
12月に入ると宴会が続き、若い頃のように最終まで毎度付きあえぬが、先日流れで二次会に場所を移すと先客のグループに知人がいた。挨拶もそこそこにやおら手帳を取り出すと、リー・モーガンの 「アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー」を聴きたいのですが、と訊かれた。今しがた流行りのJポップをカラオケで歌っていた20代の女性で、ましてジャズが好きだとは聞いたことがないので怪訝そうな顔をすると、山田正紀の小説に出てくるので気になっていたという。
モーガンが22歳の誕生日前に録音した曲で、18歳でデビューした天才ならではのやや荒削りとはいえ歌心あふれる演奏を思い出す。生憎その作家の「イノセンス」という作品は読んだことがないので、モーガンのこの曲が小説のなかでどのような存在感を持つのか興味がそそられるが、おそらく数ある名演からモーガンを選んだのはあの物悲しいトランペットの音色に魅せられたのかもしれない。シナトラが作者のひとりとしてクレジットされている曲で、シナトラの名唱やビリー・ホリデイの絶唱で知られるバラードだが、テーマ部の高低ある彩りがアドリブパートで無限の発展をみせるせいかインストも多い曲だ。
フレンチ・ホルンの第一人者として知られるジュリアス・ワトキンスも、「French Horns For My Lady」でストリングスをバックに名曲に挑んでいる。チャーリー・ラウズと組んだジャズ・モードが話題を呼んだくらいで、楽器の特異性もあり目立たない存在だが、ホルン特有のしなやかな音色はバラードで際立った香りを放つ。他にジャズホルニストがいないので比べることができないが、ミンガスのブラス・アンサンブルに白羽の矢が立つだけテクニックも完璧ということだろう。レイ・ドレッパーのチューバ同様、ワトキンスのフレンチ・ホルンも花形楽器では味わえないジャズの面白さを発見できる。
その曲は「ヒアズ・リー・モーガン」というアルバムに入っていて、モーガンが丁度貴女の年齢のころの作品ですよ。持っているのでお貸ししましょうか、と答えたが、念のためレコードプレイヤーはお持ちですかと訊いた。今度は逆に怪訝そうな顔で、レコードですか・・・と困った様子。どうやら平成生まれの世代はレコードプレイヤーはおろか、レコードすら見たことがないらしい。
モーガンが22歳の誕生日前に録音した曲で、18歳でデビューした天才ならではのやや荒削りとはいえ歌心あふれる演奏を思い出す。生憎その作家の「イノセンス」という作品は読んだことがないので、モーガンのこの曲が小説のなかでどのような存在感を持つのか興味がそそられるが、おそらく数ある名演からモーガンを選んだのはあの物悲しいトランペットの音色に魅せられたのかもしれない。シナトラが作者のひとりとしてクレジットされている曲で、シナトラの名唱やビリー・ホリデイの絶唱で知られるバラードだが、テーマ部の高低ある彩りがアドリブパートで無限の発展をみせるせいかインストも多い曲だ。
フレンチ・ホルンの第一人者として知られるジュリアス・ワトキンスも、「French Horns For My Lady」でストリングスをバックに名曲に挑んでいる。チャーリー・ラウズと組んだジャズ・モードが話題を呼んだくらいで、楽器の特異性もあり目立たない存在だが、ホルン特有のしなやかな音色はバラードで際立った香りを放つ。他にジャズホルニストがいないので比べることができないが、ミンガスのブラス・アンサンブルに白羽の矢が立つだけテクニックも完璧ということだろう。レイ・ドレッパーのチューバ同様、ワトキンスのフレンチ・ホルンも花形楽器では味わえないジャズの面白さを発見できる。
その曲は「ヒアズ・リー・モーガン」というアルバムに入っていて、モーガンが丁度貴女の年齢のころの作品ですよ。持っているのでお貸ししましょうか、と答えたが、念のためレコードプレイヤーはお持ちですかと訊いた。今度は逆に怪訝そうな顔で、レコードですか・・・と困った様子。どうやら平成生まれの世代はレコードプレイヤーはおろか、レコードすら見たことがないらしい。
アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユーといえばヴォーカルを思い出すかもしれませんが、今週はインストでお好みをお寄せください。楽器別、ヴォーカルはまたの機会に話題にしましょう。
管理人 I'm A Fool To Want You Best 3
Lee Morgan / Here's (Vee Jay)
Duke Pearson / Tender Feelin's (Blue Note)
Kenny Burrell / Night At The Vanguard (Argo)
多くの名演がありますので何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
リー・モーガンの「I'm a fool to want you」は好きなのですが、今回はこれは外して選んでみました。
と言っても、そんなに思い浮かんだわけではないのですが(笑)。
ドナルド・バードというと、ファンキーなイメージが強いのですが、「ロイヤル・フラッシュ」では、ワン・ホーンで切なく哀愁のあると同時に知的な感じのする演奏です。
デクスター・ゴードンは、太い音で低音部のハスキーな感じ良いです。
フレディ・ハバードのトランペットも哀愁があります。
dukeさんが挙げられているデューク・ピアソンも味わい深いと思います。
シングル・トーンでのフレーズがシンプルな感じで歌いあげているところがピアソンらしいです。バックのドラムも良いサポートをしていると思います。
フレンチ・ホルンでジャズというのは本当に珍しいですね。
どんなのか聴いてみたい気がします。
