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<九州電力>「玄海1号が最も危険」 緊急冷却で原子炉が割れる!老朽原発に警鐘。

2011-07-09 15:10:56 | 日記

原子力発電所の原子炉がガラスのコップのように割れてしまったらー。

日本の原発ではその危険性が高まっていると警告する科学者がいる。もし、そうなれば、核反応制御不能となって大爆発を起こし、大量の放射性物質が広範囲に拡散する。福島第1原発事故の比ではない大惨事となりかねない。危険度トップは玄海原発1号だ。

「日本で一番危険な原子炉は、九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)です」。こう断言するのは、井野博満・東大名誉教授(73)=金属材料学=だ

玄海原発2号機、3号機は現在、定期検査のため運転中止中。菅直人首相がストレステスト(耐性評価)の実施を当然、打ち出し、九州電力の「やらせメール」が発覚したため、地元の岸本英雄町長は再稼動を了承する方針を撤回した。しかし、井野氏は、むしろ運転中の1号機について大きな問題があるというのだ。

原発は地震や事故など異常が起こると運転が停止し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が働いて、原子炉を急速に冷やす仕組みになっている。福島第一では、電源を喪失してこのECCSがうまく作動せず、事故に至った。ところが玄海1号機ではECCSが働いた場合、逆に大きな事故が起きる可能性があるという。

玄海1号機の運転開始は36年前の1975年で、九州電力の原発の中では最も古い。井野氏は言う。「1号機の原子炉圧力容器の鋼(母材)の壁は老朽化でもろくなっている。急速に冷やした場合、破損する恐れがあるのです」

井野氏が例えるのは、ガラスのコップだ。熱いコップに冷たい水を急に入れると、内側と外側の急激な温度変化に耐えられずバリンと割れてしまうことがある。同じような現象が圧力容器にも起こり得るという。

圧力容器の内壁は、核分裂で発生する中性子線にさらされている。鋼は中性子線を浴びるほどもろくなる。通常、鋼はある程度の力を加えても変形するだけで割れることはない。しかし、ある温度を下回ると、陶器のように割れてしまう。この温度を脆性遷移温度という。もろくなればなるほどこの温度は下がる。

井野氏によると、北大西洋を航行中に沈没したタイタニック号は、質の悪い鋼材が使われていて脆性遷移温度は27度だったという。そして氷山に衝突した衝撃で船体は割れてしまった。

電力会社は、原発の耐用年数を推測するため、この脆性遷移温度を調べている。圧力容器の内壁のさらに内側の位置に圧力容器と同じ材質の試験片を四~五組ほど設置。数年から十数年ごとに取り出して検査する。内壁より炉心に近い位置に設置してあるため、中性子の照射量が大きくなり、劣化が早く進む。試験片を調べ、将来のもろくなった状態を予測するのだ。

 

 玄海1号機の圧力容器の脆性遷移温度はどうなのか。75年の運転開始時はマイナス16度だったのが、76年に35度、80年に37度、93年に56度と徐々に上昇してきた。「ここまでは、ほぼ予想どうりでした。衝撃的だったのは昨年10月に九州電力が公表した2009年4月時点の温度です」。なんと98度に跳ね上がっていたのだ。

玄海1号機のような加圧水型軽水炉では、圧力容器内を150気圧、300度以上の高温高圧で運転している。容器に亀裂が入れば、爆発的な破損に発展し、大量の放射性物資を放出することになる。

井野氏らは、昨年12月、経済産業省原子力安全・保安院に説明を求めたところ、「驚いたことに、保安院はその時点で何の情報も持っていなかった。九州電力は二重『報告する義務は無い』として知らせていなかったのです。

なぜ、玄海1号機の数値は急激に上がったのか。井野氏は「鋼の中の銅の含有率が高かった可能性がある。欠陥炉の疑いもある」とみる。「原因を調べるために、試験片を大学などに提供し、ミクロ組織の検査を行うべきです。少なくともその結果が分かるまで原子炉を止めるべきです」

九州電力が03年に提出した報告書の予測曲線によると玄海1号機の脆性遷移温度は65度程度、誤差を入れても75度前後のはずだった。98度は、修正した予測曲線からも大きく外れている。

九州電力広報部は「試験片の98度というのは、66年運転した場合の想定温度。容器本体は80度と推定している。60年運転想定では91度。日本電気協会の定めた新設炉の業界基準93度を下回っている」と説明。「安全上問題ない」と主張する。

しかし、井野氏は「予測曲線があまりにも外れている。根本的に見直し安全検査を徹底すべきだ」と訴える。

玄海1号機と同じ問題を抱える老朽原発は、ほかにもある可能性が高い。井野氏はこの点を強く危惧している。「日本の原発は米国に十年以上遅れ営業運転を始めた。1960年代に運転を開始した米国やドイツの原発は、今ではすべて閉鎖されている。このために日本の原発は老朽化の先頭を走っています」

原発は当初、30~40年の寿命を想定して設計。70年に営業を始めた敦賀原発1号機は、2010年には閉鎖になるはずが、そうはなっていない。住民の反対運動などで新規建設が困難になったことや、既存の原発を延命した方が安上がりということなどから、国は寿命を延長する方針を決めたのだ。

30年を超えた原発について、電力会社は国に老朽化対策の報告書を提出し、高経年化対策検討委員会で審議して認められると、10年ごとに最長60年までの延長が可能になる。

玄海1号、敦賀1号、美浜1~3号、福島第一1~6号など20基近くの原発が30年以上運転されている。敦賀1号、美浜1号、福島第一1号は40年を超えての運転が認められている。今後は50年、60年を目指す原発が出てくるかもしれない。

井野氏は「老朽化すrば、故障ヤトラブルが増え、メンテナンスが大変になるのが普通。無理な運転をすれば傷みもひどくなる」と指摘する。

玄海1号の98度はワーストで、50度以上の原発は7基。ただ、試験片を10年以上検査していない原発もある

「検査をすれば、玄海1号と同じように脆性遷移温度が跳ね上がる圧力容器はほかにもある可能性は否定できない」

井野氏はあらためて警告する。「全国の老朽化した原発を早急に総点検し、予測以上の脆化を示した原子炉はすぐに廃炉にすべきだ」

 東京新聞 中日新聞 7月9日 


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