団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

<九州電力>佐賀知事に玄海原発所長ら幹部が献金

2011-07-09 17:38:05 | 日記

 

画像:古川康後援会の08年分の政治資金収支報告書に記載されている個人寄付。下から2、3番目が九電幹部。交代後も毎年3万円が寄付されている(一部画像を処理しています)=2011年7月9日撮影
古川康後援会の08年分の政治資金収支報告書に記載されている個人寄付。下から2、3番目が九電幹部。交代後も毎年3万円が寄付されている(一部画像を処理しています)=2011年7月9日撮影

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の所長ら九電幹部が佐賀県の古川康知事の政治団体に対し05年以降、毎年3万円を個人献金していたことが分かった。献金は玄海原発や地元佐賀支店の要職に就いている時期だけ行われ、金額は一律3万円。政治資金規正法は政党以外への企業献金を禁止しているが、専門家は「個人献金の形を取った事実上の企業献金だ」と指摘している。

 古川知事の政治団体「古川康後援会」の政治資金収支報告書によると、九電幹部による個人献金は知事就任2年後の05年から始まり毎年、玄海原発所長、佐賀支店長がそれぞれ3万円を寄付。所長は07年、支店長は07年と09年に交代しているが、交代後も寄付額は3万円と変わらず、時期も毎年10〜12月に集中している。このほか3、4号機担当の玄海原発第2所長も05〜07年に毎年1万5000円を寄付。古川知事の資金管理団体「康友会」にも現副社長(元佐賀支店長)が07〜09年に5万円ずつ献金しており、2団体への寄付額は05〜09年で計49万5000円に上る。

 個人献金した元支店長は毎日新聞の取材に「プルサーマル発電を推進したいという気持ちがあったので献金した。金額は自分で決め、他の人の献金状況についてはわからない」と組織ぐるみの献金を否定。九電も「個人がそれぞれの考え方で行っているもので、会社として関知していない」と話している。

 玄海原発を巡っては06年、専門家から危険性が指摘されたMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を使用するプルサーマル発電について、古川知事が「安全性は確保される」として同意。09年に3号機で全国初のプルサーマル発電が始まった。

 一方、福島第1原発事故を受けて定期検査後も停止したままの2、3号機の再稼働問題が浮上。古川知事はいったんは「安全性の確認はクリアできた」と容認姿勢を示したが、その後に国が打ち出した全原発での耐性試験実施方針や、九電の「やらせメール」問題発覚を受けての最終判断が注目されている。

 電力各社は大幅な電気料金の値上げを断行した74年に「公益企業として不適切」として、政治資金規正法で認められている政党や、政党が指定する政治資金団体への企業献金も自粛している。

 九電幹部らから古川知事の政治団体に対する献金について、神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は「特定のポストから退いたら献金していない状況をみれば、個人の意思でやっているとは思えない」と指摘。「組織的に行われているのであれば本来は受け取ってはいけないお金だ。原発に権限を持っている知事ならなおさら辞退すべきではないか」と話している。

 古川康後援会は「個人として寄付されたもので、企業献金の認識はない。原発と結びつけて考えるところは何もない」と話している。

【関谷俊介、三木陽介】毎日新聞7月9日(土)15時50分


<九州電力>「玄海1号が最も危険」 緊急冷却で原子炉が割れる!老朽原発に警鐘。

2011-07-09 15:10:56 | 日記

原子力発電所の原子炉がガラスのコップのように割れてしまったらー。

日本の原発ではその危険性が高まっていると警告する科学者がいる。もし、そうなれば、核反応制御不能となって大爆発を起こし、大量の放射性物質が広範囲に拡散する。福島第1原発事故の比ではない大惨事となりかねない。危険度トップは玄海原発1号だ。

「日本で一番危険な原子炉は、九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)です」。こう断言するのは、井野博満・東大名誉教授(73)=金属材料学=だ

玄海原発2号機、3号機は現在、定期検査のため運転中止中。菅直人首相がストレステスト(耐性評価)の実施を当然、打ち出し、九州電力の「やらせメール」が発覚したため、地元の岸本英雄町長は再稼動を了承する方針を撤回した。しかし、井野氏は、むしろ運転中の1号機について大きな問題があるというのだ。

