わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

ジェラルド・バトラーという男

2009-02-22 17:29:44 | スターColumn

Img041_2 スコットランド出身の男優、ジェラルド・バトラーに注目しています。1969年生まれ。弁護士として苦難の道を歩んだのち、舞台にデビュー。97年の「Queen Victoria/至上の恋」で映画初出演。「オペラ座の怪人」(04年)の主人公ファントム役で高い評価を得、「300/スリーハンドレッド」(06年)ではスパルタ王レオニダスに扮して筋肉隆々の肉体美を披露。いかにもイギリス系の俳優らしく、渋くてハードボイルドなキャラクターが特徴です。

 そのバトラーの新作「ロックンローラ」が公開されました。ロンドンの不動産ビジネスをめぐって闇社会が暗躍する、セックスとギャングとロックに彩られたクライム・ムービーで、彼は街のチンピラを生き生きと演じている。監督は、マドンナとの離婚で話題になったイギリス出身のガイ・リッチー。「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(96年)や「スナッチ」(00年)など異色のギャング映画で注目を浴びました。今回は久しぶりのロンドン・ギャング群集劇で、激しく揺れ動くカメラ、斬新な編集技術、叩きつけるようなロックのリズムを融合させて、スタイリッシュな映像世界を見せてくれます。

 その中で、八方にいい顔をして、うまく立ち回ろうとする抜け目のないイギリス風の小悪党役は、バトラーにぴったり。今後も、ロマンチック・コメディ「The Ugly Truth」、スリラー「Game」など、数本の作品が待機中。彼には、ハリウッド・タッチのぬるま湯的な役柄に染まるよりも、独特のワイルドな個性で勝負してほしいものです


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