ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

心に響く場所

2008-11-03 12:06:18 | 
心に響く場所


今に生きる心の空間。

霊場恐山、賽の河原。この世とあの世の境界。
なき人の魂に出あえる場所として今も信仰されている。
青森県の下北半島。白砂が極楽、荒涼とした岩地が地獄だという。

恐山の何が宇梶さんを、暴走族だった彼を救ったのか。
落ちていく自分、世の中から遠ざかる自分。
新しい自分に生まれ変わるための出会いの地。
参拝者たちにより積み上げられた石。人間の生きていくための願い。
その願いに包まれて彼はほっとしたという。
積まれた石の向こうには白砂の湖畔。
自分のちっぽけさに気づかされ、他人と闘わず自分と闘い生きる道を選んだ。



日本三景、丹後半島の天橋立。
3500年の歳月をかけて自然が作った形状。
この世とあの世をつなぐ橋と言われています。
その近くのとある和風旅館。落語家、桂福団時さんの安らぎの場所。
長い長い人生の中でほっとさせてくれる場所。
8歳の自分の息子が白血病にかかり短い人生を終えた。
天へつながる架け橋。現実を受け入れられず酒で辛さを紛らわしていた自分。
行ってみたいなあと思った。
文殊菩薩と暴れ狂う竜。
天橋立は菩薩にいさめられた竜が姿を変えたとの伝説がある。
彼は毎年お盆にここへきて息子の供養に灯篭を海に流す。息子に会える場所となった。



山形県北部最上地方の山々。深い森が連なる樹齢数千年の巨樹がある。
仙台ばかりか大都市圏からも人が訪れる。参加者はその神秘性に魅了される。
巨樹ツアーのガイドを務める白倉さん。地元の方である。
彼の人生観を変えた1本の巨樹があるという。
働き盛りの弟を若くして亡くした。
山の道なき道を歩いて1本の巨樹に巡り合った。
幹周り15メートル、高さ30メートル、樹齢数千年の赤杉。
途中からぶっきらぼうに3つに分かれた枝は自然の風雨やあらゆる試練に耐えてきた。
その凄さと迫力に圧倒される。
いつの間にか千年を超えてなお逞しく生きる老木に励まされていた。



東京の真ん中にそびえたつランドマーク、東京タワー。
今年電波塔として50年目を迎える。ここも何十万人、何百万人の人が訪れ人を励ましてきた。
妊娠3カ月目のある女性が出血し流産の危険があり入院を余儀なくされた。
苦しいその時を病室から臨む東京タワーが支えてくれた。
激しいお中の痛みと子を失うかもしれない不安。投薬と検査の日々。先行きも見えない。
見舞いに来た夫や兄弟が帰った後、夜の闇の中東京タワーの明るい光を見ていた。
思い出すのは家族のこと。東京タワーのエレベーターが上り下りする姿。
元気な子供が産まれたら絶対にエレベーターに乗ろう。
二男はその後無事に出産できた。今はその息子らと折にふれ東京タワーに行く。



場所というものを大事にしよう。自分が孤独になれる場所。
自分に問い向き合える場所。もう一度頑張ろうと勇気づけてくれる場所。
人間は場所とともに生きている。それなしに生きることは実はできないのかもしれない。
僕の生きるために必要な場所。苦しい時にお世話になる場所。
確かにあります。



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