私の若い頃、”あいつは欲が深い”とか”抜け目がない”
という意味で”がめついやつ”ということがありました。
それは表題の映画「がめついやつ」が上映されてから流
行したと思います。
この映画は敗戦後の大阪を舞台にした欲と色に関わる
ドタバタ喜劇の様相を呈しています。話は一泊60円(ソ
バ屋のモリ・カケが一杯25~30円くらいでした。)の簡
易旅館を営むお鹿婆さんは一方で高利貸しもやっている
がめつい性格だが、他方では戦災孤児を引き取って育て
ているというところも持ち合わせていた。
そこに土地の持ち主の姉妹が現れるところからごたご
たが持ち上がった。簡易旅館に住み着いている人たちも
種々雑多の職業?を営んでいる。この辺も戦後社会の混
乱をよく現していると思いました。
主人公の牡鹿婆さんは簡易旅館を閉め、お金を貯めこ
んでいたのに、育てた孤児と一緒に乞食(これは今では
差別用語です)をやっていた。これがガメツイヤツの本
領かもしれませんね。他にもゆでうどん玉3個を5人分と
して売る話も出てくる。
これはもともと演劇として公演されたものを映画にし
たもののようですね。出演者は三益愛子、高島忠夫、原
知佐子、中山千夏、森繁久彌、草笛光子、団令子、森雅
之等々です。
私はこの映画を見て、大阪人の一面を見たような気が
しますと言ったら叱られるかもしませんね。