ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

きつぱりと

2008-11-18 21:29:54 | 
元気を出さねばね。
今日も光太郎。きつぱりと光太郎。



冬が来た

きつぱりと冬が来た
八つ手の白い色も消え
公孫樹の木も箒になつた

きりきりともみ込むやうな冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た 





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ぼろぼろな駝鳥

2008-11-17 23:09:38 | 
心身ともにとても疲れました…
光太郎の詩とともに、静かに眠りに就こう‥



ぼろぼろな駝鳥

何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。
動物園の四坪半のぬかるみの中では、
足が大股過ぎるぢゃないか。
頚があんまり長過ぎるぢゃないか。
雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。
腹がへるから堅パンも食ふだらうが、
駝鳥の眼は遠くばかりを見てゐるぢゃないか。
身も世もないように燃えてゐるぢゃないか。
瑠璃色の風が今にも吹いてくるのを待ちかまへてゐるぢゃないか。
あの小さな素朴な顔が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。
これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。
人間よ、
もう止せ、こんな事は。


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今度は、近代絵画の父=セザンヌ展

2008-11-16 19:58:56 | 



今度はポール・セザンヌ。

「セザンヌ主義」と称して「近代絵画の父」と言われるセザンヌの絵がやってきた。

横浜美術館で11月15日(土)~1月25日(日)まで。

今回は、セザンヌの名作約40点と、その影響を受けたと考えられる20世紀の巨匠の作品約100点を国内外から集め、それらを並置、比較して鑑賞するという試みです。


  「セザンヌ!彼は、われわれみんなの父のような存在だった。
   われわれは、彼によって守られていたのだ…。」(パブロ・ピカソ)


彼の絵画が20世紀初頭のフランスにおける革命的な芸術運動に与えた影響はとりわけ顕著だったといわれます。

今回の企画のリーフレットには次のようにあります。


  偉大なる表現者が次なる表現者を生むという、芸術の神髄に迫る
  この貴重な機会を、どうぞお見逃しなく!


出展作家は以下の通り。

セザンヌ、ゴーギャン、ベルナール、ピカソ、ブラック、マティス、
ドニ、シャガール、モディリアーニ、キスリング、、、、
有島生馬、安井曽太郎、岸田劉生、佐伯祐三、黒田重太郎、、、、



ピカソ展に続き今年中にぜひとも鑑賞に出かけようかと思っています。


そういえばがさごそかたずけをしていて出てきたスケッチの1枚。
学生の頃に描いた彼女の横顔。
絵を見るのは好きでしたが、描く方は見よう見まね。
あまりにも懐かし過ぎる1枚でした。




もう相当に過去のお話し。
よい思い出になっています。
絵は捨てない限り色あせずにずっと残っています。


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家にいるときの時間のすごし方

2008-11-16 11:51:17 | 
 


ぐずぐずした天気で、ぐずぐずと家で時間を過ごしています。
コーヒーをきょうはもう3杯もいれました。

コーヒーメーカーがゴボゴボと湯をこす音を聞きながらメンソールをくゆらせている。
窓はあけっぱなしで冷たい空気が気持ちいい。

コーヒーは学生の頃から好きでした。
モカやキリマン、ブラジルなどストレートなコーヒー豆を買い、
自分で豆を挽き沸かしたお湯でペーパーフィルターでこしていれます。
ブレンドなんて飲まないというこだわりもありました。

今はコーヒーメーカー、豆も安いブレンドを大量に買い込んでいます  

〝こだわり〟というものをすっかり放棄してしまった。





汚い机の周り… これじゃあ机に向おうという気も起りませんね。

昔つきあっていた人に、大学に入って何を学んだかと聞いたことがありました。
その人が言うには「机に向かう習慣」という答えでした。
そんな単純明快な答えが返ってきて我を省み、赤面した覚えがあります。


その〝真理〟は長いこと僕の心に堆積し、どこへ引っ越す際にも少なくとも机と椅子だけは離さず携えてきました。
何しろそれさえなくなってしまったら「机に向かう」ことすらできなくなりますから。
ところが、いったいこの机にどれだけ向かっただろうか。
そうふりかえると少なくともここ数年、お世話になった記憶がありません。
単に、小物置場と化し、机の上は見ての通りのありさまです。 


