奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

映画「白痴」黒澤明

2013-02-26 12:21:26 | 映画・テレビ
前回、書きましたように宮崎県民は雪が大好きなんです。
だから、大金を使ってまで遠く長野県から、わざわざ雪を運んで来て子供に遊ばせたり、雪のように白くて美しい女の子になってほしいと、子供の名前に雪の字を入れる親もいるほどなんです。
だけど、宮崎ではめったに雪が降らなくて、積もったとしても、4~5年に一度ほんの数センチ積もる程度なんです。
それでも私はどうにかして雪だるまを作った事があるのですが、小さくて、土が混じった黒い雪だるましか作れなくて、とても悲しい思いを何度もしたものでした。

そんな私ですから雪国・北海道への憧れは強く、春・夏・秋・冬すべての季節に北海道に行っています。
では、冬に行った時の印象を書いてみますね。

私が行ったのは二月の初旬で、もっとも寒さが厳しい頃でした。
フェリーで苫小牧に到着し、そこから札幌に向かったのですが、見渡す限り銀世界で、息を飲むほど美しく、あらゆるものが雪と氷で埋め尽くされていました。
その景色に私は震えるほどの感動を覚えたのです。
地上の醜い欲望や争いや憎しみ、すべてを真っ白な雪と氷が覆い隠し、美と清らかなものに変えているように思えたからです。
しかも寒さで身も心も引き締まり、余計なものが入り込む隙間を与えず、さながらそれは神様か妖精が魔法を使ったかのようでした。

私は雪と氷による荘厳な雰囲気に打たれ、ほとんど泣きそうになりました…

ところが、四月の中旬、春に行った時の印象は、地上を覆い隠していた雪が溶け出し、見るも無惨な様相を呈していたのです。
私がそう思った理由のひとつは、北海道のあちこちのお祭りで作られた雪像がすぐに撤去されずに溶けるには任せたままだったのも大きかったと思います。
札幌雪祭の雪像は祭が終わるとすぐに撤去されるのですが。

やはり、私は北海道は雪と氷に閉ざされた冬がもっとも素晴らしいと思えてなりませんでした。

それほど、私は雪と北海道の冬が好きなのですが、今年の宮崎は暖冬で、雪がまったく降らなかったのです。
そこで、せめて映画の中だけでも北海道の素晴らしさを堪能出来る作品はないものかと考えていたら、ドストエフスキー原作・黒澤明監督の名作「白痴」を思い出したのです。
この映画は札幌を舞台にして、全編、雪の場面があるんです。

でも、どうしてこの映画は雪が多い北海道の冬に撮影されたのでしょう?

それは黒澤明監督の雪にたいする思いが、私が抱いているイメージとほぼ同じだからだと思います。
この映画の、愛と苦悩、恋と憎悪を描いた人間ドラマをより鮮明に浮き彫りするためには神秘的で美しい雪の中で撮影するのが、もっともふさわしいと黒澤監督は考えたに違いないのです。
だから、雪のために撮影が困難になるのが十分予想出来たにも関わらず、巨額の費用を投じて、わざわざ北海道でロケを敢行したのです。

ところで、この映画はもともと4時間25分あったそうですが、映画会社の意向で、ほかの人の手により、2時間45分に短縮されてしまったそうです。
では、この映画は観るべき価値はないのでしょうか?

いいえ。私はある映画評論家が「編集がとても絶妙になされている。私は編集されてないものは観てないが、この編集版の方が優れていると断言する」と絶賛した文章を読んだ記憶があります。

また、この映画には、原節子さんの演技を観て小津安二郎監督が、黒澤監督に激怒したという逸話も残されているそうです。
小津映画に出演している原節子さんは一点の曇りもないほど女性の究極の美として描いてあるので、そのイメージを壊されたのが事の真相と伝えられています。

でも、私は小津映画には観られないまったく別の役柄の原節子さんを撮った黒澤監督に万雷の拍手を贈りたいです。
原節子さんはこの映画で、憎悪に満ちた表情を浮かべたり、高笑いをする場面があるのですが、私はこの役柄に人間味があって、女性の魅力をすごく感じるのです。
原節子さんは、永遠の処女とも言われたそうですが、那須妙子を見る限り、とてもそうとは思えないほど迫力のある演技をされています♪

それに、ほかのキャラクター設定も、ストーリーもとても素晴らしいです。

それはまるで高尚な昼ドラでも観ているかのよう。

なに~!
世界の文豪ドストエフスキーや黒澤明が昼ドラだと~!!

