美術の旅人 Voyageur sur l'art  

「美術」との多様な出会い。見たこと、感じたこと、思ったこと。

小さいけどより美しく快適になった普及版アースシップス Living in Tiny Houseから

2020-03-19 13:32:38 | レビュー/感想

より美しく快適になった普及版アースシップス←  

センターのガラスの開口部を大きくとった斬新なデザインに、ギリシャや中近東にでもありそうな白い家のイメージをセットしたおしゃれな外観。それを見ただけで憧れる人が多いのではないか。これはKirstenの映像で先に紹介した、アースシップス(Earth Ships)をダウンサイズした良くできた普及版と言える。オリジンのSF映画を思わせる異次元の印象と、ちょっと過激なサバイバルを啓蒙しようという意図はなく、新鮮なスタイル&仕組みの、お金がかからないタイニーハウスで、サスティナブルなオフグリッド生活を、より快適に心地よく楽しもうという一般向けの提案がある。

何しろ周りは荒涼とした砂漠ではなく、緑に覆われた南オーストラリアのリゾートである。この環境に合わせて、デモニッシュなものを漂白し、Earth Shipsの基本コンセプトをよりコンパクトにして洗練させ、しかもより一層快適さを実現する新しいシステム&テクノロジーも取り入れることで、普通の人への訴求力は格段に大きくなっている。実際的に、ああ、いいなあ、できそうだなあと思わせられるものに変わっている。

アースシップスに魅せられたマーチンとゾーエはアメリカのニューメキシコまで行って、1ヶ月滞在し、マーク・レイノルズから直接教えを受け、お墨付きももらった。だから、この70m四方の家は、決してアースシップスのフェーク、表面的真似事ではない。オーストリアの地方政府の認定まで受けた、オーストラリアで最初の本格的なEarth Shipsの家なのである。建築過程では、映像にも出て来るが共鳴するたくさんのボランティアの人たちの多大な助力があったようである。彼らはEarth Shipsをオーストラリアの人々に普及させるために、ビジネスとしての構想もすでに持っているのかもしれない。

マーチンは、根が開放的な親切な人であるようで、オリジンのアースシップスでは良く分からなかったところを、映像も加え詳しく説明してくれる。屋根から流れ落ちた雨水を効果的に集め、汚水も地下に引き入れて植物の生育に無駄なく役立てる処理システム、そしてユニークな一年中温度環境を快適に保つためのフリーエアーコンデショナーの仕組みも良く理解できた。あの廃品素材、タイヤやガラス瓶も、ここでは暮らしを美しい彩る造形素材として、より一層効果を上げている。両端のエントランスやバスルームを見ていると、廃品のガラス瓶が信じがたいぐらいゴージャスで美しい建築素材に思えて来るから不思議だ。

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フランス南西部、森の中の若い大工たちのコミュニティ Kirsten Dirksenのユーチューブ映像から

2020-03-17 20:46:40 | 

フランス南西部、森の中の若い大工たちのコミュニティ

さて、ここはフランス南西部の若い大工たちのギルドによるコミュニティ。昔ながらの工法を使って、様々な住宅を2年前から森の中に作り始めた。製材も古風な斧(これら道具もここで自作している)を使って行なっている。新しいテクノロジーだ、我々の発明だと見せてくれたのが、自転車で動く製材機械。思わず目が点になった。棟上が終わった大きな建物もあるが、天然木が枝分かれし曲がった元の立ち姿のまま使われている。伝統的なフランスの田舎家の建築様式なのだろう。手づくりのあったかな味と独特の美的ハーモニーがあって心惹かれる。

しかし、仕事ばかりしているわけではない。なんか一見ぶらぶらしている者の方が多いように思う。三々五々、弓で狩猟の練習をする者もいれば、木にぶら下がった廃物のソファに座って新聞を読んでいる者もいるといった具合。彼は「僕は2日間大きな仕事をしていたんだ。いつも忙しいんだよ。お客の相手もしなくちゃならないし」と言い訳していて面白い。

バスが何箇所もある。建築途中の立派なタイル張りのバス。ゴミを燃やすかまどをバスタブに突っ込んだだけの五右衛門風呂風なのもある。土のピッツァ&パン窯、地面をくり抜いただけのワイン庫、そして木の上に設けられた放し飼いの鶏のための家というのもユーモラスだ。それぞれが暮らす小さなキャビンを森の中に作っているが、ピレネーから馬でやってくる(!)という彼女のために作った家もある。でも、馬が引くには重くなりすぎて、トラクターか、人が押すしかなくなったという。