原発は地震や事故など異常が起こると運転が停止し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が働いて、原子炉を急速に冷やす仕組みになっている。福島第一では、電源を喪失してこのECCSがうまく作動せず、事故に至った。ところが玄海1号機ではECCSが働いた場合、逆に大きな事故が起きる可能性があるという。

玄海1号機の運転開始は36年前の1975年で、九州電力の原発の中では最も古い。井野氏は言う。「1号機の原子炉圧力容器の鋼(母材)の壁は老朽化でもろくなっている。急速に冷やした場合、破損する恐れがあるのです」

井野氏が例えるのは、ガラスのコップだ。熱いコップに冷たい水を急に入れると、内側と外側の急激な温度変化に耐えられずバリンと割れてしまうことがある。同じような現象が圧力容器にも起こり得るという。

圧力容器の内壁は、核分裂で発生する中性子線にさらされている。鋼は中性子線を浴びるほどもろくなる。通常、鋼はある程度の力を加えても変形するだけで割れることはない。しかし、ある温度を下回ると、陶器のように割れてしまう。この温度を脆性遷移温度という。もろくなればなるほどこの温度は下がる。

井野氏によると、北大西洋を航行中に沈没したタイタニック号は、質の悪い鋼材が使われていて脆性遷移温度は27度だったという。そして氷山に衝突した衝撃で船体は割れてしまった。

電力会社は、原発の耐用年数を推測するため、この脆性遷移温度を調べている。圧力容器の内壁のさらに内側の位置に圧力容器と同じ材質の試験片を四~五組ほど設置。数年から十数年ごとに取り出して検査する。内壁より炉心に近い位置に設置してあるため、中性子の照射量が大きくなり、劣化が早く進む。試験片を調べ、将来のもろくなった状態を予測するのだ。

 

 玄海1号機の圧力容器の脆性遷移温度はどうなのか。75年の運転開始時はマイナス16度だったのが、76年に35度、80年に37度、93年に56度と徐々に上昇してきた。「ここまでは、ほぼ予想どうりでした。衝撃的だったのは昨年10月に九州電力が公表した2009年4月時点の温度です」。なんと98度に跳ね上がっていたのだ。

玄海1号機のような加圧水型軽水炉では、圧力容器内を150気圧、300度以上の高温高圧で運転している。容器に亀裂が入れば、爆発的な破損に発展し、大量の放射性物資を放出することになる。

井野氏らは、昨年12月、経済産業省原子力安全・保安院に説明を求めたところ、「驚いたことに、保安院はその時点で何の情報も持っていなかった。九州電力は二重『報告する義務は無い』として知らせていなかったのです。

なぜ、玄海1号機の数値は急激に上がったのか。井野氏は「鋼の中の銅の含有率が高かった可能性がある。欠陥炉の疑いもある」とみる。「原因を調べるために、試験片を大学などに提供し、ミクロ組織の検査を行うべきです。少なくともその結果が分かるまで原子炉を止めるべきです」

九州電力が03年に提出した報告書の予測曲線によると玄海1号機の脆性遷移温度は65度程度、誤差を入れても75度前後のはずだった。98度は、修正した予測曲線からも大きく外れている。

九州電力広報部は「試験片の98度というのは、66年運転した場合の想定温度。容器本体は80度と推定している。60年運転想定では91度。日本電気協会の定めた新設炉の業界基準93度を下回っている」と説明。「安全上問題ない」と主張する。

しかし、井野氏は「予測曲線があまりにも外れている。根本的に見直し安全検査を徹底すべきだ」と訴える。

玄海1号機と同じ問題を抱える老朽原発は、ほかにもある可能性が高い。井野氏はこの点を強く危惧している。「日本の原発は米国に十年以上遅れ営業運転を始めた。1960年代に運転を開始した米国やドイツの原発は、今ではすべて閉鎖されている。このために日本の原発は老朽化の先頭を走っています」