そうお怒りにならないで下さい。

と言うか、昼ドラも馬鹿に出来ないのではないでしょうか?

昔の昼ドラはメロドラマが主流で、薄幸の女性がけなげに生きる姿を描いたものとか、子沢山の家庭の主婦が、夫を支えながら家庭を切り盛りする、言わば夫が見ても安心出来るドラマが多かったと思うのです。
でも、今の若い主婦はそんなきれいごとでは到底満足しきれず、嫁姑の骨肉の争いとか、斬った殺したの血みどろの恋愛劇を食い入るように観ているのです。

でも、そんな妻を持ったご主人様が可哀相な気がしないでも?(笑)

まあ、私がここで言いたいのは、この映画も昼ドラも素晴らしいという事です♪

とは言え、先程、高尚な昼ドラと書いたように、この映画は人間の本質に鋭く迫り、人生の何たるかを問いたださせ、まるで鋭利なナイフで心の奥底に突き刺されるかのごとき錯覚に襲われるのです。
その奥深さはもはや昼ドラの比ではありません。
では、どんなストーリーなのか簡単にご説明しますと、時は昭和二十年、太平洋戦争で、死刑宣告を受けた亀田青年が、間一髪で人違いと判明し、九死に一生を得るも度重なるテンカンで重度の脳障害を起こしてしまいます。
そして誰にでも親切にしようと心に誓い、善意あふれる人物になるのですが、彼の言動が思わぬ波紋を呼び、不協和音の音色を奏でながら、周りの人々を次々に破滅へと導いていくのです。
この映画で、亀田と重要な係わりを持つ人物がおよそ四人います。
一人は、亀田が北海道の遠縁の大野に会いに行く途中、同じ列車に乗り合わせた赤間(三船敏郎)という人物。
彼は資産家の息子で、金銭で何でも手に入れられないものはないと考える人物。

二人目は、赤間が好きになりダイヤの指輪を贈った那須妙子という美女。
彼女は若い時分からある男の情婦となっていたのですが、悪相があるという事から、持参金六十万円で、ほかの男に譲られる身にあったのです。

三人目は香山という青年で、彼が持参金六十万円で、那須妙子と結婚しようとするのですが、大野の娘の綾子にも恋心を抱いていて、優柔不断な人物として描かれています。
そして残る四人目が大野綾子。
彼女は勝ち気で、猜疑心が強く、事ある毎に相手を質問攻めにしてしまいます。


私はこの映画を観た当初、まず善とか悪について考えました。
亀田は脳に障害を負ったがために、誰からも好意を持たれる善良な人物になった。
性善説という考えがありますが、亀田を見ていると、私まで優しい気持ちになり、人間の本質は善なのではないかと思えてきました。
しかし、赤間も最初はそんな亀田の言動に心を許すのですが、付き合うに連れ、彼の中の憎悪が次第に膨らんで殺意まで持つようになるのです。
結局、性善説は妄想に過ぎず、清濁合わせ持つのが、より人間らしいのではないのか?


ところで、私は久我美子さん演じる大野綾子には最初から、ずっといらいらさせられっぱなしでした。
彼女はあまりにも人を疑い過ぎるのです。

確かに優柔不断な香山も悪いかも知れませんが、彼女みたいに何度も何度も疑われたり、念を押されると、誰だって嫌になると思うんです。

しかも、善良な亀田でさえ疑い出すのです。
亀田が、那須妙子を選んだのは、綾子の猜疑心がそうさせたのでは。
私はそう思われてならず腹が立って腹が立ってたまりませんでした。

