美術の旅人 Voyageur sur l'art  

「美術」との多様な出会い。見たこと、感じたこと、思ったこと。

馬渡裕子油彩画展 遠い朝 10/30~11/4 仙台・東北工業大学一番町ロビー

2009-10-30 23:05:07 | レビュー/感想
杜の未来舎企画の馬渡裕子の個展が今日から始まった。シュールな「現代俳画」を描く画家(それはそれで魅力的だった)から、本格的な「物語(reci)」を編む画家へとステップアップした姿を見るのは嬉しい限りだ。グラフィカルであった作品はピクトレスクな作品へと、着実に深さと力量を増した。「遠い朝」はおそらく、その変貌の予兆を示す作品であろう。軽やかな緋色のブラシタッチの登場は画家の中に生じた転調の喜びを物語っているかのようだ。襖絵を思わせる「ホルン」は、白黒を基調にした大胆な構図で、伏在していた「和」のDNAの目覚めを証ししている。漆黒(インディゴブルー)の宇宙へと、地上の引力を振り切り、すさまじいばかりの噴煙をあげて、上り龍のように飛び去っていく苺のシャトルは、これからどこへ向かっていくのであろうか。