馬場あき子の旅の歌1(2007年10月実施)
【オーロラ号】『九花』(2003年刊)138頁
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、Y・S、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:K・I
まとめ:鹿取未放
7 神を讃ふるうたの静かな暗い渕に金色(こんじき)こまやかな裸形をりたり
(まとめ)
6首目と同じ場面であろう。賛美歌が静かに流れている、その暗い渕に金色に描かれた裸形のキリストがいる、というのであろう。
「暗い渕」は、歌の内容としてのそれでもあり、教会の建物の中の位置関係をあらわすのでもあろう。ロシア正教では像は安置されず壁などにイコンとして描かれるので、賛美歌の歌われている堂の中央に対して、周囲にある薄暗い壁などを指すのだろう。あるいは、凡愚の人智では至るのが難しい教義の深淵であるのかもしれない。金色はその深淵を象徴的にあらわしている色なのかもしれないし、こまやかなのはその造形や彩色の丁寧さをあらわしているのだろう。裸形は幼児のキリストではなく、奥深い精神性をたたえた磔刑のキリストだろう。
「あり」ではなく「をり」といったところに生きてこころが動いている人格(神格)を感じる。6首目の聖母と同じようにやはり人々を見ているのであろう。七・七・六・九・七と一・三・四句目を字余りにして、流れを滞らせているようだ。(鹿取)
(レポート)
実景なのでしょうか心象なのかこれはよくわかりません。(K・I)