原発は当初、30~40年の寿命を想定して設計。70年に営業を始めた敦賀原発1号機は、2010年には閉鎖になるはずが、そうはなっていない。住民の反対運動などで新規建設が困難になったことや、既存の原発を延命した方が安上がりということなどから、国は寿命を延長する方針を決めたのだ。

30年を超えた原発について、電力会社は国に老朽化対策の報告書を提出し、高経年化対策検討委員会で審議して認められると、10年ごとに最長60年までの延長が可能になる。

玄海1号、敦賀1号、美浜1~3号、福島第一1~6号など20基近くの原発が30年以上運転されている。敦賀1号、美浜1号、福島第一1号は40年を超えての運転が認められている。今後は50年、60年を目指す原発が出てくるかもしれない。

井野氏は「老朽化すrば、故障ヤトラブルが増え、メンテナンスが大変になるのが普通。無理な運転をすれば傷みもひどくなる」と指摘する。

玄海1号の98度はワーストで、50度以上の原発は7基。ただ、試験片を10年以上検査していない原発もある

「検査をすれば、玄海1号と同じように脆性遷移温度が跳ね上がる圧力容器はほかにもある可能性は否定できない」

井野氏はあらためて警告する。「全国の老朽化した原発を早急に総点検し、予測以上の脆化を示した原子炉はすぐに廃炉にすべきだ」

 東京新聞 中日新聞 7月9日 


地方議員年金の廃止法成立 制度清算の公費負担1兆円超

2011-07-09 11:18:42 | 日記

地方議員年金を廃止する改正地方公務員等共済組合法が5月20日、参院本会議で可決、成立した。地方議員が減って制度の維持が難しくなったため一時金などの支払いで対応する内容だ。

 改正法では現職議員に掛け金総額の80%を一時金として支払い、在職12年以上の現職は一時金か、年金を受け取る。退職議員にも継続して年金を支払う。

 地方議員年金は議員の掛け金と公費でまかなっているが、自治体の財政難や市町村合併で掛け金を支払う議員が減り、市議や町村議の年金財政が破綻(はたん)するおそれがあった。民主党は昨年11月、廃止を菅政権に提言し、政権が通常国会に法案を提出。一時金の額は総務省の検討会が2009年に64%の案を出したが、地方議員の要望で80%にした。

 支払い不足分は地方交付税などで手当てするが、総務省の試算では対象者全員が一時金を選ぶと総額1兆1400億円、年金を選ぶと1兆3600億円の公費負担になり、対象者がいなくなるまで約60年かかる。(朝日新聞2011年5月23日15時19分)

甘い汁を吸った議員達の年金のために 一兆円超の税金を使うなら、

完全廃止して、この金を 「子供手当て」に充当すべきではないか?

老人議員に手当てするより、日本国家を支えるための子供を育てよう。

現在国会で調整がつかない、震災復興予算の道筋が見えてくる。


「子ども手当」見直しがもたらす少子化問題の深刻

2011-07-09 11:03:20 | 日記

“所得制限”は晩婚晩産・共働き世帯に負のメッセージ
「子ども手当」見直しがもたらす少子化問題の深刻
――東レ経営研究所 渥美由喜
ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長に聞く

民主党政権が鳴り物入りで開始した「子ども手当」は、東日本大震災の復興財源確保のため、本格的な制度の見直しが検討されている。廃止・制限などにより不足している復興財源を補うことはできるが、回復傾向にある合計特殊出生率に冷水を浴びせかねず、一層深刻さを増す少子化問題や財政構造が厳しい社会保障問題を解決困難にする恐れもある。では今後、財源確保が厳しくなるなか、少子化対策はどのように行われるべきか。内閣府「少子化社会対策推進会議」委員も務める東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長・渥美由喜氏に、少子化問題解消のために政府が行うべき施策、そして企業や個人に求められる対策を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

日本の子育て支援はOECD加盟39ヵ国38位
「子ども手当」再考前に年金給付の見直しを

――東日本大震災の復興資金の捻出先の1つとして「子ども手当」が挙げられ、同制度の見直しが急務となっている。支給額の減額や所得制限、廃止などが囁かれる中、このタイミングでの同制度見直しをどう捉えているか。

