露の軍事侵攻「五輪終了前に起こり得る」「民間人が犠牲に」…事態打開図る米政権
2022/02/12 10:41
【読売新聞社】
(読売新聞)
【ワシントン=横堀裕也、蒔田一彦】米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は11日の記者会見で、ロシアがウクライナに軍事侵攻する可能性が「極めて明確にある」と強調し、ウクライナに滞在する米国人に48時間以内の国外退避を求めた。バイデン大統領は12日にロシアのプーチン大統領と電話で会談し、事態打開を図る。一方で有事に備え、米兵約3000人をポーランドに追加派遣することも決めた。
サリバン氏は会見で、「プーチン氏が最終決断を下したとは考えていない」としつつ、ウクライナ国境沿いで軍備増強を続けるロシアが、「大規模な軍事行動を起こすだけの兵力を整えている」との見方を示した。さらに、「情報を得るにつれ、我々は軍事行動が北京冬季五輪の終了前に起こり得るという見方を強めている」と指摘した。
侵攻に際しては様々なシナリオが想定されるが、「首都キエフを含め、国土の大部分を侵略する可能性も大いにある」といい、「ロシアが侵攻するのであれば、空爆とミサイル攻撃から始まるとみられ、国籍にかかわらず民間人が犠牲になる」と警告した。
サリバン氏は、「退避できたのにしなかった人々を救出するために、兵士を戦争地帯に送り込んで危険にさらすことを大統領はしない」と述べ、ウクライナに滞在する米国人に国外退避を強く促した。
米ホワイトハウスは11日、バイデン氏とプーチン氏が12日に電話で協議することを明らかにした。ウクライナ情勢が緊迫化する中、バイデン氏はロシアに軍事侵攻を断念するよう説得するとみられる。両首脳の接触は昨年12月30日の電話会談以来となる。
米国防総省高官は11日、バイデン氏が、米本土を拠点とする部隊約3000人をポーランドに増派するよう命じたと明らかにした。これまでに米本土からはポーランドとドイツに計約2000人の派遣が決まっているほか、独駐留部隊のうち約1000人がルーマニアに展開する予定で、バイデン政権は東欧での部隊増強を続けている。