奈々の これが私の生きる道!

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映画「第三の男」

2010-01-12 21:02:06 | 映画・テレビ
この映画は、第二次世界大戦直後の、戦火で半ば廃墟と化したウィーンが舞台になっています。
このウィーンに住む旧友ハリー・ライムに、アメリカ在住の三文作家ホリー・マーチンは呼び寄せられるのですが、ウィーンに到着したその日、ハリー・ライムは交通事故で亡くなってしまいます。
ところが、誰一人として事故の瞬間を目撃した者はなく、不審に思ったホリー・マーチンは、旧友の死の謎を探るべく第三の男の行方を追って、ストーリーは展開していきます。
それに、ハリー・ライムの恋人アンナが、この映画に彩りを添え、いつしかホリーはアンナが好きになり、その思いを胸に、共にハリー・ライムの死の謎を探るのです。
すると、思いもよらない事に、ハリー・ライムは闇社会に君臨するボスだった事が判明し、彼の犯罪が次々に暴かれていくのです。





この映画は、モノクロの良さを最大限に活かした光と影の演出で、モノクロ映画の頂点を極めたと高く評価されているそうです。
そのほかにも印象的なシーンが数多く登場し、廃墟と化したウィーンの町並み、大きな観覧車、あたかも迷宮を思わせる巨大な下水道での追いつ追われつの息つまるシーン等々忘れられない名場面の連続です。

でも、この映画が人々に支持される主な要因は大人同士の恋、悲恋を扱った点にあると言ってよいと思います。
恋した男性は闇社会のボスとして犯罪に手を染め、それを知りながら、恋人アンナの恋心はハリー・ライムから離れないのです。
とくに印象的なのは、ラストシーンで、並木道の下をホリー・マーチンに一瞥もくれず、黙って、その横を立ち去るアンナの姿です。

彼女は、これからどうやって生きていくのでしょうか。
これからも、ずっとハリー・ライムの思い出を胸に生きていくのでしょうか。

その答えを誰一人知るすべはなく、ただアントン・カラスの奏でる叙情的なツィターの調べが、いつまでも私達の胸に鳴り響くばかりなのです。