奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

予定は未定だけど

2010-08-29 17:42:43 | Weblog
実は、ひそかに計画してる事があるの。

それは、萌えブログに移行すること~!

最近、映画やご本のお話ばかりしてたら疲れちゃったの。

マジメに書いてたおかげで、いろんなところに紹介されて、アクセスはかなりあがってたんですけどね~

でも、もともと、そんなお話は書いてなかった訳だし・・・

これからは、もっと気楽に書いていきますので、どうぞよろしく~♪




 

ブログ休業のお知らせ

2010-08-29 16:29:04 | Weblog
いつも私のブログにお越し下さいましてありがとうございます。
あなたのおかげで、念願だった源氏物語のお話も終わらせる事が出来、ほっとしました。

今日のお知らせは、明日からブログを更新する間隔が長くなる事です。

慣れないお仕事を始めるものですから、そちらに精神を集中させたいのです。

ご理解をいただけると嬉しいです。


日ごろの感謝を込めて

奈々

アニメ「つみきのいえ」

2010-08-29 09:14:07 | 映画・テレビ
このアニメーションは、数々の賞を受賞していますので、ご存知の方も多いと思います。
あるところに、おばあさんに先立たれたおじいさんが、一人で暮らしていました。
ところが、おじいさんの住む家は、水がどんどんあふれて、ほうっておくと家が水中に沈んでしまうので、レンガを積み上げ、家を高くしているのです。
そんなある日、おじいさんは、お気に入りのパイプを水中に落としてしまいます。
おじいさんは、それを拾おうとして、水中深くもぐり、思い出の品の数々を見て、おばあさんと歩んだ記憶が次々によみがえってくるのです。

おばあさんと子供の頃から遊んでいた事や、結婚して子供が生まれ、子供の成長だけを楽しみに過ごした日々。
それらが、走馬灯のように、次々によみがえってくるのです。


おじいさん、今は年取ってしまったけど、あなたにも若い頃があって、希望に燃えて、おばあさんと楽しく過ごした日々があったんですね。

おじいさん、あなたが、家を見捨てないで、一人で、住み続けるのは、おばあさんと暮らしたこの家を大切にしたいからなんですね。

おじいさん。

おじいさん。


あなたの、その気持ち、私は決して忘れない。


今日も一日が終わり、日が暮れようとしている。

おじいさん、今日のお仕事お疲れ様。
さあ、あなたの好きなワインを飲んで、お食事したら、ぐっすりお眠り下さいね。


私にはおばあさんの思い出が、やわらかい毛布のように、おじいさんをあたたかく包んでいるのが見えるような気がするのです。










 

源氏物語の魅力 最終回

2010-08-28 09:43:37 | 源氏物語
今まで、お楽しみいただいた源氏物語のお話は、今回で終了させていただきたいと思います。
本当は、沢山のお姫様、一人々々のお話をしたいところなのですが、私が気になる藤壺、六条御息所・紫の上・朧月夜だけを書かせていただきました。

この物語が、千年もの長い間、女性たちに読まれ続けてきたのは、女性の本質や恋への憧れを満たしてくれるからだと思います。

しかも、この物語に登場する女性は、みなお姫様たちばかりです。
そのためか、源氏物語を読んでいると、いつの間にか自分までお姫様になったかのような錯覚を覚えてしまいます。
そのお姫様たちは、みんな上品で、慎み深く、おしとやかな女性ばかりで、決して、大声あげてわめいたり、ガッハガッハと高笑いしたり、人の悪口を言う女性は、どこにも出てきません。
また、大股で歩いたり、座った時にだらしなく、両足を開くお姫様も、もちろん出てきません。
当時のお姫様は、十二単衣を着ていましたから、重くて、ゆっくりした動作しか出来なかったはずですし、おまけに下着は身につけませんでしたので、大胆な格好をすれば、大切なあそこを見られてしまう。
そういう事情も、お姫様たちを慎み深くさせたのだと思います。

そんなお姫様になってみたい!