勉強をしよう。知識をいっぱい吸収しよう。いろんなことを自由に思索しよう。
日記を書こう。手紙を書こう。詩を書こう。……

そんな決意で買った机なのに、ほとんど当初の目的に使用されたことのない机。
もうだいぶ年季も入りくたびれています。可哀そうな僕の机です。


さあ、今日はどう過ごしましょうか。
曇り時々小雨模様… 
濡れるのを覚悟してマラソンに出かけようかな 


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十年の後

2008-11-15 22:34:19 | 




私の心が、あなたとの仕合せを、何故願わないことがあるかしら。
私は、それを、あんな昔から、あんなにちっちゃな女の子だった時から、
ずっと願っていたのだもの。
でも、私がそれを、あまりに願ったから……、
許される範囲を越えてまで願ったから……。
ねえ、あなたの腕の中で眠る仕合せ---、私にとってそれが、どんなに仕合せなことか、
あなたには判らない---。
でも、たとえどんなにそれが仕合せでも---、
その中ですべてを忘れ、これでいい、これでいいって呟きながら、
そのまま永遠に眠ってしまいたいほど仕合せでも、
たとえそうでも、でも、もし、それが、
世間から隠れなくてはならない仕合せだとしたら---、
もし、この間の晩のように、
世界中誰一人、私がそこにいることを知らないような仕合せだとしたら---、
もし、私が、そこにいることが、
世界中の誰にも知られてはならないような仕合せだとしたら---、
そうした仕合せの中で、一生、生きていくことは、人間にはできない……



『贈る言葉』の中に収められた『十年の後』という柴田翔の小説で、主人公に対し学生時代の恋人が告げた言葉です。
三十歳を過ぎて結婚を目前に控えた彼は、依然として己の青春の生への未練を捨てきれずにいる。

過ぎ去った青春時代への想い、そこでやり残こしたこと。
過去へ戻っていこうとしても、結局は、それぞれの生き方で今を生きていくしか仕方がない。
もはや過去へ戻ることはできない…。

学生時代の恋人ですでに人妻で子供もいる女性への愛情の〝うずき〟という姿を描くことでそんな荒廃の相を著わそうとした小説です。


今は流行らないけれど青春というものが純粋で無垢だった頃が確かにありました。
そしてそれゆえに人が一挙に荒廃へとすべりおちていった時代が……。



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田舎から食料がたくさん届きました

2008-11-15 10:07:07 | 




ピンポ~ン♪  ピンポ~ン♪

朝っぱらから誰かと思いきや宅配屋さん。
田舎からたくさん荷物が届きました。
〝食料〟です。
秋は野菜等の収穫の時。実家でもいっぱい取れます。
さっそく母親が送ってくれたんでしょう。




まずは柿です。実家の畑に植えてある柿木からとったんでしょう。
そして大根です。葉っぱはとってあります。これが大根なんですよ。
お店で売っているスマートなもんではありません。これが自然体です。




さらに青梗菜。最近はこんなのも畑で作ってんだなぁ…
そういやあ南国でしかできないかと思っていたゴーヤさえ栽培していると聞きました。。。
次の赤トウガラシ。こんな送られてもどうしたものやら…






その他にも、〝長いも〟〝小豆〟〝里芋〟も入っていました。
小豆の豆そのものはアンコを作れというのだろうか…

他にもさんまのみりん干し(母の手作り)とお米(ひとめぼれ)がありました。
大箱二つ分です。

そう、もち米も入っていた。
僕はおもちが大好きです。子供のころからお雑煮が大好き。
これも自分で作れということだろうか…

何しろこれで「この冬は越せる」というべきか。


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うつろ、うつろ、うつろ に ・・・うろつく 。

2008-11-14 22:20:06 | 



ぼんやりと駅のホームから駅前の風景を眺めている。
もうこの景色は何年見てきたろうか…

いろんな思いを抱き、眺めてきたこの風景。
今日の僕は、どんな気持ちで見ていたのだろうか。


最寄りの駅で降り、商店街をふらふら歩く。


この1年もそろそろ終わりの準備を始めている。
街の空気が、心なしか淋しげだ。

これから年末にかけて、クリスマスやハッピーニューイヤーで賑わいを増すはずなのに、
そんな上辺とは裏腹に、心の中の虚ろさは逆に膨らんでいくようである。
毎年のことであるから別にもう気にもならないけれど、
11月から12月とは、そんな季節だ。





