漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 373

2024-04-23 05:16:23 | 貫之集

藤の花

ほととぎす なくべきときは ふぢのはな さけるをみれば ちかづきにけり

時鳥 鳴くべきときは 藤の花 咲けるを見れば 近づきにけり

 

藤の花

藤の花が咲いているのが見られたということは、時鳥が鳴く時期も近づいているのだなあ。

 

 藤の花と時鳥も定番の組み合わせですが、この歌は万葉集採録の田辺福麻呂(たなべ の さきまろ)歌や、柿本人麻呂作とも伝えられる 古今集 0135 などととても良く似ています。

 

ふぢなみの さきゆくみれは ほととぎす なくべきときに ちかづきにけり

藤波の 咲きゆく見れば 時鳥 鳴くべきときに 近づきにけり

(万葉集 巻第十八 第4042番)

 

わがやどの いけのふぢなみ さきにけり やまほととぎす いつかきなかむ

わがやどの 池の藤波 咲きにけり 山ほととぎす いつか来鳴かむ

(古今和歌集 巻第三「夏歌」 第135番)

 

 特に田辺福麻呂歌は、語順は違いますが酷似していると言って良く、新古今和歌集時代に盛んに用いられることとなる「本歌取り」の手法がすでに見られるということでしょうか。なお、類歌は貫之集 271 にも見られます。

 



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