かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 231

2015年07月11日 | 短歌一首鑑賞

 渡辺松男研究28(15年6月)【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)99頁
     参加者:石井彩子、泉真帆、M・K、崎尾廣子、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:曽我 亮子
      司会と記録:鹿取 未放

231 けやき巨樹はずかしげなき図体の全裸は春の朝焼けのなか
  
          (レポート)
 欅の大木は恥ずかしげもなく芽立ちもまだの素っ裸の身で春の美しい朝焼けの中によくも立っているものだ。
 春の朝焼けの美しさを汚してはいけないよと欅をたしなめているようだ―作者の親心を思います…(曽我)


         (当日意見)
★欅を全裸の女性とみたのでしょうか、そういう視点をすごいと思います。(M・S)
★男性であれ女性であれ、春の朝焼けの中に全裸でいる姿を欅に託して詠われたのだと思い
 ます。(慧子)
★言葉選びが素晴らしいなと思いました。「はずかしげなき」とつけたことでとても恥ずかし
 い場面のような、でも堂々としているような感触的なものが出てきている。(真帆)
★同感です。「図体」もいいですよね、欅の巨樹だから図体が出てきているんだけど、活きて
 いる。朝焼けに自分の全裸を立たせて(まあ女性のかもしれないけど)、恥ずかしいんだけ
 ど結局これ肉体、命、生の讃歌ですよね。(鹿取)
★これは前の方の歌と関係づけなくても、欅の自然描写としてよいと思います。(鈴木)