「はいから家」というお店です。
おつまみは全部〝百円〟です。
見てください。
ソースころっけ、すいとん、麦飯、コロッケパン、パンの耳揚、、、
なにかとってもレトロです。
前に一度だけ行きました。
時代がかった映画ポスターや看板や駄菓子屋の店先のような作りに、
タイムスリップしたような感じを受けました。

ただし、お味はかなり〝チープ〟です。
仕方ないですね…





「学芸食堂」ここはお勧めです。
美味しいです。こじんまりとしたよいお店です。


やや肌寒い中を、こんなお店を眺めては歩き、また油を売りして、
ふらふらと歩いてきました。

明日は遅くまで朝寝坊をしようと心に決めています。


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〝痛飲〟矢の如く・・・

2008-11-13 22:22:54 | 



ブログを更新できない日の原因の大半は〝痛飲〟のためです。
胃が痛くなるほどお酒を飲み過ぎて、帰りも当然、午前様。

〝痛飲〟矢のごとく、胃や体を襲う。

お酒を飲んでいる時間は、まさに「光陰矢のごとし」です。
あっという間にこんな時間…
また、こんなお酒をしていると、無為なまま時間をいたずらに消費します。

二つの意味で「光陰矢のごとし」。さらに「痛飲矢のごとし」。


今日もまたあるパーティーに二日酔いも抜けきれぬまま参加してきました。
こんな生活をしていたら絶対に体を壊しますね。

あと1日行けば土日です。
この土日はゆっくり休肝日と致しましょう。
先週はトレーニングもやれなかったし、なまった体を鍛えよう。
少なくとも明日はアルコールを控えよう。


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1万2千円の給付金で何を買おうかな…

2008-11-11 22:43:41 | 
 
 


〝生活支援定額給付金〟が出る見込みとなりました。
目的はその名の通り「生活支援」なのでしょう。

総額2兆円  

金額は1人当たり1万2000円で、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者には8000円を加算するということです。

そうすると夫婦で子供2人、お爺ちゃんお婆ちゃんがいるご家庭では、

    1.2万円×2人+2.0万円×4人=10.4万円 
 

こりゃあなかなか凄い。

僕だって1万2000円もらえるんですね。
何を買おうか… DSライトでも買いましょうかね。

それとも何か美味しい料理でも食べましょうか。
大したことができる金額ではありませんが、何しろ「消費」しましょう。
貯金などしてしまったら、せっかくの政府の〝好意〟を無にしてしまうでしょうから。


政府与党は、所得制限は設けないが高額所得者には受け取りを辞退するよう促すらしいです。
「高額所得」の目安は年収1800万円以上… 


まあ、そんなお金持ちはわざわざ1万2000円のために、
お役所に列をなすなんてことはしないでしょうから心配いらないと思います。
それにしても何か〝せこい〟ですよね…
どうせなら全員に郵便とかで「購買チケット」でも配ればいいのに。

だって本音は景気対策。消費を促して経済を活性化することにあるのでしょう?
生活支援と言われてもねぇ…
財源は「埋蔵金」という政府の隠し財産ですし、
こんな時のために秘蔵していたのでしょうから、今こそ一斉放出してほしいものです。

 とにかく1万2000円、有効に使いましょう

 来年かな、支給されるのって… 小さな小さなお楽しみですね 


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この「色男」に魅せられた日々・・・

2008-11-10 22:41:39 | 




   「 もし我々が空想家のようだと言われるならば、
     救い難い理想主義者と言われるならば、
     出来もしないことを考えていると言われるならば、
     何千回でも答えよう、 “ その通りだ! ”と  」



こんな粋な台詞をさらりといいのけ、様になるのはこの男しかいない。
そう、「チェ・ゲバラ」… こいつに魅せられた、そんな時代もありました。





この顔は街角でもよく見かけます。
彼の顔をデザインしたTシャツ姿の若者。渋谷や新宿、六本木でさえ。
なんたって格好いいもの。

けれど、この〝チェ〟がどんな人かを知る人はほとんどいないでしょうね。






19歳の時にブエノスアイレス大の医学部に入り、
25歳で博士号(医学博士)をとった彼は在学中に約1年間、
ラテンアメリカ全土をオンボロのバイクで放浪し、
南米社会の極端な貧富の差に社会の矛盾を感じどう生きるべきか思い悩んだ…。



