
白人専用ハイスクールに黒人生徒が入学するのが許可された翌年、選挙での白人票欲しさにハイスクールに通学しようとする黒人生徒を追い返すため警察を動員した知事がいた。ついには白人黒人の共学に反対する白人たちによる暴動が発生し、連邦軍が出動し鎮圧されることになる。公民権運動をさらに激化させるひとつのきっかけとなった57年の米アーカンソー州リトルロック事件である。
チャールズ・ミンガスの「ミンガス・プレゼンツ・ミンガス」に収められている「フォーバス知事の寓話」は、この時の州知事を嘲笑したものだ。マックス・ローチの「ウィ・インシスト」と並ぶキャンディドの代表作で、ともにメジャー・レーベルでは作ることができなかった政治的主張が強い作品である。レーベルの監修に当たったナット・ヘントフは、プレイヤーに完全な自由を与えたため、制約のある商業レーベルとは一線を画す作品群が並ぶ。Candid とは「腹蔵なく言う」という意味で、キング牧師らが指導者となった公民権運動に音楽を通して発言の機会を与えたことの意味は大きい。
政治色が強いとはいえ、音楽的にも非常に優れておりミンガスの数ある作品でもベストに位置する内容である。エリック・ドルフィー、テッド・カーソン、ダニー・リッチモンドというミンガスの主張をダイレクトに表現できるメンバーの音のぶつかり合いは集合即興演奏の極致といえるもので、録音された60年以降、音楽手法のみならず反骨精神もフリージャズに影響を及ぼしたものだ。レッド・ノーヴォやパーカーと共演した時代からベーシストとして偉大であるばかりでなく、バンド・リーダーとしても大きな足跡を残している。多くのベーシストのなかでリーダー作品数がトップなのは、一作ごとに込められた強いメッセージをファンがいつも待っていたからなのだろう。
どこの国にも自分のことしか考えない知事はいるもので、「関東大震災は関西経済のチャンスだ」と述べた知事がいる。13年前の震災による痛みを知る県の知事とは思えない発言だ。ミンガスなら兵庫県知事の寓話ならぬ愚話とタイトルを付けたかもしれない。
チャールズ・ミンガスの「ミンガス・プレゼンツ・ミンガス」に収められている「フォーバス知事の寓話」は、この時の州知事を嘲笑したものだ。マックス・ローチの「ウィ・インシスト」と並ぶキャンディドの代表作で、ともにメジャー・レーベルでは作ることができなかった政治的主張が強い作品である。レーベルの監修に当たったナット・ヘントフは、プレイヤーに完全な自由を与えたため、制約のある商業レーベルとは一線を画す作品群が並ぶ。Candid とは「腹蔵なく言う」という意味で、キング牧師らが指導者となった公民権運動に音楽を通して発言の機会を与えたことの意味は大きい。
政治色が強いとはいえ、音楽的にも非常に優れておりミンガスの数ある作品でもベストに位置する内容である。エリック・ドルフィー、テッド・カーソン、ダニー・リッチモンドというミンガスの主張をダイレクトに表現できるメンバーの音のぶつかり合いは集合即興演奏の極致といえるもので、録音された60年以降、音楽手法のみならず反骨精神もフリージャズに影響を及ぼしたものだ。レッド・ノーヴォやパーカーと共演した時代からベーシストとして偉大であるばかりでなく、バンド・リーダーとしても大きな足跡を残している。多くのベーシストのなかでリーダー作品数がトップなのは、一作ごとに込められた強いメッセージをファンがいつも待っていたからなのだろう。
どこの国にも自分のことしか考えない知事はいるもので、「関東大震災は関西経済のチャンスだ」と述べた知事がいる。13年前の震災による痛みを知る県の知事とは思えない発言だ。ミンガスなら兵庫県知事の寓話ならぬ愚話とタイトルを付けたかもしれない。
Pithecanthropus Erectus (Atlantic)
Mingus Presents Mingus (Candid)
Mingus Ah Um(Columbia)
ワンツーは決定的でした。甲乙付け難い作品が並んでおりますので、3位は暫定的なものです。多くのアルバムを挙げていただきましたが、全てミンガスという偉大な個性を聴けるものばかりです。アルバム選びの参考にしていただければ幸いです。
川嶋哲郎さんのサーキュラーブレージングは凄いですよ。ボヘミア・アフター・ダークをリクエストしてはいかがでしょう。「俺、知らない」と言われたら、「G7で・・・」と。(笑)
お近くの方は是非足をお運びください。
個人的ベスト3ありがとうございます。渋いところが挙がりました。
ハイチアン・ファイトソングは「CHAZZ」が初演です。ミンガスの闘争心を表したタイトルも内容も強烈な響きで伝わってきます。チャズはミンガスの愛称ですが、洒落ていますね。ジョージ・バーロウは『ブルースの真実』のバーロウです。