光源氏に抱かれてみたい!

眠っているところに突然現れ、ふいをつかれて光源氏に、からだを奪われてしまう。
そんなところも、受け身で、M気質の女性たちの気持ちをロマンチックにさせてくれるのです。

もちろん、行為の最中は、光源氏のされるがまま。
決して、男性のからだの上にまたがって、自分から腰をふるなんて、はしたない事、間違ってもしません!(笑)

源氏物語を読むポイントとして重要なのは、浮き舟以後を除き、このお話が紫の上と光源氏を中心に書かれてあるのを念頭に入れる事ではないでしょうか?

紫の上が、もっとも理想的な女性で、光源氏が一番愛した女性であり、光源氏がほかの女性たちと浮気を重ねていた時、紫の上はどうだったか?

また、光源氏に愛された女性は、どんな運命をたどったのか?

それらを頭に入れて、「源氏物語」を読むと、この物語が読者に訴えたかった事が見えてくるのではと思います。


お姫様がたどった運命を少しだけ、ご紹介しますと、光源氏のもとを離れ、出家する女性が何人も出てきます。

現代語に訳された瀬戸内寂聴さんは、当時の女性が自分の意志で生きていく唯一の手段として、とてもいい事のようにおっしゃておられますが、それは自分だけを見つめないで、浮気を続けた光源氏だったから、そうせざるを得なかったのです。

私には、女性は愛する男性とともに生き、愛を育んでいくのが、一番の女性の幸せだと思います。


私の「源氏物語」のお話に、長い間お付き合い下さいまして、心から感謝いたします。

ありがとうございました。





 

源氏物語の魅力その18 朧月夜の巻

2010-08-27 03:45:50 | 源氏物語
今回は、今一番人気のある朧月夜について書いてみたいと思います。

朧月夜は、十七、八歳から、四十四、五歳までの二十数年の長きに渡って、光源氏の不倫のお相手をつとめてきました。
結婚が人生のすべてではないですけど、この時代の生活力のない女性が生きていくためには、経済力のある身分の高い男性と結婚するのが、何よりだったのです。
なのに、結婚もさせてもらえず、二十数年も不倫を続けていたら、女の盛りをとうに過ぎて、淋しい人生しか残らないような気がして、朧月夜が可哀相にならないでもありません。

ほかの女性たちが、慎み深い貞淑なタイプが多いのに、朧月夜だけはとても華やかで色っぽく、女性の武器を最大限に利用しているように思えます。
それだけに、光源氏との性描写も丁寧に描かれ、その官能場面は私の胸も熱くなってしまうくらいです。

朧月夜は、光源氏との最初の出会いで、いきなりからだを奪われてしまうのです。
桜の宴の夜、朧月夜がお屋敷の細殿を、「朧月夜の似るものぞなき・・・」と、歌の一節を口ずさみながら歩いていると、光源氏が、突然、陰から、朧月夜の着物の袖を捕まえるのです。
どこの誰とも分からず、恐れおののき、助けを求める朧月夜に、光源氏は、「人を呼んでも無駄ですよ。私は何をしても許される身分ですから、おとなしくしていらっしゃい」と、ささやくのです。
相手が光源氏だと分かった朧月夜は、少し安心して、光源氏のされるがまま、犯されてしまい、その様子が、とても、いじらしく、かわいらしいので、光源氏はじっくり朧月夜との情事を楽しむのです。
だけど、事が終わり、現実に引き戻された朧月夜は、とんでもない事になったと、心が千々に乱れて、しおれきってしまうのです。
朧月夜は東宮妃になる予定だったのですが、この一件で、正式な妃になれなくなってしまうのです。
最初のうちこそ、朧月夜はこんななよやかな女性なのですが、光源氏と不倫を続けていくうちに、だんだん大胆になり、自分から逢瀬の機会を作るまでになってしまうのです。
しかも、自分を愛する朱雀帝の目を盗んで、光源氏と会い、からだを重ねて、スリリングな危ない橋を渡れば渡るほど、二人の恋は燃えるのです。

