氏名がわかっていてパスポートを持っていても、行旅死亡人となる。
引き取り人がはっきりしないから。
時折、ネットで「官報」を見に行く。
行旅死亡人を見ると、3,4人の死亡人の掲載されていることがある。
死亡人の発見された状態。服や持ち物。推定年齢などが掲載されている。
それを読むと、寂しさと虚しさを覚えることがある。
一人ひとりの人生は、確実にあった。
推定年齢は20代から70代あたりまである。
男性か女性かがわからない場合もある。
服装も様々。
軽装だったり、日常楓だったり。
持ち物も、銀行の通帳。パスポート、財布、腕時計、小銭、まとまった金額のことも。
死因もはっきりしない中で役所が火葬し、官報に載せる。
一人ひとりに会ったはずの人生が埋もれてしまっているかのような錯覚。