欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

『弘前城動く!! 日本の伝統技術(曳屋)の凄い技術を見よ!』

2015年12月13日 09時24分00秒 | 建築のうんちく




『宮崎駿の動く城とか言うアニメがあったが、現実に…』



皆様は、『弘前城』に行かれた事がありますか?

桜の時期に行くと、桜の本数が多いのに圧倒されます!



この弘前城、創建当初の姿を今にとどめる、非常に貴重なお城です。

掘りの石垣は、江戸城や大阪城に比べると、低くてしょぼいですが、掘りの規模だけを見ると、

江戸城や大阪城にも負けません。



弘前城は、津軽氏の居城で、創建してから、薩長に騙されて、城を出る迄、一度も戦をしないできました。

『逆に言えば、誰も攻め込めない強固な城なのです!』



…たった、10万石の田舎侍には、大き過ぎる城なのです!



…ところが、

天守は、てっぺんまで、たったの14メートルしかありません。現代の3回建て住宅位の高さしかないのです!



…なぜ、弘前城はこんなにかわいいのでしょうか?

『そもそも、今の天守は、最初の天守ではないからです!』



創建当初の『天守』は、現在の天守から、少し離れた場所にありました。

『ところが、落雷で、城の中の弾薬に引火し、爆発して破壊されたのです。』



そこで、津軽氏は、天守を建て直したかったのですが、当時、『一国一城令』と言う法律があり、天守の新築はできませんでした。



…それでも、津軽氏は、城のシンボルの天守が欲しいので、掘りの一角を守る『櫓』を改築して天守にしました。



その弘前城が…

『石垣ごと崩壊してしまう危機に直面したのです!』

石垣の大きな岩が、一つだけ、ポコンと飛び出し、今にも崩れそうな状態なのです。



その石垣を修理する為には、石垣の上にのっている『天守』を別の場所に移動し、石垣を修理しなければいけません!



…そこで、登場するのが、日本伝統の建築技術『曳屋』です。

『これは、建物を基礎から引き離し、建物だけ別の場所に移動する技術です!』



今、弘前城は、既に移動して、元の基礎の上にはありません。

『こんな、動く城を見られるのは、今だけですから、是非、弘前城を見に行きましょう。』


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする