はなうたまじりにひとりごと

私視線で、観て聴いて♪素直に気ままに我儘に。主に宝塚の舞台のこと、その他諸々?についてお喋りを。

「琥珀…」新人公演★下

2009-04-23 23:51:41 | Weblog
役者さんの呼吸。
目で芝居をする、というのがありますが、
呼吸で芝居をする、というのもあるでしょう。
役者さんが、どう息を吸って、止まって、吐き出すのか…
それが、観ている側に与える感情は、本当に無意識に、じわじわとしみてくものだと思う。

あそこの、役者さんの目が忘れられない…
というのは、鮮明に焼き付くけれど、
あそこの、役者さんの息遣いに、キュンとして…
なんてことは、殊更に残らないでしょ。
あんまり聞かないコメントだ。

最近思うのは、
しかし、上手い役者さんは、この呼吸の使い方が非常に巧みで、
気付かぬうちに、観客はその呼吸に乗せられて、運ばれてしまうんだ…ということ。
一緒に呼吸をして、その役の感情をそこから味わう。

逆にいえば、
呼吸が合わない役者さんには、
その役者さんがいかに、技術の高い台詞回しやら、表情やらをしていても、
入り込んで行くことが難しいんだなぁ…。
いわゆる、名優さんは、万人の呼吸を味方につけられるのではないだろうか。

それを感じる感じないは、人によって差があるんだと思うけれど、
割に、私の場合は、そこに拠るものは大きいのかもしれない。
蘭ちゃんという役者さんは、
私にとって、どうやらそういう相性がよい役者さんであるらしいのだ。

以前から、
何が、気付かぬうちに感情がシンクロしたみたいにさせるんだろうと、
思ってはいた。
私には、あんまり、そういう役者さんは多くないのに、
中でも、蘭ちゃんのシンクロ率の高さみたいなものは、昔から群を抜いていた。
…だからこそ、滅多に観なかった花組さんで出会い、
滅多に観ないのに、ずっと惹かれてきた役者さんなのでしょう。

蘭ちゃんは、
割に、普段から会話に呼吸が入ってくる人です。
喋りますよ?喋るんだけど、全部は言葉に変換されなくて、
どうも、後は、呼吸で語ってるような感じがする。

何だそりゃ?
と思う方が、ほとんどかと思いますが、
中には、なるほど…と実感してくださる方もいらっしゃるんじゃないかなぁ。

そういう役者さんなので、
蘭ちゃんと呼吸が合う観客は、かなり深いところに運んで行かれることになるんだろうと。
それが、最近の私の分析です。

例えば…
「ザ・クラシック」の、ショパンとジョルジュ・サンドの場面。
二人が舞台上からいなくなって、取り残される、運命。
最後に、
「フレデリック・ショパン、享年38歳…」
と言った後の、運命蘭ちゃんが、どんなだったか、
記憶に残っておられる方も、いらっしゃることでしょう。

私は、あの息遣いにドキッとして、引き込まれる人。
一方では、あれがダメだという方もいらっしゃるかもしれない…
「合わない」とは、そういうことですね。


で?
何を語りたいかというと、
「琥珀…」の新人公演の映像で、私が一番…
一番…何って言ったら、いいんだろうな?
見終わったら、そこしか頭に残らなかったのが…

シャロンと二人、青列車に乗って、
マジョレ湖に、琥珀色の雨を見に行こうとする、クロード。
二人は、青列車の時間まで、待合室で時を過ごす。
クロードは、シャロンに言います。
「抱きたい」

よくも、シャロンは、拒否できたなぁ…
私は、翌日まで、この「抱きたい」に、骨抜きにされたのでした。
他の場面も、台詞も、芝居も、全部がいきなり遠退き、
するりと身の奥に滑り込んできた「抱きたい」だけが、
そこに根をおろして、甘い吐息を吐くような。

どちらかというと、口説くというより、せがむ感じで、
物凄くナチュラルに、無邪気さすら伴って、クロードの口から滑り出たこの言葉は、
むしろ、とんでもなく色っぽかった。

色っぽい?
…というより、もはや、エロ……

私は、クロードの呼吸にのまれて、
そこにあるクロードの欲望みたいなものまでが、一気に飛び込んできたように感じたのだ。
うわっっっっ!!
思わず、画面から、目をそらし、胸を押さえた。

これは、いいのか?
抱きたいって、あんた、こんなところで???

抱きたい、のレベルも、ボルテージも、針が振りきれ、
勢い余って、ぐるぐる回っていた。
奥に守りしまわれている、一番敏感な部分を、
前触れなく、すっと撫で上げられたような気分…
不意に、体温を感じるみたいな、感覚…

ああ、びっくりした。
なんてことしてくれるんだ!
しかし、どうなんだろう?私も、反応しすぎか…(苦笑)
呼吸が、合わない人からみたら、
多分、何をそんなに喜んでるやら?
って思うくらい、どうってこともないシーンだろうなぁ。

たがとにかく、この「抱きたい」の話(笑)を書きたいがために、3日かけて、書いてきたという…
それだけ、衝撃的かつ刺激的だったのでありました。
バカだな…私……(笑)。

それだけ気に入ってたら、
さぞかし、リピート×100してそうでしょ?
しかし、何度も見て慣れちゃうのも勿体ないので、
初めて見た時に感じた感覚を大切に、脳内保存…つまり、
全く見直すことが、出来ずにおります(笑)。