しかし、光源氏は、決して朧月夜と結婚しようとはしませんでした。
その理由は諸説あるのですが、おそらく光源氏にとって朧月夜は、遊ぶには楽しくて、ちょうどいい女性だけど、妻に迎えるには朱雀帝にも関心をしめすなど、多情で浮気心のあるところが、いまひとつ結婚に踏みきれない原因だったのではないでしょうか。
男は、どんなに浮気をしても、自分の愛する女には、それをしてほしくない。
そんな男のエゴから、結婚する気が起きなかったように私には思えるのです。

そうして、生涯の大半を不倫に費やした朧月夜なのですが、最後は光源氏のもとを離れて、出家し、自らの意志で生きようとするのです。
これは、ほかの女性にも言える事ですが、私には、朧月夜が愛情以外に生きる選択肢を求めたところが、哀れに思われてならないのです。


愛する人と結ばれるのが、女性の本当の幸せだと思うのに・・・














 

源氏物語の魅力 次回予告

2010-08-26 17:45:45 | 源氏物語
紫の上のお話が終わったところで、次回は、今一番人気のある朧月夜のお話をするのですが、その前に、名前の由来をお教えしたいと思います。
紫の上は、美しく高貴で上品なというイメージから、その名が付けられたのですが、朧月夜には光源氏の威光に暗い影を射し、不幸にさせるという意味があるそうです。

例えて言うなら、お月さまが光源氏、雲が朧月夜という訳ですね。

朧月夜は光源氏を不幸にさせるつもりで付き合っている訳ではないのに、なぜかそうなってしまう。

それは、一度きりの人生を、大いに楽しまなくてはと、性の快楽を得るためだけに付き合った二人が当然たどるべき道だったのかも知れません。

そんな二人は、どうやって出会い、どんなエピソードを繰り広げ、どういう末路を迎えるのでしょう。

それでは、次回をお楽しみ。

マンガ「ガラスの脳」手塚治虫

2010-08-26 07:25:21 | 読書
ある少女が、病院のベッドで、何年も眠り続けていた。

少女の母親は、電車の転落事故で亡くなり、その直後に、少女は産まれたのだ。
ところが、脈拍は正常なものの、産まれた時から、昏睡状態が続き、泣き声一つ立てないのだ。

そうして、少女は、生まれた時から、ずっと眠り続けているのだが、同じ病院に入院した少年が、「まるで、眠り姫みたいだね。だったら、ぼくのキスで目が覚めないかしら?ほら、眠り姫は王子様のキスで目を覚ますでしょう?」
そう言って、毎日、少女にキスをするようになった。
やがて、少年は退院するのだが、日曜日毎に病院を訪れ、何年もキスし続けた。

いつしか、七年の月日が流れた。

それは、少女が十七歳になった嵐の夜に起きた。
叩きつけるような強い雨と、すさまじい雷鳴と稲光の中で、少年が少女にキスをした時、少女の目が、突然開いたのだ。

やった!
ついに、意識を取り戻したぞ!


それから、少女は失われた時間を取り戻すかのように、言葉や文字など、あらゆる知識を、猛スピードで吸収しだした。
そして、目を覚まして、三日目、少女の実際の年齢に、心が追いつき、少女は少年に、初めて恥ずかしい素振りを見せた。
思春期にたどり着いたのだ。

二人は公園の池で会話をする。

「十七年も眠ってたなんて、自分でもあきれちゃうわ。
人生って、何かしら?
何のために、人間って、生まれて、死ぬのでしょうね?
私ね、・・・五日しか生きられないの。
五日だけ時間をもらったの。
もっとほしかったけど、それで充分だって言われたの。」

驚いた少年は、思わず聞いた。

「誰に、誰に言われたんだい?」


「ううん、わからない。自分で思いこんでいるだけかも知れないし・・・

ねぇ、愛するって難しい?

