スパニッシュ・オデッセイ

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テニスのモンフィス(Monfils)選手

2018-09-09 16:12:50 | 名前
 スペイン語の“hijo”(イホ)はフランス語では“fils”(フィス)になる。これに「私の」を意味する mon をつけると、“mon fils”だが、先日、テニスの試合を見ていたら、Monfils(モンフィス)という選手がプレーしていた。ウィキペディア「ガエル・モンフィス」によると、フルネームは「ガエル・セバスティアン・モンフィス」(Gaël Sébastien Monfils)という。
 
 【ウィキペディア「ガエル・モンフィス」より】
 「私の息子」とは珍しい姓である。“Forebears”を見てみると、絶対数1位は米国、人口比ではベルギーが最多である。やはり、フランス語圏を中心に存在している。
 スペイン語では“Mihijo”(← mi hijo)だが、“Forebears”に当たってみたら、なんと世界にただ1人しかいない。それもスペインではなく、インドである。そうすると、インドの Mihijo さんはスペイン語ではなさそうなので、「ミヒージョ」とでも読むのだろうか。
 それでは、英語形 Myson さんはいるのだろうか。“Forebears”によると、確かに存在している。絶対数1位はイギリスではなく、マラウィである。2位にイングランドがつけている。人口比ではマン島が1位である。マン島はイギリスではないが、イギリスとは密接な関係にある。詳しくはウィキペディア「マン島」をご覧いただきたい。
 マラウィは確かに旧イギリス植民地だが、マラウィの Myson さんは「私の息子」さんなのかどうか、ちょっとわからない。“Forebears”には Myson の意味は「リストに載っていない」となっているが、my son が語源なのではなかろうか。
  今度は「私の」を取って、単に「息子」で調べてみる。まず、スペイン語から。Hijo さんはいらっしゃった。“Forebears”によると、絶対数1位はドミニカ共和国。それでも85人だけ。スペイン本国は51人。人口比1位はプエルトリコである。やはり、スペイン語圏が中心である。ただし、“Historia Apellidos”によると、Hijo ではなく、Hijos という複数形だった。
 フランス語の Fils さんはどうだろうか。やはり、いる。“Forebears”によると、絶対数でも人口比でもハイチが1位である。フランス語圏が中心だが、ドミニカ共和国にも300人いる。ドミニカ共和国はスペイン語圏なのに、フランス語形の Fils さんの方がスペイン語形の Hijo さんより多い。ハイチとドミニカ共和国は地続きなので、Fils さんはドミニカに移ってきたということだろうか。
 それでは Son さんはどうであろうか。“Forebears”によると、絶対数でも人口比でも1位は韓国である。これは英語の「息子」ではなく「孫」さんのことだろう。韓国では Son は「息子」ではなく、「孫」なのである。
 イングランドには282人いるが、Son が「息子」なのか、それとも韓国人の「孫」なのか、内訳は不明である。
  
 いろいろ、見てきたが、ヨーロッパの「私の息子」は旧約聖書『創世記』22章1節から19節にかけて記述されているアブラハムの逸話に由来する、宗教的な姓なのであろうか(ウィキペディア「イサクの燔祭」参照)。

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