リー・モーガンの「I'm a fool to want you」は好きなのですが、今回はこれは外して選んでみました。
と言っても、そんなに思い浮かんだわけではないのですが(笑)。
ドナルド・バードというと、ファンキーなイメージが強いのですが、「ロイヤル・フラッシュ」では、ワン・ホーンで切なく哀愁のあると同時に知的な感じのする演奏です。
デクスター・ゴードンは、太い音で低音部のハスキーな感じ良いです。
フレディ・ハバードのトランペットも哀愁があります。
dukeさんが挙げられているデューク・ピアソンも味わい深いと思います。
シングル・トーンでのフレーズがシンプルな感じで歌いあげているところがピアソンらしいです。バックのドラムも良いサポートをしていると思います。
フレンチ・ホルンでジャズというのは本当に珍しいですね。
どんなのか聴いてみたい気がします。
Donald Byrd / Royal Flush (Blue Note)
Dexter Gordon / Ballads (Blue Note)
Duke Pearson / Tender Feelin's (Blue Note)
なんか、ブルーノートばかりになってしまいました。
お題の曲、好きな曲です。
>Lee Morgan / Here's (Vee Jay)
一番はこれでしょうねぇ。
モーガンのミュート、心に沁みます。
同じペットでは、ファーマーの「アート」(Argo)も
ありますが、あっさりし過ぎてちょっと食い足りない印象が
否めません。
>Duke Pearson / Tender Feelin's (Blue Note)
まあ、これも外せませんね。
リリカルの代名詞みたいなピアソンに
ピッタリの選曲。
ピアノでは、ちょっと他に思い当たりません。
3枚目は迷いましたが、
「The Balld Artistry of Milt Jackson」(Atlantic)
を挙げておきましょう。
入神のきめ細かいマレットさばき、今更ながら
惚れ惚れします。
次点に、バードの「Royal Flash」。
ソロはバードの独壇場、モーガンに迫る熱演。
若きハンコックの、バップスタイルのバッキングも
意外な聞き物ですよね。
>他にジャズホルニストがいないので
ペッパーと共演していた、夭逝のフレンチホルニスト、
ジョン・グラスって言いましたっけ?
なかなかいいと思うんですけど、いかんせん
音源が出回りません。
アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユーですか・・・。
ならばお気に入りは
「アート」アート・ファーマー
真打はこれだ!
モーガンも好きだが、こちらの方が好きだ!
「テンダー・フィーリンズ」デューク・ピアソン
以前、私が主催している「ジャズ鑑賞会」でとりあげたから、当然名演!
だんだん独善的になっているようです。もうすぐ頑固爺になるのでしょうか。(笑)
「ヒアーズ」リー・モーガン
サスガ天才!
ドナルド・バードの「ロイヤル・フラッシュ」は以前話題にしましたように、私も好きなアルバムです。おっしゃるようにファンキーなイメージが強いのですが並々ならぬ歌心があります。
デクスター・ゴードンが挙がりましたか。ドラマティックな曲の表現は上手いですね。デックスとジョニー・グリフィンがコンビを組んでいたころの話ですが、ステージで先発のグリフィンのソロが終わってもデックスが出てこないので怒って楽屋に行くと、ファンの女性とナニの最中だったとか。「恋は愚かというけれど」という邦題が付いておりますが、デックスには通じません。(笑)
選ばれた3枚はブルーノートで、しかもファーストネイムのスペルの始まりは「D」ですね。美しく整列した3枚のアルバムです。
アイム・ア・フールがお好きな曲で安心しました。先週のコメントで予告したセシル・テイラーでしたらユー・ア・フールでしたね。(笑)
やはりモーガンのミュートは忘れえぬ名演です。ファーマーも気になりましたが、完成されているせいかモーガンと比べるとスリルがありません。
ピアソンは私も挙げましたが、ピアソンの評価を変えたのはこの1曲でした。ピアノ表現でこれ以上のものはないでしょうし、おそらく今の世代のピアニストではこれを越えることはできないでしょう。
「The Balld Artistry of Milt Jackson」がありましたね。ヴァイヴがお好きな方は外せない演奏です。
ジャズホルニストではジョン・グラスもおりますが、「Jazz Studio」が知られている程度で音源は少ないですね。
トップにアート・ファーマーがきましたか。この曲のこの演奏だけを聴くと最上のファーマーがおります。先のコメントでも書きましたが、私は完成されないモーガンに軍配が上がりました。
デューク・ピアソンは頑固爺でなくても名演に挙げるでしょう。北の独裁者の私でも譲れね内容です。ということは私も頑固爺かぁ。(笑)
ヒアーズ・リー・モーガンのジャケはジャズアルバムらしいイカしたものです。若干21歳の若者がこのバラードの名曲に挑む姿を想像するだけでワクワクしますね。ところで、モーガンはタイガー・ウッズに似ていると思いませんか。女は怖いぞう。(笑)
この曲いいですね。学生時代4畳半の下宿で、歌詞とメロディーを自分と(当時の)彼女に重ね合わせて泣いていました(笑)まあ、そんな気分に勝手になっていただけですが、聴いていたのはアート・ファーマーのアルバムです。
Art Farmer / Art (Cadet)
Lee Morgan / Here's (Vee Jay)
Dexter Gordon / Clubhouse (Blue Note)
既に挙がっているものばかりですが、デクスター・ゴードンのものはキング盤のタイトルです。