「ノーマルな生活は送りたくない。僕の考えはシンプルで、森の近くで暮らすということさ。確かに労働はハードさ、でも、ジョークを言い、音楽を演奏して、友達といっしょに働くのは楽しいよ。仕事をやめたくなればやめればいいだけの話しさ」。その通り、それでいいのだ。閉塞状況の中で、窮屈な思考に落ちいっている若者に聞かせたい。

 

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イタリアンアルプス麓、中世の村の再生に取り組む Kirsten Dirksenのユーチューブ映像から

2020-03-17 12:39:53 | レビュー/感想

中世の村の再生に取り組む

ヨーロッパの農村部、山岳地帯など僻遠の地も含めて、中世あるいはもっと古い時代にオリジンを持つ歴史的集落が無数にあるが、それらはたいてい石造りでかろうじて外形を保っていても誰も住むものがなくなって石の廃墟に変わりつつある。Kirstenは、それら打ち捨てられた建物に特別な思いがあるのだろう、それらを再生しようとしている試みを数多くレポートしている。ここではそれらのうち、ゴーストタウン化したイタリアの中世の村に家族ともども住み着き、他にも誘いかけて往時の集落の姿を取り戻そうとしている建築家の試みを紹介しよう。

こうした試みの多くは建築家によって行われていて、古い石造りの小屋を外観はそのままだったが、中は建築家のプライドを投影させて、まったくのモダンデザインに変えてしまった例(朽ち果てるままより良いが、正直使いにくそう)も出てきた。こういうのをカッコいい、クールだと思う人はその方面の日本人には割に多いのだろうが、私は使えない器のようであまり好まない。

例えば同じ北イタリア、アルプス麓の家。便器までコンクリート打ちっ放し、そこまでこだわる?→古い小屋とアップトゥデートの融合

ここで紹介する例は、そうした例とは違って、何よりも原点に、これら貴重な暮らしの遺産への情熱的な愛がある。構想者自身、頭だけ使って、あとは人任せにするのではなく再生のために自ら協力者とともに汗を流している。だから自らの労力も加えて完成した家には、自然とそうした愛が反映されていて、地に足がついたものとなっている。

マオリツィオ・セスプリー二は、妻のパオラ・ガーデンとともに、25,000ユーロと1,000時間の労力を注ぎ込み、スイスとの国境に近い、アルプスの麓に点々と残る中世の村の一つ、ゲッシオの廃墟化した家の再生に取り組んだ。そこには中世以来引き継がれている石工の豊かな伝統の技術的遺産を後世に保存継承したいとの願いがあった。この土地の権利を得るに当たっては、アメリカに住まう子孫と交渉するなどの苦労もあった。

できるだけ昔の家と同じ材料を使おうとしているが、もちろん昔の家そのままでは現代人は住めない。彼らは一日のほとんどの時間を外で過ごしていたので、現代人には標準的な快適の概念がない。例えば、内側も石の壁に漆喰が塗られているだけであった。マオリツィオは、漆喰との間に厚い断熱材を入れて冬の寒さに備えた。彼らのこだわりから天然素材の藁を用いたが。丸い膨らみを持たせて塗られた漆喰がいい雰囲気を醸している。

映像に出てくるように、村の再生のために、世界中からたくさんの若い学生たちが集まってきた。彼らのボランティア労働の多くは、この集落に崩れ落ちるままになっていた石材を主に使って、それらを削り、ボールトを使わず組み上げる作業に費やされる。誰も歴史的な石の建築技術の実際的な知識などないから、それは彼ら自身が「ビレッジ・ラボラトリー」と呼ぶ、作りながら実験し、時には19世紀の古い文献にあたり知識を得る、まさしく試行錯誤の工程となった。

彼ら家族の住まいを建てたのち、4軒の家族用の住まいと、学生のための食堂やシアターなど、彼自身の言葉によると、ゆっくりゆっくり構想し建築中である。この村の中心にある富裕層の廃墟の一部を再生し大きなパン&ピッツア窯を設けた。かつて盛時には富裕層の人々は誰もがこうした窯を持っていたという。この窯を設けて、労働のため、そしてパーティや夏場コンサートのため集まった人々に振るまうだけでなく、この中世の村に往時のような賑わいが戻ることを願っている。