だけど、綾子がショックで、ベッドに泣きふした姿を見て、私は胸倉を荒々しく捕まれ、平手打ちを食らわされるほどの衝撃を受けたのです。

綾子は自分が本当に愛されているのか知りたかっただけだった。
だから、自分が傷つくのを承知で、何度も何度も問いただしていた。

私は、今まで自分自身が傷つくのを恐れ、うやむやにしたり、知らんぷりしてきた事がどれほどあるだろう…

私は何をそんなに恐れてきたのだろう…


ドストエフスキーは今なお世界中で愛読されていますが、その真価の一端を垣間見た気がしました。



そして、黒澤明監督が、この映画を雪の降る北海道の札幌で撮影したかった理由が、もっとわかるような気がしました。


雪は我々の醜い欲望や憎しみや悲しみを優しく覆い隠し、ロマンチックな気分にさせてくれます。

しかし、雪にはそれだけではない激しく厳しい一面もあるのですね。

雪 雪 雪

2013-02-15 06:46:07 | Weblog
もう、一ヶ月くらい前になりますが、私の北海道の友達が、ブログに家の外の雪景色の写真を載せていました。
私はそれを見て、思わず歓声をあげてしまいました。
そこには見渡す限り一面の銀世界が広がっていたからです。
雪がめったに降らないところに住んでいる私に、彼女は雪景色の写真をプレゼントしてくれたに違いないと思いました。
だけど、その下に書いてある文章を読んで、ア然とせずにはいられませんでした。
そこには、こう書かれていたからです。

あなたは、この写真を見て、どう思いますか?
私は心が折れそうになります。

彼女は、読者に雪景色の写真をプレゼントしてくれた訳ではなかったんです。
彼女は北海道に住んでいながら、雪が降る冬が大嫌いで、毎年この季節になると、気分が落ち込み、家に引きこもって、憂鬱な毎日を過ごしているのだそうです。
たしかに、私もニュースになるほど、深刻な雪の害があるのは知ってますけど、でもだからと言って、暗い気持ちのままで冬の間中、過ごさなくてもいいんじゃない?

そんな彼女に、こんなお話を聞かせてあげたくなりました。


今、うちの次男は修学旅行に行っていて、長野県でスキーをする行程も組まれています。
長男と次男は違う高校に通っているのですが、去年は長男も長野で、スキーを滑って来ました。
宮崎のほとんどの高校の修学旅行はスキーをしに行く行程が組まれています。

なぜなんでしょう?

それは宮崎にはめったに雪が降ったり、積もったりしないので、修学旅行で、子供達に雪と接する機会を与えようという学校側の配慮なのです。

もちろん、子供達も大喜びで参加します。

これに現されるように、私たち宮崎県民は雪がとても好きです。
たぶん、それは雪がめったに降らない事と無関係ではないと思います。

だから、雪が降ったら、とても得した気分になります。

朝、目覚めて、窓のカーテンを開け、雪が積もっていたら、寝ている家族までたたき起こして、家族みんなで、大喜びするのです。
それから外に出て、空を見上げ、雪を全身で受け止めようとしたり、写真なんかもバチバチ撮っちゃいます。(笑)

そして、もっと積もればいいのにと、祈ったりします。

だけど、こちらでは積もったとしても、わずか数センチくらいで、日陰は別として、お昼前にはほとんど溶けちゃうのです。


もっともっと積もればいいのに…

そういう訳で、こちらではめったに雪が降らないので、子供達に少しでも雪と遊ばせようと、数年前、ある小学校は毎年、遠く長野県から、わざわざ大量の雪を運んで、子供達が雪だるまを作ったり、ソリで滑って、大喜びしたとニュース番組で取り上げられた事もありました。

また、雪が好きなのは子供達ばかりではありません。
雪みたいに、綺麗な女の子に育ってほしいと、雪子とか美雪とか名前に雪を入れる人もいます。
そう、こちらでは雪は美しくて尊いものの象徴なのです。

私は子供の頃、雪国の子供達がうらやましくてたまりませんでした。
私もソリやスキーをしたり、雪だるまを作ったり、雪合戦をしてみたい。
あるいは、カマクラの中で、お餅を焼いたり、お料理をふうふうしながら食べたい。
雪ん子の格好をしてみたい。

雪国の子供達が、大雪が降ると、お家が埋まり、二階から外に出るのさえ愉快に思えたり、除雪した雪の壁の間を車が通る写真を見ても、雪国の子供達がうらやましくてたまりませんでした。

それは、無い物ねだりと言われれば、それまでかも知れません。


でも、本来、雪は美しくて尊いものだと、あなたも思いませんか?