私、誰かを愛したいの」

その時、少女は、入院先の院長の名前を告げるのだが、院長は少女が眠り続けていた時、からだをもてあそんでいた事が分かり、少年は、かっとなり、院長をなぐってしまう。

そして、少女を連れて、自宅のある東京に向かうのだ。

ああ、今日で、五日目だ。

二人は不安な五日目の朝を少年の自宅で迎えた。

その日、二人は結婚の契りを交わし、ベッドでかたく抱き合い、愛の炎を燃やした。

「由美、ふるえているのかい?」


「ええ、最高にしあわせで恐いの・・・
雄一さん、眠らないでね。
私も眠らないから・・・
愛してる、愛してる。
あなただけを、ずっと愛してる・・・」


そうやって何度も二人は抱きしめあって、熱いキスをするのだ。

しかし、時計の針が、夜中の十二時を指し、鐘の音が鳴り響く中、少女は再び永遠の眠りに・・・


少女は五日間だけで幸せになれたのか?

幸せとは、何なのか?


雄一は、由美と過ごした五日間の思い出だけを胸に、その後の生涯を生きたのであった。
















 

源氏物語の魅力その17 紫の上の魅力つづき

2010-08-25 07:10:48 | 源氏物語
十四歳の時、初めて、光源氏に抱かれ、名実ともに夫婦になった紫の上でしたが、当時の一夫多妻制に加え、当代切ってのプレイボーイの光源氏は、そのあとも、次々に浮気を重ね、紫の上にとって波瀾万丈の人生が幕を切って落とすのです。
まず、最初の試練は、光源氏が不倫のお相手、朧月夜との逢瀬が宿敵、皇太后にばれ、都を追われて、光源氏と別れ別れに暮らさなければなる事から始まります。
「どんな苦労でもしますから、一緒に連れていって下さい」
そう言って、泣きながら光源氏に訴える紫の上なのですが、
「どうしても、帝のお許しが出ないで、帰れない時は、必ず呼び寄せますから、その時はどんなみすぼらしい岩穴の中でも二人で暮らしましょうね」
と、光源氏になぐさめられ、紫の上は悲しさのあまり、その場に崩おれてしまうのです。
ところが、そんな感動的な約束を紫の上としたにも拘わらず、光源氏は落ちのびた先の須磨で、女を作り、子供まで生ませてしまうのです。

光源氏、あなたって人はつくづく・・・

ねぇ、光源氏、聞いてる?
あなたがいない間、紫の上は、二条のお屋敷を気丈に切り盛りして、しっかり守っていたのよ。
少しは、紫の上の気持ちを考えておあげなさい!

そうして、須磨で、明石の君との間に子供を作った光源氏でしたが、残念な事に紫の上との間には、子供を授かる事はありませんでした。

愛する男性の子供を産むのは、多くの女性の願いだと思うのですが、紫の上には叶えられなかったのです・・・

しかも、光源氏はほかの女性との間には子供を作ってしまう。
紫の上は、最初、光源氏の子供を産んだ明石の君に嫉妬するのですが、その子供をあずかった後は、宮中にあがるまで、母親の役目を務め、しっかり育て上げるのです。
昔は、継子いじめとか、よくあったみたいですけど、それとは大違いですね。

紫の上は、光源氏の愛した女性たちに嫉妬する事もあったのですが、ちょっとすねて見せるくらいで、それが光源氏には、かえって、かわいらしく見えたみたいです。
それが、どんなにほかの女性にうつつをぬかしたとしても、最終的に紫の上のもとに帰っていく光源氏の秘密だったのでしょうね。
嫉妬も、程度をわきまえれば、かわいく見えるという事でしょうか?(笑)

だけど、そうは言っても、そんなにあちこちに女を作られては紫の上もたまったものではありません。
紫の上は、次第に精神を病み、女三の宮を、光源氏が正妻に迎えた時に、その哀しみは頂点に達し、ますます心労の度を濃くするのです。
かくなる上はと、出家を思い立つ紫の上なのですが、彼女を愛する光源氏はそれを許さず、ずっとそばに置こうとします。
しかし、心の奥から沸き上がる哀しみは募る一方で、いつしかからだまで蝕み、ついに四十三歳で紫の上は亡くなってしまうのです。