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アースシップス、過酷な世界を生き延びるための住まい  Kirsten Dirksenのユーチューブ映像から

2020-03-16 23:27:42 | レビュー/感想

アースシップス、過酷な世界を生き延びるための住まい← 

ちょっと古い映像になるが、面白い取り組みなので紹介しておこう。ニューメキシコの荒涼とした砂漠を走ると、スターウォーズのシェルターのような多様なユニークな形の建物が忽然と現れる。核戦争後のような過酷な条件を生き延びるサバイバルモデル、633エーカーの土地に建てられたアースシップス(Earth Ships)と呼ばれる、70近くの建物群(The Greater World Earthship Community)である。

建築家マイク・レイノルズの発案によるこれらの建物は、土とゴミ(カン、ガラス瓶、古タイヤ)でつくられている。1997年のスタート当初、これらの建物群は、不法分譲を理由に閉鎖を余儀なくされたが、7年の後には適法を勝ち取った。現在、州は、2エーカーの土地を与え、上記のリサイクル品を提供しつつ、全面的にレイノルズの独創的な家づくりの実験に協力している。

このビデオの案内人トム・デュークは17年前に妻とこの地にささやかな土地を買い、小さな物置ほどのアースシップスを建て始め、息子が生まれたときには2部屋のベッドルームがある家を完成した。彼が案内する、当の家は、他のアースシップス同様、砂漠での持続可能な生活とプライスダウン実現のために、独創的なアイデアが詰め込まれている。雨水を集め、その水を屋内の植物によってろ過することで、4度利用するのみならず、下水処理のシステムさえ備え、砂漠を緑に変えている。

可塑性の高い土を用いた建物のデザインのユニークさにも注目したい。学生たちの住まいとなっている大きな建物は、柱や壁にガラス瓶やカンを大量に用いて建てられているが、スーパーストロングな構造を実現する上で役立っているばかりでなく、砂漠の光を乱反射させ、ガウディのサグラダ・ファミリアのような、有名なカテドラルを彷彿とさせてとても美しい。

 

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廃品をユニーク住宅に変えるテキサス魂 Kirsten Dirksenのユーチューブ映像から

2020-03-15 15:23:20 | レビュー/感想

廃品をユニーク住宅に変えるテキサス魂

全米でもプアな人が多いとされるテキサス州には、おシャレで、乙に済ました東海岸のエリート&セレブたちには見られない、テキサス魂と言われる自由独立の精神に富んだ人物が多いようだ。前にプアな人々向けに廃材で作った住宅を実際に提供する、熱い気持ちのいっぱい入った事業を展開している、見た目エキセントリックなテキサス爺さんを紹介したが、この爺さん(ダン・フィリップス)も、やはり同じテキサス人で小柄で痩せているが、同じような事業を展開している会社の社長である。負けず劣らずエネルギッシュなうえに、テキサス人の真骨頂を発揮して発想がぶっ飛んでいて、すぐに尊敬してしまった。

最初に出てくるのは木の上に建てられた家だ。と言っても、こぎれいに収まった家ではなくて、縦横に広がった枝は家を突き抜けているし、入り口や内部の階段には折れ曲がった枝がそのまま使われているなど、かなりアバウトなのだ。支えになっている木の幹が腐れたらどうするんだなんて考えたらできないし、安全安心に毒されている日本人には住めない家だ。それをプロのスキルなど持ち合わせてないプアな人たちを雇ってやらせている。エライことに、プアな人々に仕事を与える社会事業的な意味合いも持っているのだ。

前のテキサス爺さんと違って、この爺さんは、廃材だけではない、コルクせんや割れたガラス、牛の骨などリサイクルゴミも使っている。だから材料費は80パーセントただだと爺さんは言っている。感心したのはそれがそれなりにユニークな美しさを持っていることだ。デザインも巨大なカーボーイブーツをかたどるなど度肝を抜く。大量のコルクせんを用いてフェニックスを造形した美しい床など、真似したいところだ。安心快適の宣伝に踊らされ、パネルをジョイントしたプラモデルのような無個性な住宅に生涯の借金を負って何千万も払っているのが馬鹿らしくなる。