「MINGUS DYNASTY」がきましたか。モンクの乳母車と並ぶ悪趣味のジャケですが、エリントン・ナンバーの解釈は見事ですし、私もアーヴィンは好きなテナーです。
「PRE BIRD」は、Bassclef さん流で言うと1100円の廉価盤で買いました。(笑)Aトレインが印象的でした。
ミンガスは傑作が並びますので、公的ベスト、私的ベスト、本日ベスト等々気分により変ります。ディキシーからフリージャズ、ヴォーカルまで節操ないジャズブログですが、またのお越しをお待ちしております。
次回25-25プレゼンツ・ライブは、
まだ、本決まりではないんですが、
3月15日(日)に関内「KAMOME」で、
赤松敏弘meets 川島哲郎。
前回の岸ミツアキさんの時と同様に、夕方開演の予定です。
ベースの人選で少し難航しておりまして、調整中。
皆様、一応押さえておいて、くださいね。
宜しくお願いいたします。 Bassclefさんの処から参りまして以前より覗いてはいたのですが、今回はミンガスと言うことでオレも黙っていられぬ!(笑) と乱入いたしました。
個人的に最近よく聴くベスト3と言うことで
①CHAZZ (Debut)
②MINGUS DYNASTY (Columbia)
③PRE BIRD (Mercury)
①では大好きな『ハイチアン・ファイトソング』 がお気に入りです。 これが初演ではないでしょうか? ジョージ・バーロウのテナーが良いです。 この人『ブルースの真実』でのバリトンと同一でしょうか?
②では『ムードインディゴ』です、この美しいエリントンナンバーもミンガス節でコテコテになります。 アーヴィンのテナーとハナのピアノ、たまらなく好きです。
③では『ハーフマスト インヒビジョン』 クラッシク風の曲調とミンガスのアルコが見事です、聴き惚れています。
真っ当な判断では
①ミンガス プレゼンツ ミンガス
② 直立猿人
③ ミンガス アーアム
順位はつけられませんがこんなところでしょうか?
私も「ミンガス・プレゼンツ・ミンガス」は衝撃が大きかったですね。このアルバムと「直立猿人」は大音量で聴くほど好きになるレコードですし、大音量でなければ良さが分からないでしょう。ドルフィーといい、カーソンといい、リッチモンドといい、ジャズという神と魂が宿っているとしか思えません。
アーアムがきましたか。ジェリー・ロール・モートンをも研究しているのに驚いたアルバムです。ジミー・ネッパーの歯があったころの作品です。(笑)
ジャズ・ポートレイツのジョン・ハンディとは嬉しいですね。ハンディは私も好きでして、モンタレーのスパニッシュ・レディは愛聴曲です。
おっしゃるように58~61年頃のミンガスのグループは素晴らしいですし、メンバーも曲者揃いで唸りますね。このグループで鍛えられると一味も二味も変ります。おそるべきミンガスの影響力です。
おっしゃるようにどの作品も優劣付け難いものが並びますが、棚から取り出す回数が多いアルバムがその中でも群を抜いていることになるのでしょうか。
Black Saint いいですね。The Black Saint & The Sinner Lady の原題タイトルよりも邦題の「黒い聖者と罪ある女」のほうが、イメージが沸きやすいですね。組曲はエリントンの手法を習っておりますが、優れた作曲家としてのミンガスを知るにはこれが一番と思います。ミンガスの作曲ベストも面白そうです。
ダニー・リッチモンドのファンでしたか。このドラマーこそがミンガス・サウンドを際立たせた人ですし、ミンガスが高く評価していたのも肯けますね。重量感ではエルヴィンに次ぐものです。
何かと喧嘩早いミンガスのようですが、あるクラブではソロのあいだ、ずっとしゃべり続けている客に喧嘩を売らずに、ベースを担いでトイレに入りソロを終えたそうです。最近読んだピート・ハミルの「マンハッタンを歩く」に紹介されていました。真剣に音楽に取り組んでいたことがわかります。
う~ん・・・ミンガスときたら黙っちゃおれん!・・・と4438milesさんのようなセリフになってしまいました(笑)
僕が最初にミンガスを聴いたのは高1の秋~それはやはり「ミンガス・プレゼンツ・ミンガス」・・・これには本当にぶっ飛びました。太くて丸いミンガスのいかにも大きそうなベースの音、ドルフィーのアルトのあのマグマが飛び出てくるような熱い音。その2人に負けじと鋭くい音を突き刺してくるテッド・カーソン、そしてmilesさんがおっしゃるようにヒトクセ・フタクセある熱いドラムのダニー・リッチモンド。
この4人は・・・凄い!
