かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 228

2015年07月08日 | 短歌一首鑑賞

  渡辺松男研究28(15年6月)【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)98頁
    参加者:石井彩子、泉真帆、M・K、崎尾廣子、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:曽我 亮子
      司会と記録:鹿取 未放

228 恋人の御腹(おなか)の上にいるような春やわらかき野のどまんなか  

          (レポート)
 恋人のおなかの上にのっかっているような心地よくほんわかとした春のたけなわである。
 春の形容に恋人のおなかまで登場させるとは凡人にはとても思いつかない発送ですね。(曽我)

         (当日意見)
★恋真っ最中の人ならこういう発想ができるのかな。私などの歳になればとてもですが。
     (M・S)
★春ののどけさ、心地よさを表現するのにこういう環境をもってきて非凡な方だなと思いま
 す。(崎尾)
★自然との一体感を渡辺さんの場合はこういう形で表現している。うまいなという感じがあ
 る。他の人はこういう詠み方しないですね。今恋人がいるからとかではなくて、自然との
 関係でこういうイメージを出してきている。(鈴木)
★この歌は大好きです。安堵感というか心も体も繋がりあっている幸せな気分が、春の暖か
 い野のど真ん中にいる気分と自然につながっています。男性の安堵感って、こういう感じ
 かなあって。詠み方もやわらかくまあるく、いい感じです。(鹿取)
★うららかな春の気分を詠っていらっしゃるのですね。(曽我)