だから、雪を厄介者扱いしないで下さい。

雪は、あなたを苦しめようだとか、いじめようと思って、降る訳ではないのですから。

だから、元気を出して、どうやったら冬を楽しめるのか、あなたなりに工夫してみて下さいね。


修学旅行で、長野でスキーをしたり、関東に行った次男は明日、帰ってきます。

どんなお話をしてくれるのか楽しみにしている私たち夫婦なのです。

映画「復讐するは我にあり」いい湯だな♪

2013-02-10 22:30:24 | 映画・テレビ
冬本番と言いますか、このところ寒い日が続いてますね~

私は寒い日は温泉に行きたくなっちゃいます。
それで、毎年このシーズンになると、あちこちの温泉に行っているのですが、最近お仕事が忙しくて、なかなか行けなくなってしまいました。
そこで、温泉にまつわる映画でも観て、気分だけでも味わおうと、こんな映画を選んでみました。

私は、この映画にはこんな思い出があるんです。

この映画は、日本アカデミー賞をいくつも取っているのですが、その授賞式の模様はテレビでも中継され、私もどの作品が受賞するのか興味深げに観ていたんです。

賞を射止めた映画は、その映画のワンシーンが流される趣向になっていました。
この映画もアカデミー賞をいくつも取りましたので、ワンシーンが流されたのですが、その場面は三国連太郎さんと、倍賞美津子さんが露天風呂に入っているシーンだったんです。
しかも、ただ一緒に入っているだけじゃなく、倍賞美津子さんがオールヌードになって、そのお胸を三国連太郎さんが揉んじゃうんです。
そのシーンは、とても衝撃的で、私の脳裏にすっかり焼きついてしまいました。
その理由は、当時、私がまだ汚れを知らない純情な十代のうら若き乙女で、お胸を揉まれた女優さんが、倍賞美津子さんだったからだと思います。
これが、その頃、ベッドシーンを数多くこなして、小悪魔的な魅力を放っていた樋口可南子さんだったら、それほどショックは受けなかったかも知れません。

倍賞美津子さんは、当時、粋で、かっこいい姐御肌の女優さんとして、若い女性の間で、絶大な人気があったんです。

それに、その頃、倍賞美津子さんは家庭で、アントニオ猪木という猛獣を上手に飼い馴らしていらしたのです。


アントニオ猪木さんが猛獣?

そうです。
私の考えでは、プロレスラーは人間でなく、猛獣と呼んで、なんら差し支えないと思います。

あなたも、プロレスラーが対戦相手を威嚇する雄叫びや、闘っている姿を見て、そう思いません?

おそらく彼ら自身、対戦相手に勝つ為に人間以上の存在、つまり猛獣になりたくてたまらないのに違いないんです!
だから、タイガー・ジェットシンとかジャガー横田とかタイガーマスク、あるいはアニマル浜口とか猛獣の名をリング・ネームにしているプロレスラーが多いのだと思います。
(ノビーさん、ほかに猛獣の名を借りてるプロレスラーを教えて!)

そういう訳で、この映画が、各部門のアカデミー賞を受賞し、そのワンシーンとして、倍賞美津子さんと、三国連太郎さんが露天風呂で、エッチをしている場面が何度も流されたので私の記憶に残っちゃったのです。(苦笑)

でも、不思議なのはこの映画の重要人物は主人公を演じた緒方拳さんと、小川真由美さんのはずなのに、どうしてこの二人の場面を使わなかったかという事です。

小川真由美さんが緒方拳さんに、お胸を揉まれるシーンだって、ちゃんとあるんですよ。
ただ一つ言えるのは、その時の小川真由美さんは着物や、アングルの関係で、お胸がよく見えないのです。