あつみ・なおき/東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長。1968年生まれ。専門は人口問題、社会保障、労働雇用。内閣府の「少子化社会対策推進会議」委員も務める。著書に、『少子化克服への最終処方箋』(共著)、『イクメンで行こう!』等がある。

 現在、日本の人口ピラミッドは、逆三角形で不安定な状態である。それを何とか安定させようとするのが、子ども・子育て支援の意義である。しかし、「子ども手当」などで子育て支援に関する財政支出を先進国並みにする動きが高まっていた最中、震災によって社会保障制度改革の“足腰”の部分が見直されるのはタイミング的に最悪だ。

 もちろん震災対応は必須であり、子ども手当がその財源とされやすいのは理解できる。ただその前に、我が国の社会保障給付のなかで非常に手厚い高齢者手当である年金制度にメスが入れられるべきである。実際、日本の高齢者給付に関する支出額(GDP比)は8.8%(OECD平均6.0%)で、OECD加盟39ヵ国中7位と上位だ。子ども手当に所得制限をかける案も出ているが、年金こそ所得制限をかけるべきであるし、支給開始年齢もさらに引き上げるべきではないだろうか。にもかかわらず、現在はあまり整合的ではない議論がなされているように感じる。

――「子ども手当」「高校無償化」などを大々的に打ち出した民主党政権によって、子育て支援は改善されたといえるだろうか。

 民主党が掲げた「子育て・教育を社会全体で支える」という理念は正しい。今まで、年齢制限・所得制限がある児童手当の受給世帯以外は、子育てへのサポートが何もない感覚が強かった。このことからも、これら施策で子育て支援環境は改善されたといえるだろう。しかし、方向性はよかったとはいえ、もう少し賢いやり方があったのではないか。

現状の子ども手当のような現金給付では、「子どもに給付」という名のもとに、親が自らの娯楽のために消費をする可能性もある。だからこそ、私は子ども関連の支出に使途を限定するバウチャーの方が政策効果は高いと論じていたが、結局は雲散霧消してしまった。方向性は正しかっただけに、非常に残念である。

 また、制度の中身だけではなく、日本の子育て支援における社会保障給付の水準が依然として低いことは大きな問題である。我が国の子育てと教育への公的支出は、2007年時点で4.4%と、OECD加盟39ヵ国中38位だった(GDP比、家族給付と初等・中等・高等教育への支出を合計。OECD平均は6.9%)。昨年から子ども手当が支給されてきたが、実際には当初の半額支給(1万3000円)でいずれにせよ十分ではなく、震災の影響でさらに後退すれば圧倒的にその水準は低くなる。

 確かに、小泉政権時代に猪口邦子氏が担当相として少子化対策を行って以来、自公政権も民主党政権も子ども・子育てにウエイトを置く方向にあって環境も改善しつつあり、出生率も2005年に1.26を記録して以降、改善傾向にあるのは事実だ。ただ、出生率が人口機会水準である2.07を上回らなければ、人口は基本的に減り続けていく。2.07の出生率を維持するには、毎年10~15兆円の公的支出が必要だと私は考えている。子育て支援の絶対水準は、未だに十分ではないことを忘れてはならない。

「所得制限」は晩婚晩産の共働き夫婦に
“応援しない”というメッセージを送りかねない

――「子ども手当」の見直しの1つである、所得制限の導入についてどう考えるか。

 子ども手当は子どもを社会的に支援するものだが、「親に必要性があるか・ないか」で所得制限を入れれば、“親手当”となってしまい、本来の理念とはかけ離れることになる。

 しかも、晩婚晩産で結果的に高所得になっている女性や共働きの人たちは、子ども手当によって、初めて自分たちが子育てをしながら仕事をがんばることを認めてもらえたと感じていた。しかし所得制限によって弾かれてしまえば、子育てしながら仕事をがんばることを社会的に全く応援してもらえないことになる。そのことに彼らは、すごくがっかりしているし、ネガティブに捉えている。