ミンガスのベースプレイに注目しても、その弦を引っ張る力の強さ、張りのある音と気合のこもったフレーズ・・・全て素晴らしい!
てなわけで以下~
1. ミンガス・プレゼンツ・ミンガス(candid)
2. ミンガス・アーアム(columbia)
3. ジャズ・ポートレイツ(united artists)
2.は、ブッカー・アーヴィンやホレス・パーランの好演、張り切ったミンガスの書いたジャズっぽい~いや、ゴスペルっぽい曲がとてもいい。録音も凄い。
3.も・・・本当に好きなレコードです。これはもうジョン・ハンディが吹く「言い出しかねて」が素晴らしい!続くミンガスのソロも・・・ちょっとアヴァンガルドになりそうなところを我慢しているような感じで、しかしとても味わい深いベースソロだと思います。58~61年頃のミンガスはいいグループを造ってましたね。
Pithecanthropus Erectus (Atlantic)
Mingus Presents Mingus (Candid)
後一枚・・Black Saints・・・か、道化師か・・・迷っておりす。
そして、アマノジャクとしてManey Jungleを挙げようと思っていたのですが・・・先を越されてしまいました。
エンリントンの前でひれ伏すミンガスもまた良いのではないかと思った次第です。
リーダーアルバムの多いミンガスで良いものが多いですが、私は同時にダニー・リッチモンドのファンでして、あの重いスネアの音・・・重厚なスイング感・・・何故かクセになるドラミングです。
フォーバス知事の話といい、この度の県知事の話といい・・・どうにも根性の小さい為政者が多く、B級と評するのはジャズファンの得意とする所ですが、政治家のB級はいただけません。
その様な政治家はミンガスのパンチで前歯を折って欲しいものです。
しかし、ミンガスの作曲、名曲の数・・一度整理してみると、アレモ、コレモで面白いかも・・。
ワンツーが私と同じで嬉しいですね。週初めでこの2枚は決定の感があります。
「コーネル1964」ですが、このメンバーによるライブ音源は数種出ているので手持ちを調べましたがありませんでした。どうやら初めて出た録音のようですね。ジョニー・コールズの参加が注目されます。30年以上前ですが、レイ・チャールズのバックバンドにいたジョニー・コールズを聴いたことがあります。パンフのメンバーを見たときに、あのコールズと同姓同名かと思いましたが、間違いなく本人でした。端正なトランペットでした。
Presents Mingus がトップにきましたか。フォーバス知事の寓話は、風刺、皮肉、そして怒り、ミンガスの思想が表れた曲ですし、音楽的にも申し分ない内容ですね。
Money Jungle とは意外な1枚でした。これは私も好きなアルバムでして、ピアニストとしてのエリントンを知るには最高と思います。ただ、ミンガスも強靭なラインを刻んではおりますが、やや萎縮した感じがします。ジャケット同様、いつもは前に出るミンガスが、後ろでジーと耐えているではありませんか。凶暴なミンガスを閉じ込めるのは檻ではなくエリントンのようですね。ジャングルで眠ガスです。(笑)
ワンツーの評価は私のなかでは生涯変らないものですが、3枚目が迷うところです。「直立猿人」を話題にしたときに 25-25 さんが選ばれたベストを聴き直しましたが、トップに挙げられた「道化師」がいいですねぇ。ハイチ人に限らず戦闘とはこの音であり、音から風景が想像できます。
エリントンに心酔しているミンガスだけに、「Mingus At Monteley」のエリントン・メドレーは白眉ですね。自費出版してでも世に出したかった内容だけのことはあります。
そして「Mingus Three」、ベーシストとしてのミンガスを聴くなら最良のアルバムと思いますよ。
「East Coating」は何かとエバンスが話題になりますが、エリントン色が強くて全体の雰囲気としては悪くはありません。