’My great advantage is I don't care about money’ by ダン・フィリップス

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廃棄された客車の往時を再生、オフグリッドの家に Living Big in Tiny House から (セントラル・オタゴ、ニュージーランド南島)

2020-03-15 12:29:42 | レビュー/感想

廃棄された客車の往時を再生、オフグリッドの家に

大きな空と遠く山々が連なる、広々とした放牧地のパノラマ風景の中に、ポツンと置かれたダークレッドの古風な2つの車体。マンデーの手に渡るまで、この2つの客車は、長い間、ここに打ち捨てられ、カビと蜘蛛の巣と鳥の死骸だらけで、雨もりのする壊れた、誰も見向きもしないジャンクと化していた。

しかし、マンデーは再生の夢を諦めなかった。元夫とともに、8年もの歳月と情熱を傾け、台車部分も含めて歴史的な往時の美しい姿を少しづつ取り戻して行った。今、ここに見るユニークで素晴らしいタイニーハウス に変わった客車は、彼女の言うように、誇張ではなくまさしく「血と汗と涙」の結晶なのである。

それぞれの客車は、おおよそ12×2.5メートル。メインの車体は、キッチン、ラウンジ、ベッドルーム、バスルームを備えた、機能的で快適なタイニーハウス に変えられた。一方でマンデーは、この客車の元の姿を極力保存しようとしている。骨を折って、元の材料と造作の再生に務めた。往年の乗客がナイフでつけた傷もそのまま歴史の痕跡として残った。装飾的な白い天井、フランス製の瀟洒なストーブ、クラシックな革張りのソファーなど、彼女のセンスが念入りに探し出し選んだものも、古い時代の雰囲気を蘇らせている。

もう一つの客車は、家族や友人のためのゲストルームと、まだ整備は中途だが、マンデーが特別な思いを込めて言う、娯楽のための「ライブラリー」に当てられている。この僻遠の地へは、当然電気や水道の供給は不可能なので、水は雨水、電気は小さなソーラーシステムにより得ている。日暮れてからの素晴らしい星空の実景が最初の方に出てくるが、客車用の広い窓から見える風景の素晴らしさを見れば、便利さの多少の不足なぞ何ほどでもなかろう。

 

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ありきたりのキャラバンを「指輪物語」の世界に改造 ユーチューブLiving Big in Tiny House から

2020-03-13 17:01:01 | レビュー/感想

キャラバンを「指輪物語」の世界に改造

離婚の後、17年間の警官生活をやめ、木彫家となったグレン(イギリス)は、ソフトヤンキーがしそうなステレオタイプの改造ではなくて、DIYと木彫の腕をフルに使って、どこにでもあるような白いキャラバンを大好きな「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビットシリーズ」の世界で塗り込められた独創的なタイニーハウス に変えてしまった。

 キャラバンのシャッターを開けると、ドラゴンが稠密に彫り込まれた木彫のドアが現れる。さあ中に入ろう。そこは大好きなイメージで埋め尽くされた世界。キッチンデスク、ライト、チェア、ディスクなど、木彫の腕を生かした木製家具が置かれている。重量を考慮してすべて木を使うのではなく、お気に入りの模様の壁紙も使っているが、これがバンの中だとはとても信じられない。しかも、コンパクトなスペースに、シンク、薪ストーブ、トイレ(ドイツ製)、シャワー(ストーンワークの壁がいい)、キングサイズのベッド、冷蔵庫など一人の生活を快適に過ごす最低限の機能も十分に備えている。

 バンをどこにでも止められる権利とともに、自然林の一区画4エーカーを買って、そこを維持する管理人の仕事もしつつ、一台のバンが実現したファンタジーとイマジネーションを一つにした生活をこれからも続けていきたいと語る。

 

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ウェールズの森の中での超シンプル生活 ユーチューブLiving in Tiny Houseから

2020-03-13 12:11:13 | レビュー/感想

ウェールズの森の中での超シンプル生活

山の国ウェールズのスノードン山を望む野生の森の中に、1000ポンドで建てた小さな家。雑草で屋根を覆い、泥壁で囲ったきりの、Earth Buildingと言えばかっこいいが、方丈記に出てきそうな「草の庵(いおり)」を思い浮かべればいい。当然電気なし、電話なし、もちろんインターネットなぞ、あるわけない。水は近くの小川からボトルで汲んでくる。ストーブには、切りそろえた薪などではない、森で拾い集めた小枝を燃やす。野生飼している山羊や鶏や小さな栽培ベッドに植えたハーブで食事を賄う。

