馬場あき子の旅の歌1(2007年10月実施)
【オーロラ号】『九花』(2003年刊)138頁
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、Y・S、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:K・I
まとめ:鹿取未放
6 金いろの玉葱形の屋根の下聖母眼を伏せてしづけきロシア
(まとめ)
金いろの玉葱形のドームを持つ教会はロシアのいたるところにある。だからこの場を特定する必要もないのであろうが、その厳しく静謐なイメージから、6首目、7首目はヤロスラブリにある聖母女子修道院を詠ったもののように思われる。
しかし、下の句の「聖母眼を伏せてしづけきロシア」で、作者は何をいいたかったのであろう。なぜ聖母は眼を伏せているのだろうか。宗教が禁じられたソ連時代のことを思っているのだろうか。(一説には、ボルシェビキは全国5万以上の教会を閉鎖あるいは破壊したそうである。)迫害された民衆の苦悩だろうか。現代の利潤追求にあけくれ、宗教が民衆のこころから忘れ去られていくことをであろうか。また、なぜロシアはしづかなのだろうか。戦争がないからか。政争がないからか。一党独裁で民衆のさまざまな考えが抑えられているからか。「て」を入れなければ7音の定形に収まるところをわざわざ「て」を入れているのはここでたゆたいを出し、立ち止まって読者に何かを考えてほいしからであろう。(鹿取)
(レポート)
ロシア正教会の特色ある伽藍形式でしょうか(K・I)