かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 230

2015年07月10日 | 短歌一首鑑賞
 渡辺松男研究28(15年6月)【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)98頁
   参加者:石井彩子、泉真帆、M・K、崎尾廣子、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:曽我 亮子
      司会と記録:鹿取 未放

230 重力は曲線となりゆうらりと君の乳房をつたわりゆけり
  
          (レポート)
 愛する力は曲線を描きながらゆったりと君の乳房を舐めるように伝い流れていった。 
 美しい歌だと思う。(曽我)


         (当日意見)
★力って何でしょう?例えば汗なら重力で落ちてきますけれど。(石井)
★重力というと太い強い力を感じてしまいます。それを柔らかい線でもって重力が伝わっ
 ていくって、重力のもう一つの面がよく出ていると思います。(崎尾)
★一首目から続いているので、曽我さんがいうような……そういう歌です。(真帆)
★うーん、人間の手とか舌とかだったら重力ではなく人為的な行為なので……(鹿取)
★曽我さんが書いた「愛の力」、ごまかしているけど、そういうことだと思う。曽我さん
 のすばらしい表現です。女性の体が自分で揺れる場合があるじゃないですか、上田三四
 二の歌にそういうのがあったかな。でも、これ男性の手ですよ。その手の動きが重力と
 なって女性の体に伝わっていったという。(鈴木)
★男性の手と考えなくても、重力だから自然界に備わっているもので、女性の体からまた
 どこかへ行くような気がして、そこがいいなと思いました。(慧子)
★手だとありふれている。もっと情熱的な何かだと思いました。(石井)