 また、先ほども述べたように出生率が改善しているのは、現在、若いときに産みそこなった晩婚晩産の人たちが“産み戻し”をしているためである。そういう人たちに、「産んでも応援しない」というメッセージを送ることになるため、基本的に所得制限は入れるべきではない。

 子どもは、親の所得水準を選んで生まれてきているわけではないし、高所得で余裕があるなら支給しないという考え方は一面的だ。子育てしながら働くのは本当に大変なこと。今、首都圏を中心に待機児童が多いが、所得水準が高いと後回しになりがちだ。そうなると認可外の保育園に入れざるを得ず、認可の保育園よりかなり高額の金銭負担を強いられる。そうしたことからも、高所得なら支援が不要というのは明らかに誤っている。高所得層で専業主婦世帯ならば、もらう意義はないかもしれないが、共働き世帯ならば、きちんと支給されるべきだろう。

社会保障制度の議論は
「適正人口」から逆算して考えるべき

――社会保障と税の一体改革の議論が行われるなか、消費税増税の議論も高まっている。政府・与党はその議論を先送りしている感があるが、本来、どのように改革が行われるべきか。

 まず一番大切な概念は、日本の社会システムを維持するための「適正人口」の水準を明らかにすることである。今のままでは、100年後に日本の人口は3分の1になってしまう。そうすれば、年金・介護・医療制度など、現状の社会保障制度は維持できない。だからこそ私は、「8000万人~1億人」を適正人口とし、現在の1億2000万人の人口がその水準で下げ止まるような施策を打たなければならないと考えている。

 適正人口を維持するために、出生率をどの水準まで上げ、そのために子どもを産みたいのに産めないという人のギャップをどう埋めるのか。そういう議論や戦略が抜け落ちたまま、社会保障制度や税制を論じても無意味だ。

 現在の社会保障制度をめぐる議論を見ていると、給付抑制にかなり甘い部分がある。給付と負担の理論は、給付抑制を先に議論し、その後にそれでも賄いきれない部分をどう負担するか考えるべきである。

 直近の税制の将来推計は、「給付抑制しなくてもよい」という見通しを立てるために甘い数値が出されている。しかし本来は、きちんとした数字で、給付抑制をドラスティックに行ってもこれだけ拠出を増やさないと賄えない、だから消費税をこれだけ上げるという順を追った議論をしていくべきだ。場当たり的で、長期的な視点に立たないままでは、近く増税をしても十数年後さらに増税することになってしまうだろう。

1人3役「職業人」「親」「地域人」を
少子化対策は個人の果たす役割も大きい

――子育てしやすい環境をつくるため、社会全体や企業はどう変わるべきだろうか。

 現在の日本では、子どもたちが社会全体で育てられているかというと、そうとは言い切れない。ただ、タイガーマスク運動や被災地の子どもに向けた支援や社会的な関心を見ていると、日本社会のお互い様という意識、思いやりはまだ失われておらず、子どもを育てる社会を取り戻しつつあるように思う。

 しかし、被災地の子どもたちの支援は今だけはなく、成人するまで求められる。また、支援が必要なのは被災地の子どもや施設に入っている子どもたちだけではない。こうした意識を一過性に留めず、永続的なものにして社会的に支援することが必要だと思う。

 また、この震災を機に、企業が被災地へのボランティア休暇を認める動きは、大きな変化だ。これまで論じられてきたワークライフバランスは、社内の従業員の生活支援に留まっていたが、被災地など社外の生活支援にも目が移った。こうした「内向きのワークライフバランス」から「外向きのワークライフバランス」への変化はよい機運で、これを永続的にしていくことが企業にとっても重要だろう。

――実際に男性が仕事をしながら子育てをするには、今後どのようなことがポイントとなるか。

 現在、私自身は5歳と1歳の子どもの子育て中で、父の介護もある。ただ、そうした“制約”がありながら働く男性はこれから増えていくはずだ。震災による夏の節電は典型だが、制約を前提としていかに仕事を業務時間内に終わらせるかに取り組まざるを得ない。