でも、倍賞美津子さんの場合はオールヌードで、お胸がバッチリ見えてるんです。
案外、そういうところに理由があるのかも知れないですね♪

ところで、この映画が作られたのは1979年で、三十年以上前という事もあり、緒方拳さん、フランキー堺さん、ミヤコ蝶々さん、清川虹子さんといった懐かしい俳優さんが多数、ご出演されています。
その中で、私が注目したのは主人公に真っ先に殺される役を演じた殿山泰司さんです。
この人は進藤兼人監督にも認められた実力派の俳優さんで、当時、とても気になる俳優さんだったのです。
そんなある日、本屋さんで、この人の著書を何気なく見つけて買っちゃったんです。
ところが、読んでみて、びっくり!
そのご本はタイトルが「日本女地図」と言って、殿山泰司さんがエッチをした日本中の女性のお話が書いてあったんです。(苦笑)
そのご本で、今も覚えているのは、殿山泰司さんが思ういい女とは、エッチをしたあと、あそこから鐘の響きに似た音が聞こえる女性だというのです。

そんな事が、本当にあるのか疑問に思う人がいらっしゃるかも知れませんが、医学的にちゃんと立証されているらしいです。

それで、私が思い出したのは、タレントのとんねるずのお二人が昔やっていたある番組で、のりさん演じる仮面ノリダーが、たかさんと闘っている最中に口にしていた「おならじゃないのよ、これは。空気の抜ける音なの」というセリフです。(笑)

このセリフ、なんでもたかさんがプライベートで、女性に言われた言葉を、のりさんが面白がって使っていたとか。(笑)

これは当時、私が付き合っていた彼氏が教えてくれました。

という事は???

なんだか映画本来のお話から、どんどん脱線しちゃいましたけど、「復讐するは我にあり」という映画、犯罪と共にエロチシズムも追及した作品という事で、ご容赦いただけたら幸いです。


まだまだ寒さ厳しい折り、あなたもぜひこの映画で、温泉気分に浸ってはいかがでしょうか♪

日本初の総天然色長編漫画映画「白蛇伝」東映動画

2013-02-04 06:48:56 | 映画・テレビ
先月、お正月早々、今年の干支をお祝いして、漫画の「へび少女」のお話を書きましたが、なんだか違うな?と、ずっと気になっていました。
と言いますのも、あの漫画は蛇が人間に乗り移って、片目を潰された復讐をするというストーリーですので、蛇年をお祝いするにはそぐわないのではないかと、正直言って気に病んでいたのです。(苦笑)

そこで、ほかに蛇を扱った漫画やアニメはないかと記憶をいろいろ辿ってみました。
すると、子供の頃、すごく興味を持って読んでいた「釣りキチ三平」で有名な矢口高雄さんが描いた「幻の怪蛇バチヘビ」という漫画を思い出したんです。
その漫画はドキュメンタリー・タッチで描かれていて、幻の蛇バチヘビを追い求めるストーリーで、いつバチヘビが捕まえられ、生態の謎が解き明かされるのか、毎回ドキドキしながら読んでいたのです。
この漫画が契機となり、のちのツチノコ・ブームが起こったのは、あまりにも有名な話です。


次に、蛇を扱ったもので思い出したのは、テレビアニメの「日本昔話」です。
このアニメの監修をしたのは、昭和三十年代に大ヒットした特撮番組「月光仮面」「七色仮面」の原作者川内康範さんでした。

ですから、風こぞうさんと、空飛ぶアカエイさんにとって、川内康範さんは頼りになるかっこいいお兄さんというイメージだったかも知れませんが、私にとっては、縁側で、抱っこしながら昔話をしてくれる優しいおじいちゃんというイメージだったんです♪

私はこの「日本昔話」が大好きで、子供の頃、テレビにかじりついてよく観ていたのです。
だけど、あのテーマ曲だけは苦手で、めったに聴いたことはありませんでした。
これはあとで知ったのですが、あの番組のテーマ曲は、寝た子も起きて泣き出してしまうほど世界一恐い子守唄だと言われているらしいのです!

