サラブレッドが某所で脱走、逃走中らしい。実在の競走馬で馬名まで解かっている。
これは菊花賞開催週に併せた、やらせ = 勝ち馬サイン である。
ディドロでもう1つ述べて置こう。『ディドロ効果』と云う言葉がある。
ある新奇で理想的なひと品を手に入れた時、人はそれ以外のもの、周囲や自身の身近にある別のアイテムまで、それに併せ、より理想的、快適なもので統一したいと云う渇望が生まれる。
エルメスのスカーフをもらったら、これに合うドレスを欲しがったり、新築でいい家を持てたら、車も国産でなくベンツをガレージに置きたい、と考えるような志向を指すらしい。我われも地味目スタイルの目立たぬ美女を見出せば、ずっと相応しく煌びやかに自分の手で飾り付けたい衝動に駆られ、またわたくし個人、長らくほぼ国産煙草と無縁だったが、モンテクリスト、またコイーバと葉巻趣味に踏み入った途端、当然百円ライターなど論外、拒み、ダンヒル デュポン を買い調える。
男は出世すると、糟糠の妻よりも今のイケてる自分に相応しいよりゴージャスなパートナーを、などと考えるのは実はわたくしは厭で、カミさんにひたすら感謝すべきである。が、これは飽くまで指向のみ。わたくしは独身でこれを自己証明する立場に無い。
さて、今季の 『ディアドラ効果』 とは何か?
逃走中サラブレッド。直ぐ調べはついた。
今日午後2時過、第78回 菊花賞 淀の大一番、クラシック最後の1冠の枠順が発表される。
注目の位置は、昨日以来、申し上げているあの〇枠〇番。恐らくは納得の1頭だろう。だからこそ、ここまで集まると云う根拠を念入りに週中情報にて、既にお話申し上げている。
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馬券人生を変えるのも、この僅か1レースの馬券的中である、と云うことも十分あるわな。
未だに馬が人を乗せつつ本気で競走させられている、と信じて疑わないファンは多いだろうが、全然勘違いなのである。
日本競馬史上でも、何故、大戦開始の1941年に日本初の3冠馬 セントライト が誕生し、国家的悲願、1964年 東京五輪 開催で、日本が真に国際国家、文明国に復帰し、内面的に敗戦の超克を目指した年、最強の3冠馬 シンザン が創出されたのか。何故、東日本大震災の起きた年、急に普通のクラシック候補に過ぎなかった オルフェーヴル が3冠を達成し、国際舞台でまで活躍したのか。また、この大震災で国民的鬱屈の最中、ドバイで ヴィクトワールピサ トランセンド が最高栄誉の大一番で日本馬ワンツーを決め、イタリア人勝利ジョッキーが 「アイ・ラブ・JAPAN!」 と涙で云わせられたのか。ヴィクトワールピサ とは、傾いた歴史的遺産 を指し、傷ついた日本、倒れかけた文明と国家そのものを象徴する。
競馬は全レース、全着順、演出である。無論、レースをやる前から、今週の菊花賞勝ち馬も、2着馬も決まっている。明日、習志野にUFOでも着陸すれば別だが、基本的に不慮の大事でも出来しない限り、そのままの脚本で、雨が降ろうが台風が押し寄せようが、レースは貫徹される。前日少々雨が降ったくらいで、本番、いくらでも言い訳はつく。その為に評論家を養い、用意して語らせているのである。彼らはドラマを本物のスポーツ競技であるかの如く、語り、取り扱い、結果まで論表し脈絡を付けて装う、演出陣のひと役に過ぎない。
馬の勝手なコンディションとやらや、レース展開の綾などと云う偶発的な事柄よりも、夥しい数の携わる人々の都合、人間的事情、社会的効用、影響の方がずっと大切である。馬は人都合の従属アイテムに過ぎない。日頃からそのように「調教」され、準備されている。そして、最大の競馬の効用とは、大衆へのメッセージ、世の刻印である。
わたくしは競馬を競馬として、素直に真面目に取り組んでいるだけである。が、やはり夢の菊舞台であることは変わりない。
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