寓居人の独言

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記憶に残っている映画(68)「阿部一族」

2017年05月24日 09時56分34秒 | 寓居人の思い出話

 映画の内容が史実と異なると行ってああだこうだというのは

どうかと思いますが、「阿部一族」という映画もそういったコ

メントがついて回っていましたね。私はこの映画を見たとき、

主従の関係がこんなにも強いものとは知りませんでした。強い

絆で結ばれた主従の主が亡くなったとき、従の方が主を冥土ま

で守ると言うことがあってもおかしくないと思うこともありま

した。細川忠利の病状が悪化してくると、側近のもの達が主人

に従って準することを願い出た。”生きて新藩主を助けよ、殉死

はならない”という達しが出た。やがて忠利が亡くなったとき、

側近が次々と殉死する中、阿部弥一右衛門は仕事を続けていた。

阿部弥一右衛門は前の主の言いつけにしたがって苦衷の中で生き

ていた。のうのうと生きて殉死しないという非難の声が大きく聞

こえたとき一族を集めてその前で切腹する。それが不忠であると

され、殉死の扱いをされなかった。そして忠利の一周忌法要の席

で断髪する。それを非礼であると逮捕され絞首されてしまう。

 度重なる恥辱に業を煮やした弥五兵衛は、屋敷に立てこもって

半の差し向けた討っ手と壮絶な戦いの結果全員討ち死にしてしま

う。

 藩主の命令は絶対のものである時代に、その命令にしたがった

ものが非難され、武士の意地を見せるとそれがまた理不尽な仕打

ちの対象になる。それが度重なり、悲惨な最期を迎える結果にな

ってしまう。

 こんな事例は現代社会でも起きていますね。会社の命令は絶対

であり、それに従わないと酷い場合には無能呼ばわりされる。処

理しきれないほどの仕事を押しつけられて、寝る間も切り詰めて

仕事をこなさなければならず精神的に追い詰められてしまう。

 政府の指導があってもなかなか改善されない。残業がダメなら

自宅へ持ち帰ってやれという理不尽な無言の命令をされる。

 一千兆円を超える借金を抱え、それでも国民に多大な負担を強

い、外国へは気前のよい援助を行う。国民にとってはこれも理不

尽な要求と考えられますね。日本国民はおとなしいと世界でも評

判のようです。それを笑顔で受け入れますか。

蛇足ですが、

 乃木希典元帥は、明治天皇に殉死したと言われていますね。私

が知っているのは太平洋戦争の敗戦を天皇陛下が国民に告げたと

き、何人かの軍の高官が自決したり、皇居広場で割腹自殺をした

人が多数いたという話です。