 ドアがわりに幾重にも垂れ下がった布をくぐると、そこは敷物を敷いた丸い空間が一部屋あるばかり。二つの窓は嵌めきりで、光が絶えず入ってくるが、夜ふと目覚めると、煌々とした星の光があたりを照らし出すファンタジーを味わえる。あるのは自然木を組み合わせた美しい天井とチョロチョロと燃える暖炉。もちろんキッチンもない、トイレも、シャワーもない。家具もないし、タイニーハウスで必ず出てくる工夫を凝らしたストレージもない。棚に並べられただけの食器は、食事の前後、外で暖炉の夜間の熱湯をかけて消毒する。

 テクノロジーにより便利さや安全安心、クリーンさを極めて、コロナビールスに世界中大騒ぎする、神経過敏で脆弱なモダーンワールドに真っ向から挑戦するような生き方だ。しかし、ご本人はそれを世に主張するわけでもなく、彼女は自分のアイデアで建てた家で、自分がやっと見つけた超シンプル生活のハッピーさを繰り返し強調するのみだ。気にいった自然のサイクルに従ったシンプル、プリミティブな生活に満足して、至ってのほほんとしている。初めは強い違和感があっても、見ているうちにバカボンのお父さんに倣って「これでいいのだ」と言いたくなってくるから不思議だ。そうかこの世界がとことん嫌になったら、昔の人に倣って森の隠者になる手があったか。

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ニュージーランドの老夫婦が作った靴の家 ユーチューブLiving Big in Tiny Houseから

2020-03-12 10:25:54 | レビュー/感想

ニュージーランドの靴の← 

「靴の家に住んでるおばあさんがいました」。そういえば、子供の時、そんな童話を読んだことがあるような気がするが、外観を見れば特徴は一目瞭然、まさしくユニークなブーツの形の家である。ご丁寧に紐通しの穴やステッチまでしっかり再現している。子供なら童話の世界は現実にあるもの(そんなコメントがあったが)と錯覚するに違いない。  

このブーツの家は、ニュージーランドの南島、モトゥイーカの郊外、カフェとレストラン(1991~)、そしてそれを取り囲むガーデンパラダイス、その名もジェスターハウスに建てられている。他にも何棟かの不思議な家が庭の中に建てられている。オーナーであるスティーブとジュディのポリシーは「ユーモアがなければ、する価値がない」というもの。確かにここには疑いようのない楽しさと軽妙さが同居している。風変わりな外見にも関わらず、機能的なつくりで、世知辛い現実を離れて、ちょっと妖精物語の世界で過ごしたい思っているカップルたちのためにはうってつけだ。  

この家づくりのプロジェクトはワインを飲みながらの思いつきによって始まった。不定形なブーツの形の家は、鉄のフレーム、網、コンクリートと石膏を使った工法(Ferrocement工法)を用いることで現実になった。中に入ると角のないソフトな印象の空間に暖炉とキッチンと広いバスルームが付設されている。螺旋階段を登るとベッドルーム。窓枠の飾りやチェアや天井などディテールにも凝っていて、童話の世界を再現してくれる。バルコニーに立つとまさに童話の主人公になったようだ。  

林間の坂を登りきったところには、軽い土と藁の和壁で囲まれた木造の愛らしい、五角形のコテージがある。湾を望む景観が何よりも素晴らしい。小さなキッチン、バスルームも付設されていてカップルが逗留するには十分だ。

 もう一軒の家、the Wiggly Wogはホビットの家のようだ。もっともオーナーの話では、映画でトレンディになる前に作られたそうだが。お金をかけずに(なんと総工費1,000ドル!)エコフレンドリーな家づくりを実現した。中に一歩入ると、まず目に飛び込んでくるのが太い自然木と小枝が美しく組み合わされた天井。折れ曲がった支え柱と土壁、レンガづくりの暖炉と一体化して、別世界に入り込んだような印象を受ける。

 このオーナーのご老人の案内(早口でニュージーランド訛りがあって聞き取りにくいが)を聞き、映像を見ているだけで、心がハッピーで自由になる。ニュージーランドに行って実物を体験したくなった。