こんな若い頃のことを思い出していました。
今の時代に、お金や権威やエゴイズムや、そんなちっぽけなものを除いて、
大義や情熱のみで、自分の生を全うできる人間が、果してどれだけいるのだろうか。

なにかあの頃の自分の〝正義〟や〝思い〟が、ふと懐かしくなりました。


“チェ”(『よっ、大将』)、君は今のこの時代をどう思っているのだろう…


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「伊豆の踊り子」を思いながら天城峠を超えました。

2008-11-09 20:47:55 | 




南伊豆から望む太平洋は、地平線の果てまで見え、雄大でした。
伊豆下田には、幕末にペリーの黒船がやってきて日本に開港を迫ったんでしたね。
そんな歴史のワンシーンがぼんやりと目に浮かぶようでした。

露天風呂は、壮観な太平洋を一望でき、都合3回も世話になりました。
舐めると塩っ辛く、塩分が強い泉質でした。


険しい伊豆の山々を右に左にカーブを切り大型バスが行きます。
海岸から高度はどんどん高くなり天城峠まで、長い時間が続きました。
ペリーの御一行様は、徒歩でこの山を越えて江戸まで行ったんですよね。


また、伊豆と言えば川端康成の「伊豆の踊り子」です。
学生さんが踊り子たちと偶然に短い旅を共にする。青春の淡い感慨を秘めつつ。
当時はそんな旅人や商売人もまたこの山を行き来したんでしょう。
車やバスなんてない時代、自分の足を頼りに、何週間もかけ旅をした。
大変だなあと思う反面、そんな時間の使い方が、うらやましくも思えました。


こんなことを帰りのバスの中で思いながら、ようやく色づき紅葉が始まりつつある山々の風景を、見るともなく眺めていました。




しばらく低い声が続いてから踊り子のいうのが聞こえた。「いい人ね。」「それはそう、いい人らしい」「ほんとうにいい人ね。いい人はいいね。」この物言いは単純で開けっ放しな響きをもっていた。・・・私自身も自分をいい人だと素直に感じることができた。晴れ晴れと目を上げて明るい山々を眺めた。まぶたの裏がかすかに痛んだ。


有名な「伊豆の踊り子」の一節です。


明日からまたいつもの1週間が始まります。

英気を養えたであろうか…


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旅行のため2日ばかり留守します。

2008-11-08 00:22:01 | 



さっき帰ってきたら筑紫哲也さんが亡くなったとのこと…

鳥越俊太郎さんも癌と闘病。田原総一郎さんも心なしか元気なく。

筑紫さんは好きなジャーナリストの一人でした。

心より追悼の意を表したいと思います。


 ===================================


明日は西伊豆に一泊旅行です。

こんな温泉に行ってきます。
 ↓  ↓  ↓

 伊豆稲取銀水荘


さてさてどんな珍道中になることやら。


主旨が主旨だからそんなのんびりは許されないでしょう…

酔い潰れ酩酊しないように気をつけます。


それでは短いお別れです。。。。


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高さ100メートルのクリスマスツリー!!

2008-11-06 22:20:06 | 
  


会社のすぐ近くに高さ100メートルの巨大なクリスマスツリーがお目見えしました

グランドプリンスホテル赤坂に、窓の明かりと窓枠に取り付けられたライトで描かれたゴージャスなクリスマスツリーです。
夜空に浮かび上がった光のツリーは、それはそれは壮観ですね。


そのうち目の前の東京タワーもライトアップでクリスマスモードに入ります。
今年も東京中がクリスマス一色になるのでしょう。

雪でも降ってくれたら最高なんですが、温暖化の影響でこの時期、めったに雪は降らないんですよね…


実はこのツリー直に見たわけではないので近いうちに見学に行こう。
歩いてどれくらいだろう。10分も歩けば見えるかなあ…



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花屋の店先に巨大サンタクロース

2008-11-05 21:25:07 | 



帰宅途中の花屋さんの店先に大きなサンタクロースが登場しました。
そしてそのまわりにもクリスマスグッズが、所狭しと飾られており、
思わず見とれてまいました。
                         

携帯で思わずパチリ! 