紫の上は、光源氏を愛するがゆえに、その意に添うよう従順に生きてきました。
しかし、光源氏は次々に女を作り、自分だけを見つめてほしいという女性の願いは叶えられず、愛する人の子供を産む事さえ出来ませんでした。

しかし、それでもなお紫の上は、ひたすら光源氏に愛されようと、光源氏に尽くし、愛情を傾け続けたのです。


そんな紫の上が、私は涙が出るほど、愛しくて愛おしくてならないのです・・・


















 

源氏物語の魅力その16 紫の上の魅力

2010-08-24 12:16:21 | 源氏物語
紫の上の魅力について書く前に、あなたにまず知ってほしい事があります。

源氏物語の作者は、紫式部という女性なのですが、これは本名ではなく、源氏物語の中の、紫の上から、一文字取って名付けられたのです。
つまり、紫の上は、当時の人々にとって、もっとも理想的な女性として描かれ、愛されてきた女性なのです。
それは、源氏物語が、時の権力者、藤原道長の娘の中宮彰子の為に書かれたからで、帝の寵愛を得て、子供を産み、より高い身分と権勢を手に入れる為に、理想的な女性を描く必要があり、紫の上に、もっとも理想的な女性の姿が託されているのです。

それは、他の女性たちが大人になってから登場するのに対して、紫の上がまだ幼い十歳から書かれているのにも顕著に現れています。
ちなみに、光源氏が、若紫と初めて出会った時、光源氏は十七歳でした。

幼い紫の上、その頃は、若紫と呼ばれていますが、本当にかわいらしく書かれてあります。
まだ幼くて、何も知らない若紫は、愛と言うのでなく、優しくて、かっこいい光源氏が大好きなのです。
光源氏が外出から帰ってくると、飛んで出て迎え、まとわり付いて、留守中の出来事をあれこれ話し、夜は光源氏に抱かれないと眠れないのです。
そんな若紫を、光源氏は愛おしくてならず、お人形やおもちゃを買い与えたり、同じ年頃の女の子たちを集め、遊ばせたりするのです。
そして、さらに文字や、お行儀を教え、女性としての、たしなみを熱心に覚え込ませるのです。
「女は心が素直で優しいのが一番なのですよ」
そう言う光源氏に、若紫は自分が気にかけてもらう事が何より嬉しく、素直にこっくりうなづくのです。
これは、現代でも言える事ではないでしょうか?
どんなに好きな相手でも、いちいち、反発されたら、いい気持ちはしませんよね。
それに、従順で、性質が優しいのは、男性に無上の安らぎを与えてくれると思うのです。

そうして、幼い若紫を熱心に養育した光源氏なのですが、いくら光源氏にロリコンの素養があったとしても、若紫のからだに、すぐに手を出した訳ではないのです。
光源氏は、正妻の葵の上が子供を産み、もののけに襲われて亡くなったあと、左大臣の家で静かにお経をあげる日々を送り、しばらく振りに二条の屋敷に帰って、大人ぽくなった若紫の姿に気づき、その時、初めて抱きたいと思うのです。
時に、光源氏、二十二歳、若紫、十四歳でした。

しかし、この頃、誰も、若紫にセックスの作法を教えた者はなく、ある晩、光源氏が自分のからだに覆いかぶさって、からだが一つになったのに驚き、あの気高くてお優しい、あの方が、けだものみたいな、いやらしい事をするなんてと思い、体中が真っ赤になるのです。
そんな若紫に、光源氏は、翌日の朝「どうしたの、気分が悪いのですか?」と、いつもの調子で話しかけ、すねている若紫の横に来て、その日、一日中、ぴったり寄り添い、二人きりで御帳台にこもるのです。

