スパニッシュ・オデッセイ

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ライオンさん

2013-02-08 10:55:19 | 名前
 動物名の姓については一度取り上げた。
 英語圏では“Fox”、“Wolf”があげられる。「子羊」の“Lamb”さんもいれば、「ライオン」を意味する“Lyon”という姓もある。このほかの動物、たとえば、身近な動物である「犬」さんや「猫」さんは聞いたことがない。
 一方、スペイン語圏では、“Lobo”(オオカミ)さんは一般的である。「子羊」の“Cordero”さんもありふれている。「ライオン」の“León”さんも珍しくない。「メス豚」をも意味する“Cerda(s)”さんも珍名というわけではない。“Vaca”(牝牛)さんも珍名というわけではない。「怪傑ゾロ」で有名な“Zorro”やその女性形“Zorra”(女狐)さんもいるらしい。コスタリカでは聞いたこともない“Gato”さんもスペイン人名事典には載っていた。しかしながら、「犬」さんは聞いたことがない。「馬」さんは中国では普通だが、“Horse”さんや“Caballo”さんはいるのだろうか。筆者はこれまで聞いたことはないのだが。身近な動物でもさげすまれている動物は姓にはなりにくいのだろう。
 以上の動物は大体、ヨーロッパでは身近な動物である。ヨーロッパには生息しない動物は、ヨーロッパ人の姓にはまずならないと思われる。たとえば、トラや象やキリンを表す姓はこれまで聞いたことがないが、いるのだろうか。
 ここで問題になるのが「ライオン」である。ライオンは今ではヨーロッパには生息していないが、昔は、ヨーロッパ全域にいたらしい。ヘロドトスの「歴史」にもライオンの生息地域の記述が出てくる(ヘロドトス、松平千秋訳『歴史(下)』、岩波文庫、2010、p. 91)。ただし、ギリシャの一部の地域に限定されているが。アリストテレスやプリニウスの証言もあるので、ヨーロッパにライオンがいたことは確かだろう。ただ、紀元前後にはヨーロッパのライオンは絶滅したとのことである。
 今では身近ではないが、かつては身近な動物だったので、「ライオン」というニックネームを持つ人物がいても全然不思議ではない。それが姓になって残っているわけである。


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