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森の中に妖精の家を作り続ける ユーチューブLiving Big in Tiny Houseから。

2020-03-10 15:55:47 | レビュー/感想

森の中に妖精の家を作り続ける ← 

深い森の中に、子供時代に誰でもが頭に浮かぶビジョンを、一人実現し続けている。こうなるとアート作品、ジェーコブ(Jacob W. H.)自身の言葉によると「住まうことができる彫刻」と言った方が良いかもしれない。日々アーテストが作品づくりに取り組むように、太平洋に面したワシントン州オリンピアの奥深い森の中、魅惑的なスモールキャビンを作り続けている。現代にも、コツコツと拾い集めた石で理想宮を作り上げた郵便配達員シュヴアルのような、夢につかれた人がいる。  →郵便配達員シュヴァル

最初に紹介しているスモールキャビンの外観は、周りのアメリカ杉に覆われた森の景観ともマッチして、ファンタジーノベルにでも出てきそうな雰囲気。上からの映像を見ると分かるが、全体の構造は十字架状をしており、鋭い傾斜角の屋根とともに、まさしく森の中のカテドラルといった感じである。室内の屋根の真ん中には十字架が取り付けられており、さりげなく彼の信仰の在り処を語っている。材料は街の建物から集めて来た廃材を用いているが、屋根には、森から集めて来た苔をベールのようにかけていて、それが妖精の住まいのような趣きを醸している。  

今、建築中の最新のキャビンは、八角形の建物で、特徴的な屋根はピラミット型で王冠のようにも見える。近くを散歩する人が、木々の間に振り仰いで見て、唐突にこれら不思議な建物に出会い、驚いて喜んでくれることが何よりも嬉しいという。「手を見つめた時に、この手が何を成し遂げて来たか、私の歴史が浮かび上がってくる」と、創り続けることから生まれる喜びを、目を輝かせて語る彼の表情がいい。何の利害や作為もなく夢に取り組む、名もなき者でありながら、彼は本当の意味でアーティストの名に値する

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カリフォルニアの砂漠に土の家で暮らす ユーチューブLiving Big in Tiny Houseから

2020-03-10 14:21:10 | レビュー/感想

カリフォルニアの砂漠に土の家で暮らす。

アースビルディング(Earth Building)という言葉をご存知だろうか。私も、この映像を通して初めて知った。建築関係のWikiを見ると、耐火性があり、未加工の原土を用いた建築を実践することとある。11,000年以上前から存在し、特別な道具を用いずに作れることから、今日でも世界の半数の人々がこの手法で作った土の家に生活している。日本の農家の藁すさを粘土質の土に混ぜ合わせた土壁の建物もこのカテゴリーに入るのだろう。

サーシャとジョンのカップルが住まう、寒暖の差が激しい、カリフォルニアの砂漠、異星人の惑星のような厳しい環境こそ、アースビルディングに適していると言える。  アースビルダー(Earth Builder)の二人は、パーマカルチャー(Permaculture)と呼ぶエコロジカルな農業を実践するコミュニティ(The Quail Springs Permaculture community)に、この建築手法を取り入れたタイニーハウスを、ワークショップやボランティアのグループの協力も得ながら、ほぼ自力で3年がかりで建てた。

その家づくりは、トウモロコシの穂軸、編み枝、漆喰、土囊袋などを用いたアースビルディングの実験的な手法を試すチャンスでもあった。  さて中に入るとまず目につくのがDIYスタイルのロケットストーブ(空気を吸い込みながらゴーゴー燃えるストーブ)。ストーブの横のベンチにまでパイプが引き込んであって、冬のディナーの前や寝る前の語らいを暖かく包み、そして朝までも、温もりが残っている。

家具から食器まですべてハンドメードで作られているシンプルなキッチンエリア。家で一番過ごす時間の多い場所だ。ボトルを埋め込んだ石膏壁が美しい。  内側のドアを開けると、そこは家の心臓部でサーシャのクラフトワークの場でもある。やはりロケットストーブがある。寒いときには二つのストーブをつけて部屋を温める。ジョンが自然木を利用して作ったユニークな階段を登ると、心地よいスリーピングロフト。夏はベンチレーションのために設けた高窓から爽やかな風を吹き入れる。かかった労働は自前として、コストは15~18000ドルかかっている。しかし、家を自分たちで作る体験の貴重さはお金に代え難い。

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