ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

「伊豆の踊り子」を思いながら天城峠を超えました。

2008-11-09 20:47:55 | 




南伊豆から望む太平洋は、地平線の果てまで見え、雄大でした。
伊豆下田には、幕末にペリーの黒船がやってきて日本に開港を迫ったんでしたね。
そんな歴史のワンシーンがぼんやりと目に浮かぶようでした。

露天風呂は、壮観な太平洋を一望でき、都合3回も世話になりました。
舐めると塩っ辛く、塩分が強い泉質でした。


険しい伊豆の山々を右に左にカーブを切り大型バスが行きます。
海岸から高度はどんどん高くなり天城峠まで、長い時間が続きました。
ペリーの御一行様は、徒歩でこの山を越えて江戸まで行ったんですよね。


また、伊豆と言えば川端康成の「伊豆の踊り子」です。
学生さんが踊り子たちと偶然に短い旅を共にする。青春の淡い感慨を秘めつつ。
当時はそんな旅人や商売人もまたこの山を行き来したんでしょう。
車やバスなんてない時代、自分の足を頼りに、何週間もかけ旅をした。
大変だなあと思う反面、そんな時間の使い方が、うらやましくも思えました。


こんなことを帰りのバスの中で思いながら、ようやく色づき紅葉が始まりつつある山々の風景を、見るともなく眺めていました。




しばらく低い声が続いてから踊り子のいうのが聞こえた。「いい人ね。」「それはそう、いい人らしい」「ほんとうにいい人ね。いい人はいいね。」この物言いは単純で開けっ放しな響きをもっていた。・・・私自身も自分をいい人だと素直に感じることができた。晴れ晴れと目を上げて明るい山々を眺めた。まぶたの裏がかすかに痛んだ。


有名な「伊豆の踊り子」の一節です。


明日からまたいつもの1週間が始まります。

英気を養えたであろうか…


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