貫之集 451
藤の花、松にかかれるむかしいかに たのめたればか ふぢなみの まつにしもなほ かかりそめけむむかしいかに たのめたればか 藤波の 松にしもなほ かかりそめけむ 藤の花が松にか
貫之集 450
人の家に客人あまた来て、柳・桜のもとに群れゐて遊びするに、花散りまがふあをやぎの いろ...
貫之集 449
同四年正月、右大将殿の御屏風の歌、十二首元日、人の家に客人あまた来たり、あるは屋のうち...
貫之集 448
雪の降る家いちしるき しるしなりけり あらたまの としのくるるは ゆきにざりけるいちしるき しるしなりけり あらたまの 年の暮るるは 雪にざりける...
貫之集 447
いつとても おもはざらめと きみかけて いへこひしきは たびにざりけるいつとても 思はざらめと 君かけて 家恋しきは 旅にざりける...
貫之集 446
野やどりせる旅人しもがれの くさまくらには きみこふる なみだのつゆぞ おきまさりける霜枯れの 草枕には 君恋ふる 涙の露ぞ おきまさりける...
貫之集 445
網代もみぢばの ながれておつる あじろには しらなみもまた よらぬひぞなきもみぢ葉の 流れて落つる 網代には 白波もまた よらぬ日ぞなき...
貫之集 444
わづらひて、人にえあはであるにいとどとふ ひともなきかな こよひもや とりさへなきて われはかへらむいとどとふ 人もなきかな 今宵もや 鳥さへ鳴きて われは帰らむ...
貫之集 443
旅人の衣うつ声を聞きたるくさまくら ゆふかぜさむく なりぬるを ころもうつなる やどやからまし草枕 夕風寒く なりぬるを 衣うつなる 宿やからまし...
貫之集 442
やへむぐら しげくのみこそ なりまされ ひとめぞやどの くさきならまし八重葎 しげくのみこそ なりまされ 人めぞ宿の 草木ならまし...
貫之集 441
やもめなる人の家つれづれと としふるやどは うばたまの よもひもながく なりぬべらなりつれづれと 年ふる宿は うばたまの 夜も日も長く なりぬべらなり...