そういう訳で、私もあのドスの効いた無理矢理寝かしつけるかのような歌声が恐くて、テーマ曲はなるべく聴かないようにして観ていました。(苦笑)
で、その昔話は、どんな蛇のストーリーだったかと言いますと、若い男性に助けられた蛇が、女性に変身して、その男性と結婚して、何人も子供を産んじちゃうのです。
ところが、ある日、蛇であることを男性に知られてしまい、それでも男性の女性への愛は変わらないのですが、元の姿を知られたからには一緒にいられないと言って、女性は幼子と目玉を置いて、いずこかへ去っていくのです。
幼子が私が恋しいと泣き止まない時は、その目玉をなめるようにと言い残して…

この昔話は、どんな生き物にも愛情はあるのだと教えてくれて、とてもいいストーリーだったと思います。

ところで、私はまだ観てないのですが、蛇の登場するアニメ映画で、気になるのに「少年ケニヤ」があります。

なんでも、この作品が公開された当時、ダーナという大蛇に人気が集まり、蛇が好きになった子供が大勢いたらしいのです。
そのお話を、空飛ぶアカエイさんにしたら、「少年ケニヤ」を早速記事にして下さり、映画を観たくなって、あちこちのレンタル屋さんを探し回ったのですが、残念ながら見つけられませんでした。

そのアニメは大林宣彦監督が手掛けたので、それも観たい理由の一つだったのですが。

そういえば、私が尊敬する手塚治虫先生の作品に、蛇の登場するものはなかったでしょうか?

そこで思い出したのがアニメ映画の「クレオパトラ」です。
クレオパトラは実在した女性で、毒蛇に自分自身を噛ませて、死んでしまいます。

だけど、このアニメは大人向けというか、エッチな場面が結構あるんですよね。(笑)

とは言え、手塚先生のためにも、もう一度観て、感想を書かなくちゃと覚悟を決めてたんです。
ところが、ブログで蛇特集を組んでいた空飛ぶアカエイさんが、東映動画のアニメ映画「白蛇伝」をご紹介され、そっちの方を断然観たくなっちゃったんです。
「白蛇伝」はレンタル屋さんにあったんです♪

エッチな「クレオパトラ」を期待していた方、ごめんなさい!(笑)

実を言うと私はこのアニメは観てなかったのですが、よく似たタイトルの「白蛇抄」という小柳ルミ子さん主演の映画は観ていました。

だけど、この映画、どこにも蛇は出て来ないんです。

そのかわり、男性にとっては、もっと嬉しいものが見られるかも知れませんが♪

ところで、私が「白蛇伝」を観たかった理由に中国の伝説や民話が好きだったというのが挙げられます。
とりわけ、私は「聊斎志異」という物語が大好きだったのです。
その物語は沢山の短い文章で出来ていて、仙人が登場したり、動物が人間に化けたりとか不思議なお話が多くて、昔、夢中で読み耽った思い出があるのです。
それに、このアニメ映画は東映動画(現・東映アニメーション)が日本で初めて創った総天然色長編漫画映画である事も観たかった理由でした。
本格的なアニメ産業の基礎を築いたのが東映動画で、ここから手塚治虫先生や宮崎駿監督を始めとする優秀な人材を数多く輩出した事でも知られていますから。


それではこの「白蛇伝」、どんなお話かと言いますと、中国の民話を題材に作られていて、少年シュウセンに可愛がられていた白蛇が、時を経て美女パイニャンに変身して、二人は愛し合ってしまいます。
しかし、法海という高僧がパイニャンが蛇である事を見破り、法力でもって二人の仲を引き離そうとします。
パイニャンはただ一途にシュウセンを愛してるだけという言葉を聞き入れずに…

そうして、パイニャンと法海が互いに不思議な術を使って戦い、ストーリーが展開していくのです。


私が、このアニメを観る前に気になっていたのは、果たしてどこまで中国らしさが表現されているかでした。
音楽はもとより、登場人物の衣装や舞台設定は当然、中国を意識していましたが、パンダが主要なキャラクターだったのが、ちょっとびっくりでした。
後年、日中国交回復の証しに中国から日本に贈られましたが、この頃からすでに日本で人気があったのですね。


今年も早いもので、あっという間に二月になっちゃいました。


やれやれ

今年の干支をお祝いするという意味で、ようやくふさわしい作品を観られて、ほっとした私でした♪