脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

異性化糖の問題点

2012年05月30日 | 食品

異性化糖という糖分があります。食品表示では、「ぶどう糖果糖液糖」という名でよく目にします。

 

朝日新聞2011年10月1日 「食品表示の「異性化糖」って何? 日本でできたお得な甘み」から趣旨を抜き書きしました。

・物を作っている材料の種類や数は同じでも、つなぎ方を変えたら別な物に変わる。

・果糖は果物やハチミツの成分。糖の中で最も甘みが強く、砂糖の2~5割増し。

・ぶどう糖は、材料の種類(炭素、水素、酸素)も数も果糖と同じだが、甘みが砂糖の7割。

・ぶどう糖からつなぎ方を変えて果糖にする。

・まずぶどう糖をつくり、その一部を果糖に変えて甘みを強める。

・ぶどう糖と果糖の比率により「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」などがある。

・ガムシロップの成分は異性化糖と水。

・温度が40度以上なら砂糖、それ以下だと果糖の方が甘い。だからコーヒーのホットは砂糖、アイスはガムシロップを使う。

・異性化で果糖の比率を55%まで高めれば、砂糖なみの甘さになる。

・砂糖は異性化糖より3割高価。

・果糖も異性化糖からつくるので異性化糖より高価。

つまり異性化糖が一番安い。

・異性化糖はトウモロコシやイモから安く豊富にできるでんぷんから作る。

・1965年に日本が細菌の酵素を利用して、世界で初めて異性化糖の大量生産に成功した。

・業界団体は日本スターチ・糖化工業会

 

独禁法違反発覚

朝日新聞2012年1月31日 甘味料カルテルか 公取委加工10社立ち入り

清涼飲料水などに甘味料として幅広く使われる糖化製品の販売を巡り食品加工会社が価格カルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は31日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで加工会社10社に立ち入り検査した。うち9社が加盟する業界団体も立ち入り対象となった。

バイオ燃料で原料高騰

背景には、原材料となるトウモロコシが、穀物などから作る燃料のバイオエタノールの普及で世界的に価格が高騰したことがあり、各社は納入価格に転嫁しようとしたとみられる。関係者によると、立ち入り検査を受けているのは、東証一部上場の昭和産業(東京)と群栄化学工業(群馬)のほか、日本食品化工(東京)、日本コーンスターチ(同)、加藤化学(愛知)などの本社や関係先三十数カ所。

カルテルの対象となったのは、主にトウモロコシのでんぷんであるコーンスターチを使って製造される「異性化糖」という液状の糖。コーラや乳飲料、アイス、菓子など様々な飲料や食品で使われ、商品には「ぶどう糖果糖液糖」などと表示される。特に低温で甘みを感じさせる性質があるという。

市場規模は800億円以上で、この10社でシェアのほとんどを占めるという。関係者によると、各社は遅くとも数年前以降、大手清涼飲料メーカーや食品メーカーなど向けの販売で、異性化糖の値上げの時期や値上げ幅について話し合いで決めていた疑いがある。実際に、各社は値上げを実行していたとみられる。

こうした話し合いは業界団体の「日本スターチ・糖化工業会」(東京)で集まる機会を利用した可能性もあるといい、公取委は立ち入り検査で詳しく調べる。

カルテルの背景には、米国から主に輸入されるトウモロコシ価格の高騰があるとみられる。農林水産省などによると、国際的な指標とされる米シカゴ商品取引所での価格は2008年ごろに高騰。その後いったん下がったが、10年夏以降、再び上昇傾向になった。昨年6月には1トンあたり約310ドルと最高値を記録し、現在も06年秋ごろの2・9倍に当たる同約253ドルと高水準を維持しているという。米国でトウモロコシから作るバイオエタノールの需要増に伴い、在庫が減ったことなどが要因という。(田内康介)

 

「異性化糖」有害説

安部司『食品の裏側』東洋経済新報社には、次のように書かれています。

・ぶどう糖果糖液糖は血糖値を急激に上げる。

・砂糖(=蔗糖、ぶどう糖と果糖が1:1でくっついている)も血糖値を上げるが、砂糖は体内でぶどう糖と果糖の2つに分かれて吸収される。

・しかし、ぶどう糖果糖は最初からぶどう糖と果糖に分かれているため、あっという間に吸収されて血糖値が跳ね上がる。

・500ミリリットルのペットボトル飲料にはぶどう糖25グラム、果糖20グラム以上も入っている。これを特に空腹時に飲んだら、血糖値がどれだけ上がるか。糖尿病の引き金となりかねない。

・コメなどのでんぷんも体内でゆっくり分解されてぶどう糖に変わり、エネルギー源となる。それならば血糖値が急激に上がることはない。

・最初からぶどう糖に分解されたものを一気に飲むということは人間がこれまで体験したことのないこと。

・500ミリリットルのペットボトル飲料には砂糖50グラム相当のカロリー、200キロカロリーがはいっているので、カロリーの過剰摂取という問題もある。

 

さらに最近出版された、山岸昌一『老けたくなければファーストフードを食べるな』PHP新書によると、体内のタンパク質に糖がついたAGE(糖化物質)が、老化を促進することがわかってきたが、果糖は砂糖やぶどう糖よりこのAGE化を引き起こしやすいそうです。


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