駄作はありませんが、私が選らんだベストは最初に聴いた衝撃の大きさによるものです。地震同様、衝撃が大きいほど印象が強いですね。おっと、兵庫県知事を批判できない失言でした。(笑)
いやぁ、偶然にもご紹介の「一個人」を私も買いました。普段は覗かないこの類の雑誌コーナーですが、マイルスが呼んでいたようです。
貴重な写真があり楽しめる内容ですね。ヘレン・メリルは三具さんが執筆されておりますが、先週コメント欄で話題にしたユービーソーの誤訳に言及していました。
国産最高級オーディオのページは、naru さんに毒ですね。(笑)
duke様、皆様、こんばんは。
ミンガスと言えば、「直立猿人」と「ミンガス・プレゼンツ・ミンガスは」外せませんね。
後の一枚は「コーネル1964」チャールス・ミンガス・セクステット・ウィズ・エリック・ドルフィーを挙げたいと思います。
最近購入したばかりで、まだ何回も聴いたわけではないのですが、コーネル大学でのライブでメンバー、選曲、演奏、どれも良い内容だと思います。ドルフィーのバスクラも素晴らしい!!
これから聴き込んでみようと思っているアルバムです。
でも、私の好みではベスト3はこうなりました。
Mingus Presents Mingus
Mingus In Europe VOl.1
Money Jungle
フォーバス知事の寓話が好きなので1.2.がこれになってしまいました。
Money Jungleは管楽器なしですが、ベース、ピアノ、ドラム全てが躍動的で良いです。
「直立猿人」が最高傑作であることには、
何の異論もない。
半世紀以上前に、「A Foggy Day」での
サイレンやクラクションの擬音効果を、
ジャズのアルバムでやってのけた、あの進取の気性、
素直に脱帽する。
脱帽するんだが、あえてここは自分の好みの3枚。
1)「道化師」
ハイチ人の戦闘の歌での、滾るようなエモーションには、
何度聴いても圧倒される。
ミンガスの叩きつけるようなベースの、なんと強靭なことか!
ウェイド・レッグ参加盤というのも魅力。
2)「Mingus At Monteley」
エリントン・メドレーが、秀逸。
3)「Mingus Three」
イエスガデイズ、サマータイム、ローラは
名演中の名演でしょう。
ホーズの高音域のシングルトーンも、素晴らしい。
それにしても、ミンガスの作品に駄作なし。
殆どが、4つ星以上でしょう。
唯一、エバンスと共演の「East Coating」は、
やや失敗作のように思う。
相性の問題か?
別の話題で恐縮ですが、今日、近所のコンビニで、「一個人」という雑誌を見つけました。マイルスが表紙で、「保存版特集 JAZZの快楽」 と題されております。写真が今までに見た事の無い、貴重なショットが多く!思わず購入してしまいました。JAZZ好きの皆さんに、是非見て欲しいと思い、コメントさせて頂きました。出版社は、 KKベストセラーズ社、価格は680円でした。今夜、じっくりと読むのが楽しみです。
ミンガスの「直立猿人」を話題にしたのは、一昨年の10月でした。このときに 25-25 さんが提案されたベスト3企画は、今ではコメント欄の一大イヴェントになりました。毎週ベストをお寄せくださる皆様に重ねて御礼申し上げます。
2年も経ちますとご覧いただく方もコメントをお寄せくださる方も変ってきております。今週はミンガスのお好みのアルバムをお寄せください。ベスト3に限らず広くコメントをお待ちしておりますので、日曜日アップ日にご覧いただいている100名様以上の皆様の初コメントも楽しみにしております。
管理人 Charles Mingus Best 3
Pithecanthropus Erectus (Atlantic)
Mingus Presents Mingus (Candid)
The Clown (Atlantic)
アルバム数が多いミンガスですので、何が挙がるか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。