クリスマスローズ、ヒイラギ、ポインセチアなどクリスマスの花もいっぱい。


ヒイラギは漢字では「柊」と書きます。
冬に白い花を咲かせます。それで「冬」と「木」を組み合わせたのでしょうか。
かぐわしい芳香にうっとりしますね。

クリスマスには実の付いた枝先が飾りによく使われています。
その赤い実がキリストが十字架にかけられた時流れた血の色に、
棘のある葉がキリストにかぶせられたいばらの冠に似ているからでしょう。





でもやっぱりクリスマスの花と言えばポインセチアですよね。
花に見える赤い部分は実は苞葉で花は中の黄色い部分です。
意外にもメキシコ産で寒さに弱い花だそうです。



またクリスマスがやってくるんですねぇ…

昨年こんなことをブログに書いたっけ。

 「ハッピークリスマス2」 


遠くてほのかな思い出です。


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心に響く場所

2008-11-03 12:06:18 | 
心に響く場所


今に生きる心の空間。

霊場恐山、賽の河原。この世とあの世の境界。
なき人の魂に出あえる場所として今も信仰されている。
青森県の下北半島。白砂が極楽、荒涼とした岩地が地獄だという。

恐山の何が宇梶さんを、暴走族だった彼を救ったのか。
落ちていく自分、世の中から遠ざかる自分。
新しい自分に生まれ変わるための出会いの地。
参拝者たちにより積み上げられた石。人間の生きていくための願い。
その願いに包まれて彼はほっとしたという。
積まれた石の向こうには白砂の湖畔。
自分のちっぽけさに気づかされ、他人と闘わず自分と闘い生きる道を選んだ。



日本三景、丹後半島の天橋立。
3500年の歳月をかけて自然が作った形状。
この世とあの世をつなぐ橋と言われています。
その近くのとある和風旅館。落語家、桂福団時さんの安らぎの場所。
長い長い人生の中でほっとさせてくれる場所。
8歳の自分の息子が白血病にかかり短い人生を終えた。
天へつながる架け橋。現実を受け入れられず酒で辛さを紛らわしていた自分。
行ってみたいなあと思った。
文殊菩薩と暴れ狂う竜。
天橋立は菩薩にいさめられた竜が姿を変えたとの伝説がある。
彼は毎年お盆にここへきて息子の供養に灯篭を海に流す。息子に会える場所となった。



山形県北部最上地方の山々。深い森が連なる樹齢数千年の巨樹がある。
仙台ばかりか大都市圏からも人が訪れる。参加者はその神秘性に魅了される。
巨樹ツアーのガイドを務める白倉さん。地元の方である。
彼の人生観を変えた1本の巨樹があるという。
働き盛りの弟を若くして亡くした。
山の道なき道を歩いて1本の巨樹に巡り合った。
幹周り15メートル、高さ30メートル、樹齢数千年の赤杉。
途中からぶっきらぼうに3つに分かれた枝は自然の風雨やあらゆる試練に耐えてきた。
その凄さと迫力に圧倒される。
いつの間にか千年を超えてなお逞しく生きる老木に励まされていた。



東京の真ん中にそびえたつランドマーク、東京タワー。
今年電波塔として50年目を迎える。ここも何十万人、何百万人の人が訪れ人を励ましてきた。
妊娠3カ月目のある女性が出血し流産の危険があり入院を余儀なくされた。
苦しいその時を病室から臨む東京タワーが支えてくれた。
激しいお中の痛みと子を失うかもしれない不安。投薬と検査の日々。先行きも見えない。
見舞いに来た夫や兄弟が帰った後、夜の闇の中東京タワーの明るい光を見ていた。
思い出すのは家族のこと。東京タワーのエレベーターが上り下りする姿。
元気な子供が産まれたら絶対にエレベーターに乗ろう。
二男はその後無事に出産できた。今はその息子らと折にふれ東京タワーに行く。



場所というものを大事にしよう。自分が孤独になれる場所。
自分に問い向き合える場所。もう一度頑張ろうと勇気づけてくれる場所。
人間は場所とともに生きている。それなしに生きることは実はできないのかもしれない。
僕の生きるために必要な場所。苦しい時にお世話になる場所。
確かにあります。



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