ

の若者だということに気づきました。
 しかも、このアニメでは年齢を重ねたキャラクターほど、頑迷で、融通がきかなく、人

間的な欲望に支配され、とても尊敬に値いするキャラクターは誰一人登場しないのです。
 その姿勢は、かなり徹底していて、ハヤトが瀕死の重症を負った時でさえ、十代の若者

が手当をし、経験豊富な年配者の医師を排除しているのです。 

  あの~、富野由悠季さんてさ、自分や愛する人が瀕死の状態になった時、経験豊富な

名医を否定して、本当に十代の経験の浅い若者に命を任せる気でいるの?

 また、アムロの父親は優秀な科学者だったにも関わらず、年老いた時、サイドシックス

のジャンク屋に身を寄せ、古ぼけた機械をアムロに持たせて、これなら、ジオン軍をやっ

けられると時代錯誤とも取れることを言ったり、母親は母親で、何が何でも戦ってはいけ

ないと、まるで、アムロの死を望んでいるかのようなことを平気で口走るのです。 
 それは、あたかも人は年齢を重ねると、みな愚かな生き物に堕落してしまうと取れなく

もありません。
 一体、人の命や地球の運命の鍵をにぎっているのが、みな若い人達でないとい

けない理由はどこにあるのでしょう?

 そこで、いろいろ調べた結果、原作者の富野由悠季その人の人生と深く関わっているこ

とが何となく分かってきました。
 この人は、手塚治虫先生の虫プロで、「鉄腕アトム」の演出をしたのを皮切りに、様々

な名作アニメに関わり、どこに行っても毛嫌いされ、相当な軋轢を経験し、そのたびに、

闘志を燃え上がらせていたようなのです。
 たとえば、「宇宙戦艦ヤマト」では、プロデューサーの西崎義展に、ストーリーに手を

加えたばかりに激怒され、「ヤマトをつぶしてやる」と復讐を誓い、「未来少年コナン」

では、コンテをすべて宮﨑駿監督に手直しされ、コナンをつぶすのを目標にしたのだとか


 だから、ガンダムで、年配の人ほど、愚かで、融通がきかないタイプのキャラクターが

多いのはそういう背景があったからではないでしょうか。
 しかし、その一方で、私は、このアニメのありように、明治維新を成し遂げた幕末の志

士と重なる部分を感じないでもないのです。
 その志士たちの多くは、二十代の若さで、それまでの先人の築き上げた歴史を否定して

、新たな歴史を構築していったからです。
 そこには、これからの時代は自分たちのものだという強い確信がみなぎっていたに違い

ありません。
 しかし、このアニメの主人公アムロは決して、強い意志を持って、敵と戦っている訳で

はないところが、これまでのヒーローものと大きく違っている点です。
 たとえば、自分だけが食事で優遇されることに、後ろめたさを感じたり、母親の「人に

鉄砲を向けるとは、なんて情けない子供だろう」という言葉に動揺したり、ジオン軍の脱

走兵ドアンとの出会いで、戦いの無意味さを感じたりするのです。
 
 つまり、アムロは極めて人間的で、謙虚な16歳の少年なのです。
 謙虚といえば、巨大ロボットものの元祖「鉄人28号」を登場させているところにも現れ

ているように思います。
 これは、知る人ぞ知る大変、貴重なショットらしいです。

これを拡大したのが、こちらです。


「機動戦士ガンダム」、それはあえて言うなら、「巨人の星」の星飛雄馬に極めて近い

ものがあります。
 実際、アムロの声は、星飛雄馬と同じ古谷敏さんが担当し、ミライは飛雄馬の姉、明子

と同じ白石冬美さんが声優をやっています。
 これは、決して、偶然ではないはずです。
 だから、ガンダムが好きな人は、幕末の志士を小説にした司馬遼太郎さんや、「巨人の

星」が好きに違いないのです。
 
 しかし、富野由悠季さんも安彦良和さんも「ガンダム」以後、それを超えるヒット作を

作ることは出来ませんでした。
 「ガンダム」に続編があるのは、優れた作品なのもありますが、結局、これを超えるも

のが作れなかったので、スポンサーが安定した視聴率の取れる「ガンダム」を要求したの

が大きかったからだそうです。
 それに何と言っても、年を取るほど堕落してしまう人間を「ガンダム」で描いてしまっ

た以上、その年令にふさわしいものが作れないのも無理はないのかもしれませんね。

 そういう意味でも、シャアの有名な「坊やだからさ」は、けだし名言に違いありません




 なんだか、ずいぶん、辛辣なこと、書いちゃって、「ガンダム」ファンには申し訳ない

です。
 でも、第2弾も書く予定ですので、これに懲りずにお読みいただけたら幸いです♪






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