 今回の節電は、制約を当たり前にするという意味では、ワークライフバランスには追い風だと考えている。なかには長期休暇や平日休暇になる業種、業界もある。そうすれば、今まで以上に、子育てをやらざるを得なくなる。うまくこの夏の節電対応を自分の家庭に使う時間に結びつけていくことが重要だろう。

 もちろんこの意見に対して、批判もあるかもしれない。震災によって仕事がなくなり、ワークライフバランスなんて言っていられない、業界によっては一層忙しくなるところもあるだろう。しかし実際、不夜城のように深夜まで煌々と明かりが点いているオフィスは今、住民から非常に厳しい視線にさらされている。「社会的な責任に対して鈍感な企業だ」と、実際に住民が当局に密告しているケースもあるという。そうした意味で、“ワーク・ワーク”の企業はリスクが高まる可能性がある。 

 ワークライフバランスが正しい・正しくないではなく、やらざるをえないのであれば、仕事の成果が上がるようなやり方にすべきで、ライフの時間は「仕事をしない時間」ではなく、「家族とコミュニケーションをとる時間」にすることも必要だ。働くのは家族の支援があってこそ。家族に背を向けて孤立すれば、いい仕事はできない。ピンチをチャンスに結びつける、子育て中の男性にとって震災は、それぞれの人生に大きなインパクトを与えるのではないだろうか。結婚件数も増えている一方で、離婚件数も増えているという現実もある。夏場に向けて、もう一度家族の絆を取り戻すチャンスにしていただきたい。

――子育て支援に向けられる財政が縮小するなかで、出生率を上昇させる方法はあるか。

 個人が「1人3役」、つまり「職業人」、「親」、「地域人」という役割を果たしていくべきだと考えている。地域人の部分のウエイトが高まっていくと、子どもはもう少し生まれるかなと思う。

 先進国は多額の財政支出をしなければ少子化に歯止めがかからないが、途上国は財政支出などなくても子どもがたくさん生まれている。それは、地域全体で子どもを育てる環境があるからだ。現在の日本は親が育てることが前提になっており、2人以上の子どもの教育費が負担できないから産み控えしている人が多いのだとすれば、それはあるべき姿ではない。産むまでは親の責任だが、育てるのは社会全体で、と切り替えるのが1つの少子化対策だと思う。

 私自身は、18年前から週末に地元の公園で子どもたちと遊ぶ「子ども会」を主催してきた。高度経済成長期以降、男性が会社人間となり、地域人としてのウエイトが低くなっている。そのため、定年後の男性は地域社会に居場所がなく、惨めな日々を送る人も少なくない。ただ、これも日本社会の長い歴史のなかで見れば、一時期のあだ花で、地域で自分たちの役割を見つける人が増えるようにすべきであり、この震災を機にそうなりつつあるのではないか。

 首都圏でも帰宅難民になった人が多かったが、私自身も周囲にもママ友たちが子どもを迎えに行ってくれたことで助けられた人たちが沢山いる。この震災で、地域のネットワークはすごく重要だと気づいた人は多い。地域人としての役割を果たすことは、自分たちにとって保険でもある。その“投資”に時間をかける人が増えていってほしいと思う。


日米豪、南シナ海で初訓練 海自艦艇など中国けん制

2011-07-09 10:48:57 | 日記

海上自衛隊は8日、米、オーストラリア両海軍との共同訓練をブルネイ沖の南シナ海で初めて実施すると発表した。これまでは九州西方、沖縄近海で行っており、領有権をめぐり近隣諸国と対立する中国をけん制する狙いがある。

 共同訓練は9日、南沙(英語名スプラトリー)諸島南方のブルネイ近海で実施。海自護衛艦の「しまかぜ」と米海軍の駆逐艦、豪海軍のパトロール艇の計3隻が海上で通信訓練などを行う。3隻ともブルネイで開かれている国際観艦式に参加している。

 中国は南シナ海のほぼ全海域を自国の権益圏とみなして領有権を主張。南シナ海では最近、中国船の行動で緊張が続いている。

(共同)