今回は「帰ってきたウルトラマン」です。
今まで、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」と書いてきましたが、私はこの「帰ってき
たウルトラマン」から、出演している男性に興味を持つようになりました。
それまでの私は、あまりにも幼くて、怪獣とか、不思議なストーリーに主に惹かれて見て
いたからです。
しかし、それと同時に少しずつ、この番組以降「ウルトラシリーズ」を観なくなっていき
ました。
理由は、ウルトラマンが怪獣と戦うシーンが嫌になってきたからです。
別に、暴力反対とか、そういうのではなく、毎回、戦って、ストーリーを終わらせるとい
う手法に飽きちゃったのです。
だって、女の子向けのアニメや童話は、戦うシーンはあまりなくて、主人公の少女が、王
子様と結ばれて、ハッピーエンドを迎えたりするでしょう?
そういうのが、だんだん好きになっていったのです。
おそらく、そこが、男の子と、女の子の違いなんでしょうね?
まず、ウルトラマンに変身する郷秀樹ですが、幼い私はこのキャラクターがあまり好きに
なれませんでした。
優しさがあまり感じられず、どうしても冷たい印象を拭えなかったからです。
その代わりに、私が好きになったのは、岸田森さん演じる坂田健でした。
坂田健は、自動車レースの最中に、事故に遭った過去を持ち、松葉杖がないと歩けない身
体だったのですが、美形で、厳しい一面を持ち、かっこよかったのです。
また、松葉杖に支えられて、びっこを引きながら歩く姿に、幼いながら、母性本能みたい
なものをくすぐられていました。(笑)
女性では、坂田健の妹、坂田アキ役の榊原るみさんが、可愛くて、郷秀樹を慕う姿がいじ
らしく見えて大好きでした。
男の子の場合、「ウルトラセブン」のアンヌ隊員が好きだという意見が多いみたいですが
、私は、断然、坂田アキ派でした。
そういう事を念頭に置きながら、子供の頃以来、数十年振りに「帰ってきたウルトラマン
」を観てみました。
すると、子供の頃、あまり好きになれなかった郷秀樹役の団時朗さんが、結構、いい男に
見えて、びっくりしちゃいました。(笑)
この人が、すごく真面目に、郷秀樹を演じている事に初めて気づいたのです。
私、真面目に仕事に打ち込む人が好きなんです♪
その反面、頼りないなと思ったのはマットの加藤隊長で、隊員に気兼ねしながら、指揮をし
ているようで、ちょっと情けなく見えました。
でも、加藤隊長を演じた塚本信夫さんの名誉のために付け加えておきますが、この人は大
河ドラマにいくつも出演した素晴らしい役者さんなので、そういう役だったのでしょうね?
この加藤隊長は、番組中盤で、根上淳さん演じる伊吹隊長と交代する事になり、伊吹隊長
は、加藤隊長と違い、厳しくて、歯に衣着せぬ勢いで、隊員を叱咤し、番組自体がきりりと
引き締まった感じになりました。
ところで、この伊吹隊長は、なにかコップで飲みながら、隊員に話しかける事が多く、あ
の演出は一体、何だったのでしょう?
喉がすぐに乾くから?
だけど、まさかとは思いますが、私はお酒を呑んでたようにも見えるのです。
あと、「決戦!怪獣対マット」で、怪獣グドンに東京を蹂躙された対抗策として、小型水
爆並みの破壊力を持つスパイナーの使用を決断した岸田地球防衛庁長官の役の人が、すごく
存在感があって、誰だろうと名前を調べてみて、びっくりしました。
藤田進
私は、この名前に見覚えがあったのです。
というよりも、古い映画やテレビドラマを観る時、私はこの人の名前がないか探していた
時期があったのです。
この人は、黒澤明監督の昭和18年製作の映画「姿三四郎」で主人公をつとめているので
すが、私は二十歳くらいの頃、その映画を観て、素敵な人だなと胸キュンした過去があった
のです。(真っ赤)
調べてみたら、藤田進さんは、「姿三四郎」での演技が評価されて、昭和19年製作の映
画「加藤隼戦闘隊」で軍神加藤建夫陸軍少将の役に抜擢されたのをはじめ、多くの戦意高揚
映画に出演し、戦後も多くの戦争映画に出たり、黒澤明監督の映画で何本も主演作品がある
大物スターだという事がわかりました。
戦意高揚映画に出たというと、あまりいいイメージはしないですが、でも、この威風堂々
とした貫禄、存在感は他を圧倒して、有無を言わせぬものがあり、男の生き方の見本のよう
に感じました。
はっきり言って、二十歳くらいの頃、藤田進さんを見た私の目に狂いはなかったと思いま
した♪
ええっと、それでは、いつまでも男の話ばかりしてないで、そろそろ本題に入りましょう
か。(苦笑)
「帰ってきたウルトラマン」を観て、すぐに気づいたのは、「ウルトラマン」「ウルトラ
セブン」と違って、ユーモラスな感じの怪獣が多いという点です。
これは、台風怪獣バリケーンです。
このほかにも、暗黒怪獣バキューモン、隕石怪獣ザゴラス、やどかり怪獣ヤドカリンなど
、ネーミングからして、面白いです。
それどころか、ウルトラマンと怪獣がバトルをしている時の音楽も、全然、勇壮な感じじ
ゃなく、なんて言えばいいのか、例えばレクレーションを楽しんでるような明るく軽快な音
楽が流れているんです。
そう、怪獣は地球を侵略しに来た悪の権化だから許せないというのじゃなく、むしろバト
ルを楽しんでいる感じがします。
なぜなんでしょう?
その時、ひらめいたのが怪獣ブームです。
当時の子供達は、ヒーローも好きだったかも知れませんが、それ以上に怪獣が好きで、怪
獣映画が作られたり、様々な子供向けのテレビ番組に怪獣が登場し、怪獣に詳しい子供は、
怪獣博士と尊敬の念を持って呼ばれていたそうです。
それは、正義とか悪とかはまったく関係なく、あの巨大で、大暴れして、破壊の限りを尽
くす怪獣が、当時の男の子達は大好きだったのです。
ここから導き出されるのは、男性は生まれながらにして、暴力的な事や破壊的な事や、強
大なパワーを持つ者に惹かれるという事ではないでしょうか?
その気持を大切にしようと思い、「帰ってきたウルトラマン」では、ユーモラスな怪獣が
多数、登場するようになったのでは?
円谷英二さんの次男で、三代目の円谷プロの社長をつとめた今は亡き円谷皐さんが、色紙
にサインをする時、必ず「子供達に愛と夢を」のメッセージを添えていたというエピソード
があるそうです。
ここで、正義という言葉を使っていない事に注目すべきです。
子供達が怪獣が好きなら、その気持を大切にしよう。
そして、「ウルトラマン」というヒーローで、平和の大切さも教えようじゃないか。
「ウルトラマン」が、今も愛される理由が、ここにあるように、私には思えてなりません
でした。