馬場あき子の旅の歌32(2010年10月実施)
【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)191頁
参加者: N・I、Y・I、T・S、曽我亮子、鹿取未放
レポーター: N・I
司会とまとめ:鹿取 未放
245 ツービートに体ゆすりて見てあればめいめいざらりとゴビに陽は没(い)る
(まとめ)
沙漠の日没は壮大な大パノラマで、現代の旅の景物の一つであろう。日没を待つ間、乗ってきた車からはツービートの曲が響いていたのだろうか。それとも日没のダイナミックな様子をツービートと感じたのだろうか。
「めいめいざらり」は室町の小唄調の囃子ことばで、京都の時代祭には「室町洛中風俗列」の風流踊りでこの囃子ことばがこんなふうに歌われるそうだ。
あー あのひをごらうぜ いーさーんやーれさんやーれ
やまのはにかかった いーさーんやーれさんやーれ
めいめいざらりのさんやーれ いーさーんやーれさんやーれ
とすると、「めいめいざらり」と没する夕陽はざらざらした砂のような語感をいうのではなく、華やかで熱狂的なものなのだろうか。ツービートを背景に沙漠に没する壮大な夕日を眺めている愉快な気分が「めいめいざらり」を呼び起こしたのだろうか。本歌集『飛天の道』から6年後の歌集『ゆふがほの家』に「めいめいざらり」の章があり、「秋の陽はめいめいざらり庭ざくろ実りて揺れて笑ふほかなし」の歌が載っている。(鹿取)
(レポート)
沙漠の入り日はそれは壮大なものであろうと期待に体も自然と踊る。明明として表しようのない感じで日は沈んでいった。ざらりがとらえどころのない様として出ていると想います。(N・I)