美術の旅人 Voyageur sur l'art  

「美術」との多様な出会い。見たこと、感じたこと、思ったこと。

水墨画の輝き 2009年5月19日(火) 出光美術館

2009-05-22 17:56:46 | レビュー/感想
室町時代、筆線を重視する中国画壇から見れば「逸」とされる牧けいの水墨画が好まれ、そこから日本人の感性に会った水墨画が誕生し、発展していく過程が一望できる展示会だった。いろいろな発見があったが、長谷川等伯が情感の画家であること、しかも、その情感が近代人のものであり、レンブラントとの近親性を感じたのはうがちすぎだろうか?俵屋宗達はのっけから抽象化の傾きを持った画家なのだろう。写実の方向性から逸脱したその行く先は、浮世絵であり、現代に及んでは漫画であろう。宗達の描く虎はなるほどユーモラスで「かわいい」。宮本武蔵のスピード感あふれる筆致は、剣豪の太刀筋の鋭ささながらに、殺気すら感じられる。ゴッホの自画像を見たときのように激しく一直線に迫ってくるものがある。アウトサイダー武蔵の、生きるか死ぬかの対戦の生活から生まれたすごみ十分の絵は、職業画家の絵とは全く次元の異なるものだと思う。

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