こうして、名実ともに夫婦の契りを結ぶのですが、実は紫の上は光源氏の正妻ではないのです。
当時の結婚形態は通い婚で、夫が妻の家に通うのが習わしでした。
ところが、紫の上の場合、両親に早く死に別れ、後見役がいなかったために、光源氏の二条のお屋敷に同居するほかなく、正式な妻になれなかったのです。
そうして、紫の上は第一夫人の座にはいたのですが、正妻のポストの座は、長らく開いたままになり、後々、女三の宮が光源氏のもとに降嫁する悲劇を生んでしまうのです。


つづく

源氏物語の魅力その15 紫の上の人気に思う

2010-08-23 08:05:04 | 源氏物語
先日もお伝えしたように、紫の上は源氏物語に登場する数ある女性の中で、長い間、人気ナンバーワンの不動の座にあったのですが、この二十数年の間に、不倫を楽しむ朧月夜に、その座を追われてしまいました。
では、今、彼女の人気は何番なのか?

現在の順位は二番だそうです。
だけど、一番の朧月夜との差は広がる一方で、歯止めがかからない状態にあるらしく、紫の上が一番好きな私としては、残念でなりません。
そこで、先日に引き続き、紫の上人気凋落の原因をもう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。
私が、紫の上が好きな主な理由は、光源氏を心の底から愛し、かわいらしく従順で、女性の哀しみを表現しているからなのですが、おそらく現代の女性には彼女の美質を理解出来ない人が増えてきたのだと思います。
とくに、キャリアウーマンに代表される、意志を強く持って生きている人達にとって、従順というのは、自分の意志を持たないという意味での欠点にしか捉えられない。
つまり、自分の生き方を愛情以外に求めている人が増えたからではないか。

そして、性に対する捉えかたも、昔と変わってきているような気がするのです。
昔の女性は、今ほど性に対する知識は少なかったし、身持ちが固かったと思うのです。
今は、性の情報が氾濫し、セックスに対しても、かなりオープンになっていますよね。
そのいい例が、できちゃった婚です。
昔は、結婚前に妊娠する女性は少なかったのですが、今では当たり前と思っている人がいるほどです。
これは芸能人でも言える事ですね~
今の芸能人は、できちゃった婚する人が多いですけど、昔の芸能人には、めったにいませんでしたから。
私には清純を売りにしている芸能人が、結婚もしてないのに妊娠するなんて、とても考えられません。

つまり、セックスを気軽に楽しむ女性が増えたのが、不倫を楽しむ朧月夜人気に拍車をかけた。

読者
「という事は、あなたは結婚する前、ご主人様とは、何もしなかったのね?」


「えっ!それは~・・・どうしよう?」
モジモジ・・・

読者
「ははーん、分かった!
あんたも、やる事は、ちゃんとやってたけど、たまたま運よく妊娠しなかったって訳ね。
なんだ、それだけじゃない。」


「あ~ん、いじわる~!」(苦笑)


そのほかの理由として、私はテレビゲームや携帯ゲームなどの影響も大きいんじゃないかなと思うのです。
敵をバッタバッタやっつけるゲームをする女性は、結構いらっしゃるみたいですけど、女性は本来、愛に満ちた生き物で、人に攻撃を仕掛ける事は出来ないと思うのです。
女性は愛する人を支え、その人の赤ちゃんを産んで、守り育てなければならない。
そのためには深い愛情がどうしても必要になってくる。
だけど、敵をやっつけるゲームをするには、優しさや愛情を持っていると、攻撃する気持ちが鈍ってくる。
そこで、怒りや憎しみの感情が必要になって、敵と戦っているうちに、相手を思いやり、愛する気持ちが薄れて、残虐な心を育ててしまう。
そんな人達が増えたから、夫婦間の暴力が後を絶たず、離婚まで増えてしまったのではないか。

私には、女性にとって、もっとも大切な、人を思いやり、愛する気持ちが薄れたのが、紫の上の人気凋落の原因に思われてならないのです。