左官道具と鰻

銀座なのかどこなのか分からないけれど、左官道具のお店にフラリと寄った。


「あんなにデカイビルをバンバン建ててるのに、左官屋は12人しか入らねぇんだってよ。なんてご時世だよ全く。」


「鰻だってアレだろ？鰻だったらいいわけじゃねぇんだ。それなりの修行やら心意気があってウメェ訳ですよ。お兄ちゃん達みたいなの減った。確実に減った。」

そんな機関銃のように喋るおじいさんは、僕ぁ好きだ。

そんな訳で鰻屋さんに来たよ。

ここぞって時には、昔から鰻を食べる。


鰻を食べる。


鰻みたいな顔になっちゃった。


ちゃんと仕事もしてます。
仙台に戻り次第、扉をイチから作らなくちゃいけない。


僕たちは元気です。
皆さんもお元気ですか？


道具やのおじいさんは、注文以外の在庫の売上は全て五年前から東北に寄付してるそうです。

「頂きますとは言わねぇよ？お預かりします。」
「よろしくお願いします。」
「あんたらどこよ？」
「仙台っす。」
「なんだって？！」

いいおじいさん。